以下,本研究会資料として記述した.政策上,法律上,会計/税務上,福利厚生上の参照は,出典リンク先を確認ください.

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― 医療倫理の問題解決の視点

   ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)

 

― わが国の社会保障(医療保険)の概念

 

― 健康の社会的決定要因について

   国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針

   健康日本21(第二次)最終評価報告書

    歯・口腔の健康

公衆衛生上の課題としての歯科矯正学

健康格差はなぜ不当なのか

 不平等に基づく不利益の是正要求の道徳的正当性を強める条件(玉手)

1. 深刻さ

2. 当人の選択の有無

3. 是正の可能性

4. 派生する影響の有無

5. 他の価値との比較 

   日本の公衆衛生システムへのOECDレビュー

 

   受益圏と受苦圏

   社会関係資本 social capital

 

― 医療提供体制について

   価値財/一般財

   皆保険/自由開業制/フリーアクセス/出来高払い

 

― わが国の公的医療保険(歯科矯正に関するもの)の流れ

 

― 子どもの権利条約 と こども基本法,我が国における医療としての歯科矯正

   子ども権利条約 こども基本法 こども家庭庁設置法 児童福祉法 子ども・若者育成支援推進法

 

― 学校における歯科健康教育(わが国の学校歯科健診制度との比較)

口腔保険プログラム

 ワシントンDC  ボストン大学  オレゴン州   カルフォルニア州   インド   クウェート

    いじめ,自尊心 QOL と 歯列不正との関係 システマティックレビュー

歯列矯正と いじめ について

実際の事例(医療制度と文化背景)

Quality of life とは何か?

歴史

歯科矯正医療の結果として共通認識すべきQOLはどこか?

QOL測定における尺度

口腔関連QOLのいろいろな尺度

矯正歯科とQOLの論文(年度順)

 

— 歯科矯正と応召義務

歯科医師法 第一九条

病院診療所の診療に関する件(厚生省医務局長通知)

医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応召義務の解釈に関する研究について

 ☛ 歯列矯正を求める患者の診療治療の求めを拒んでもよいか?

論点:わが国において歯科矯正は医学的な必要を要さない自由診療なのはなぜか?

 

― 欧州大陸における社会保障制度:わが国の医療としての矯正歯科の位置
   ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)

 

― 主要国における歯科矯正の公的医療保険制度概要2017(厚生労働省資料を追加改変)

   子どもの歯科矯正への公的医療保険の国際比較(OECD加盟国,2016)

   ヨーロッパ諸国における歯科矯正医療への公的医療保険の現状(2010)

 

― 主要国における歯科矯正の公的医療保険の適用基準

   アメリカ(AAO,HLD index, NY州,)

   イギリス(ITON)

   ドイツ(KIG)

   フランス

   日本(現行制度と学校歯科健診)

 

― 疾病としての歯・歯列弓の大きさ/位置関係/機能の位置異常

疾病 / 病気 / 健康とは何か? 疾患の文化的概念,とらえかた

☛ 問い:わが国において 「歯や列弓の位置/位置関係の異常」 は疾病でないとされているのはなぜか?

政府答弁

☛ 問い:歯科医師の医療行為,特に歯科矯正学の技術や知識は,格差なく国民へ公平に配分されているか?

国民の声と現状

子どもの歯科矯正についての最近の議論

☛ 問い:学校歯科健診によって歯列不正を指摘された患者から治療を求められたが,この国民は治療費の支払いができない.歯科医師はこれを理由に診療拒否することは法的に可能か? 応召義務について答えよ.

 

☛ 問い:良質かつ適切な矯正歯医療を,国民へ格差なく公平に提供できる医療制度はどのようなものか?

 

☛ 問い:国民の税金を財源とする研究結果は,なぜ国民へ格差なく公平に提供できていないのか?

 

― WHOによる国際疾病分類 ICD

   ICD-11

   ICD-DA 第3版(WHO 1995)― 歯科矯正領域の疾病 Disease
   子どもの歯の矯正の政府見解
   医療倫理の問題解決の視点

 

― 8020 と 社会疫学の視点(歯列矯正:所得格差からくる実態)

 

― 歯列矯正の目的:概念的なもの

 

― 誰が主体となって医療を提供すべきか?

― 医療制度は社会的ニーズへの対応にどの程度関与すべきか?

 

― 誰の歯科矯正治療を優先するべきか?(医療資源の倫理学)
   シャンシエフ報告書(Schanschieff report)- IOTNの背景
   イギリスにおける矯正歯科学会の役割
   治療品質基準に関する各国ガイドライン

 

― 歯科矯正(歯の位置,歯列異常への医学的介入)に適切な時期

 

― 我国の歯科矯正の治療品質評価と諸外国の比較

 

― 医療保険の基礎理論
        情報の非対称,モラルハザード.逆選択

 

― 我国の法令上における不正咬合,歯列・咬合,歯科矯正,矯正治療の取り扱い

   所得税法  学校保健安全法  学校教育法  統計法  地方自治法
   成育基本法
    成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針
    健やか親子21  健康日本21
   健康増進法  医療法  健康保険法  生活保護法  歯科口腔保健の推進に関する法律

 

― 日本における歯科矯正の議論:
   子どもの歯列矯正のについての議論
   OECD加盟国の保健医療費の状況(2018年)
   OECD Health Statics 2021

 

― こどもの歯科矯正への公的医療保険の国際比較

   OECD加盟国での比較

   英国  フランス  ドイツ  スウェーデン  ノルウェー  イタリア
   カナダ  アメリカ  オーストラリア  ロシア


― アメリカの成人歯科矯正(保険適用外)の平均的な費用

   アメリカ

 

― その他,追加など

 

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― 医療倫理の問題解決の視点

目前の診察治療での規範:

組織(診療所・病院)での規範:

社会全体や国家でなすべき規範:

健康は人権であるという視点.生存権 健康権 生命権 幸福追求権
・すべての国民に負担可能な費用で医療サービスを提供すること.
・過大な医療費負担によって経済的破綻に陥ることがないように国民を保護することは国家の義務であること.
・常に視点は低・中所得の人々におくことで,国家としての健康指標の改善が初めてなされること.

→ 歯列不正・不正咬合と健康: well-being 上の健康格差のある医療領域

健康:肉体的,精神的,社会的,すべてが満たされた状態 well-being

→ 諸外国の現状を知り,我が国における現在の 「健康で文化的な生活」 の概念の位置を知る.

  ☛ OECD加盟国における 「子どもの歯科矯正」 への公的医療保険の国際比較(2016)
  ☛ ヨーロッパ諸国における歯科矯正医療の公的医療保険の現状(2010)
  ☛ 米国における歯科矯正の公的医療保険 「医学的に必要な歯科矯正」 の適用基準

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)

すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要なときに、負担可能な費用で享受できる状態

 

人文学及び社会科学の振興について(報告)−「対話」と「実証」を通じた文明基盤形成への道−

 平成21年1月20日 科学技術・学術審議会 学術分科会

  日本の人文学及び社会科学の課題

  人文学及び社会科学の学問的特性

日本の展望−人文・社会科学からの提言

 

Hygiene 衛生 長與専齋 「松香私志(1902)」

衛生

公衆衛生 Social medicine

保健学 Public Health

公衆衛生の本質は,社会正義である.

口腔衛生 Oral Health Care と 歯列矯正

 ■口腔衛生の課題:

Oral diseases: a global public health challenge
The Lancet, Vol 394, Issue 10194, P249-260, July 20, 2019.

Ending the neglect of global oral health: time for radical action
The Lancet, Vol. 394, Issue 10194, P261-272, July 20, 2019

 

 

― わが国の社会保障(医療保険)の概念

 わが国の社会保障の始まりは,明治期の廃藩置県,地租改正などによる貧困問題への公的な救済法として明治7年(874に発布された 恤救(じゅっきゅう)規則 にあり,昭和4年(1929)救護法,昭和25年(1950)生活保護法へ引き継がれている.

 社会保障概念の基は 日本国憲法第25条 であり,その概念を明示したものが 「社会保障制度に関する勧告(社会保障制度審議会 1950年)」 とされる.1942年の Sir William Beveridge 卿による 「SOCIAL INSURANCE AND ALLIED SERVICE  通称 ベバリジ報告」,同年の ILO 国際労働機関による 「社会保障への途」 に基づいて提唱されたのが,以下の社会保障制度に関する勧告(社会保障制度審議会 1950年)

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 A 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

いわゆる社会保障制度とは,疾病,負傷,分娩,廃疾,死亡,老齢,失業,多子その他困窮の原因に対し,保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ,生活困窮に陥った者に対しては,国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに,公衆衛生及び社会福祉の向上を図り,もってすべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすることをいうのである。社会保障制度に関する勧告(社会保障制度審議会 1950年)

 ☛ 後記するように,疾病や傷病に対してのみ保険給付されるわけではなく,政府答弁も正解とは言えないであろう.不妊治療,乳がん摘出後の乳房再建など,健康概念の変化,国民の声,諸外国の現状を理解することが大切である.歯科矯正はどうか?

 

すなわち,社会保障制度とは,

 

@ リスク分散:

  自分の責任に帰することのできない理由によって発生する,さまざまな経済的リスクに対して社会全体で備えること

A リスク軽減:

  そうしたリスクが実際に発生する可能性そのものを社会全体で引き下げること

 

という2つの側面から,最低限度の生活「ナショナル・ミニマム」を保障する.

 

平成24年 厚生労働白書

 第1章 なぜ社会保障は重要か(p.5-18)

 第1節 社会保障の誕生

 第2節 社会保障の発展

 第3節 社会保障の「見直し」と再認識

 第4節 日本の社会保障はどうだったのか

 第2章 社会保障と関連する理念や哲学(p.19-  )

 第1節 自立と連帯 〜 自立した個人を,連帯して支える

 第2節 効率と公正 〜 効率と公正の同時実現を追求する時代に 

 第7章 社会保障を考えるにあたっての視点(p.218-244)

 第1節 望ましい社会の姿を考える

 第2節 社会保障の機能・役割を理解する

 第3節 社会保障の給付と負担の関係を考える

 第4節 他社の立場で考える

 

  「社会保障って,なに? 〜身近な人から学ぶ健康保険や公的年金の話〜 」 厚生労働省 映像教材 25分30秒

  中3社会公民_社会保障の仕組み

 【高校生のための政治経済】 世界の社会保障#1

 【高校生のための政治経済】 社会保険@医療保険#2

 【高校生のための政治経済】 社会保険A年金保険#3

 【高校生のための政治経済】 社会保険B雇用保険・労災保険・介護保険#4

 【高校生のための政治経済】 公的扶助・社会福祉・公衆衛生#5

 

 

社会保障の4つの柱

 @ 公的扶助

 A 社会保険

 B 社会福祉

 C 公衆衛生

 

老齢,遺族及び廃疾に関する保険険
国家扶助
公衛生及び医療療
社会福祉祉

☛ 「社会保障と憲法」に関する基礎的資料 基本的人権の保障に関する査小委員会 平成15年7月 衆議院憲法調査会事務局

 

所得再分配と社会保障

最低限度の生活保障

保険原理と福祉原理

普遍主義/選別主義

 

 

 WHOによる健康の定義がなされた1946年は終戦の翌年であり,わが国の国民生活・日本経済は困窮の渦中にあった.この当時の医療概念や歯科における疾病構造は現在とは大きく異なり,治療目的は「虫歯の痛みを除くこと」,「喪失や欠損歯の修復や補綴」により噛めるようにすることであった.虫歯と入歯の洪水で歯科医院は足りず,前歯の銀歯や開面金冠はごく当たり前の時代であり,白い歯の審美修復や歯列矯正はまだ先の時代であった.しかしこの時代の高橋新次郎氏の著書「歯科矯正学」(1947)には,「歯列矯正の意義」 が 「健康の定義」 と関連して記述されている.

 現代の歯科矯正学の目的,QOL,Social handicap,スティグマ,自己嫌悪といった外見上の問題を改善すること,社会的精神的なwell-being 健康を改善することは米国やヨーロッパ諸国における歯科矯正の公的医療保険適応の基準であるが,我が国においてはまだまだ理解され始めた概念である.

 1947:高橋新次郎:(以下原文のまま)不正咬合並びにこれに依りて招来される顎骨の異常,乃至は顔貌の不正(勿論顎骨の異常が原因で不正咬合を生ずることも多いが)等は單に患者の咀嚼,發音等の諸機能を阻害するにのみならず,患者自身の精神上にも頗る重大な影響を及ぼし,これがため自らを卑下し,社會生存上常に大なる損失を招きつゝあることは吾々經驗するところである。例へば圖1−2のやうな甚だしい不正咬合に於いては,その顔貌上に及す影響も極めて大であつて患者自らもその點に關し,懊惱苦悶せることは明らかである。かくの如き場合に於ける矯正施術の目的は,單に齒牙の正常なる機能を恢復するばかりでなく,進んで顔面の不正おも改善することにより,より重大な意義を有することは明である。顔貌の不正は患者自身の精神上にも架る

顔貌の不正の改善,well-beingの向上

矯正歯科医療の価値 / ☛ 矯正歯科治療の目的と意義

 1950年代後半から,我国の高度経済成長は国民の生活水準を引き上げ,1982年には先天性疾患として唇顎口蓋裂の保険適用がなされた.社会保障制度は,当初は貧困への救済から始まったが,国民生活の向上,国民の健康概念の西洋化により,医療保障は社会的・精神的な分野への対応も必要となっている.社会変化・国民の求めに応じて,医療保険の適用範囲は修正・是正すべきものであろう.

 

社会的共通資本:本当の豊かさとは何か? 宇沢
 自然資本:海,森,川,海洋,水,土,大気
 設備資本:道路,水路,橋,,上下水道,電力,ガス
 制資本:教育,医療,福祉,司法,文化

 

 

― 社会福祉と医療

 

医療社会学:

 人文学及び社会科学の振興について(報告)−「対話」と「実証」を通じた文明基盤形成への道−

 平成21年1月20日 科学技術・学術審議会 学術分科会

  日本の人文学及び社会科学の課題

  人文学及び社会科学の学問的特性

 

 

社会福祉の定義:

  広辞苑:(狭義の社会福祉)

貧困者などの生活を保障し,心身に障害のある人々の援助などを行なって,社会全体の福祉向上をめざすこと。教育・文化・医療・労働など,広い分野にわたる。

国民の生存権を保護するため,貧困者や保護を必要とする児童・母子家庭・高齢者・身体障害者など社会的障害を持つ人々の援護・育成・更生を図ろうとする公私の社会的努力を組織的に行うこと.生活保護法・児童福祉法・老人福祉法・身体障害者福祉法・知的障害者福祉法などによって国または地方公共団体が行うものと,社会福祉法により設立された福祉法人が行うものとがある.都道府県・市町村には行政機関として福祉事務所があり,社会福祉主事を置く(広辞苑 第七版 岩波書店)

  学術的定義:

岩田正美一方では個人生活の自助を脅かすリスクの回避,問題の解決(個人の幸福)が,何らかの社会問題として投げかけられることを前提に,様々な手段・方法による社会の個別私的生活への介入の『仕掛け』」であると同時に,「その介入は,社会統合や秩序維持,さらには社会防衛への期待を含み,介入が社会にとってもプラスであることが期待されている(社会の幸福)」(岩田正美編著 社会福祉への招待 放送大学教育振興会)

古川孝順現代社会において,人びとの自立生活を支援し,その自己実現と社会参加を促進するとともに,社会的統合を高めることを目標に展開される一定の歴史的社会的な施策の体系であり,その内容をなすものは人びとの生活上の一定の困難や障害,すなわち福祉ニーズを充足,あるいは軽減緩和し,自立生活の維持,自立生活力の育成ならびに自立生活の援護をはかり,またそのために必要とされる社会資源を開発することを課題として国・自治体ならびに民間の組織によって設置運営される各種の制度とそのもとにおいて展開されている援助活動の総体」(古川孝順 社会福祉学 誠信書房)

 

圷洋一 社会福祉とは,誰もが人間らしく自分らしく生きられる社会を目指す「理念」であるとともに,この理念の実現を目的に,人間らしく自分らしく生きられずに困っている人びとを助ける手段としての「取り決め」(法制度と施策)と「取り組み」(取り決めに依拠した活動)でもある.(圷洋一 社会福祉とは何か NHKテキスト 社会福祉セミナー NHK出版)

 

障害の考え方:☛ 障害としての不正咬合と顎顔面の形態異常

 障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約)では,第一条(目的)において,「この条約は、全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする。障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得るものを有する者を含む。(外務省訳)」と記載されている.

 社会モデルとしての考えが強く意識されている.

☛ わが国における歯科矯正は,未だ「医学モデル」として,また狭義の古来よりの「咬合」というドグマの呪縛かに囚われており,西洋諸国における医療の社会適応された「社会モデル」の国々からは,周回遅れともいえる状況にあり,グローバル社会となった現代において国民からも多くの疑問が指摘されている.☛ 顎変形症 においてさえ,手術が適用できる顎変形症と,公的医療保障の適用とならない顎変形症がある.

☛ 障害者の社会参加(⇔ 活動制限,参加制約)について ⇒ 歯科界ではなぜ 「審美」 という言葉を用いたり,相手の立場に立って深く考えないのであろうか?

例えば,人間の尊厳として,暖かさが確保され機能的に問題がないという理由で,若い女性に汚れた洋服を与えたとしよう.もちろん食料や生命の危険のある著しい貧困な開発途上国とは異なるのであるが,現代の日本では彼女たちは健康で文化的な生活,他の友人と外出して人前に出たり,社会参加は満足にできるであろうか? 人前に出るための制約や恥ずかしさ,屈辱感を感じはしないだろうか? 現在の先進諸国のほとんどの国々では,歯科矯正は社会医学的視点から公的医療保障の適用となっている.わが国のにおいても歯並びを直したいという人びとの立場における 「見た目」 とはこういう社会参加の場での制約,他人の目線という痛み,健康の社会モデルとしての精神的・社会的な健康を求める声なのであり障害なのであるが,わが国の歯科界においてこうした患者の立場から概念を理解している指導者はわずかしかいない.

 

国家・地域による定説受容の違い
(歯科矯正の目的と意義)
我が国
健康の肉体的側面を重視
<医学モデル>
西洋諸国
健康の社会的側面を重視
<社会モデル>

【不正咬合による障害
 @  齲蝕の誘因
 A 歯周疾患の誘因
 B 外傷の誘因
 C 歯根吸収の誘因
 D 咀嚼機能障害
 E 筋機能障害
 F 顎骨の発育異常
 G 発音障害
 H 審美的な欲求と心理的な背景



 @ 社会参加 Social handicap
 A 発音障害
 B ・・・
  ・
  ・

 国際生活機能分類(ICF)
 ※記載順序を世界基準に

 

定説(石井米雄):ここに学問の面白さがある。定説がうまれ、それが覆される。そして生まれた新説が定説となり、それがまたまったく違った視点の生み出した新説によって覆される。この面白さが、学問の魅力である。

裁縫で先へ先へと縫い上げていくには、ある程度まで縫い進んだら仮留めの待ち針を抜かねばなりません.従来の発想や既成観念,過去の成功体験などは待ち針のようなもので,抜いてしまわないと先へ進めず,そこからはイノベーションは生まれません.待ち針を抜いた先で新しい世界に出会うには,自社という「たこつぼ」の外に出て,積極的に外の異質な人材やモノ,技術と接し,交わることが大事です.

 明治維新後,自由に地球上を行き来できるようになった現代の グローバル社会.我が国の国民も多くの人びとが海外の文化や生活に接するようになり容易に外国というものを知るようになった.その中で,日本人の口腔衛生・歯並びの悪さは,多くの外国人から指摘されることでもある.現代においても,初めて日本に来た外国人は,歯並びの悪い日本人が多いことに驚くという.これは日本人の口腔衛生の意識の低さによるものではなく,わが国の社会制度(健康の社会的決定要因)によるものである.

 幕末の日本ではお歯黒が化粧の一部として存在し,ごく最近まで,日本では八重歯は「かわいい」の代名詞であった.現代ではグローバルな価値観の普及とともに,歯並びは対人関係や自尊心を示すものとなり,八重歯のスポーツ選手やタレントもほぼ見られなくなった.歯の配列の不正は健康や生活の質の表現型として,社会参加への制約,自尊心や対人関係にも影響するものとして社会にも受容され,多くの国民からも,歯や顎骨の大きさ・位置異常という本人の責任に帰することのできない 「身体構造の疾病・異常」 ,これを治療するために歯列矯正医療をうけることは,西欧諸国においては公的社会保障によって保障されているのであるが,わが国においては,なぜ公的医療保障の適用にならないのかと多くの国民から疑問が指摘されるようになっている.

 国会答弁において,厚生労働大臣は 「保険給付は疾病に対するものであり,歯科矯正は審美的要素が大きく疾病でない」 と答えている.では,国際的な歯列不正の価値とはどのようなものなのだろうか.実は,厚生労働省の翻訳による 「国際疾病分類」 では,不正咬合は 「疾病」 として明確に分類されており,世界の中で日本以外の国では疾病なのである.(念を押すと,厚生労働大臣が虚偽の発言をしているのではなく,日本の歯科界では国際ルールが適用されていないのである).また,歯科医科 「二元論」 で進んできたわが国の歯科は,健康とは何か? 疾病とは何か? 医療とは何か? こうした概念について深く考える機会が十分ではなかったのではないだろうか.他分野においても,わが国の個人の尊厳に関する西洋の価値観,例えば,子どもの権利条約,障害者権利条約など,いずれも批准されたのはごく最近の出来事である.

五箇条のご誓文

一、 広く会議を興し万機公論に決すべし
一、 上下心を一にして盛に経綸を行ふべし
一、 官武一途庶民に至る迄各其志を遂げ人心をして倦ざらしめん事を要す
一、 旧来の陋習を破り天地の公道に基くべし
一、 智識を世界に求め大に皇基を振起すべし

我国未曾有の変革を為んとし 朕躬を以て衆に先じ天地神明に誓ひ 大に斯国是を定め万民保全の道を立てんとす 衆亦此旨趣に基き協心努力せよ

 

 

 医療の概念の変化:

国際障害分類(ICIDH)の概念モデル:

 疾病・変調(Disorder)

    ↓

 機能・形態障害(Impairment 例:運動障害)

    ↓

 能力障害(Disability)

    ↓

 社会的不利(Handicap)

 

国際生活機能分類(ICF)のモデル

 

 

 ☛ 宿題:  問:どうすれば障害・社会モデル(ICIDH / ICF)として歯科矯正概念を認識し,西欧諸国と同様な倫理感を歯科矯正医療従事者が持つようになるだろうか?

Traditionally, craniofacial biology has served as the sole scientific basis of orthodontic practice and research. Clearly an overlap of interests does exist between clinical orthodontics and craniofacial biology. However, the specialty is also significantly related to social, economic, and cultural factors. The "new paradigm" recognizes all of these interactions and dictates their integration conceptually and in research aimed at rationalizing orthodontics.  Vig PS

頭蓋顔面領域の生物学は,矯正歯科臨床や研究の科学的基盤として機能してきた.歯科矯正臨床と頭蓋顔面領域の生物学の間には,明確な共有部分が存在している一方で,この歯科矯正という専門分野は,社会的・経済的・文化的な因子も大きく関係している.新しいパラダイムでは,これらの相互作用のすべてを認め,概念的に融合させ,歯科矯正学を合理化する研究が求められる. Vig PS 2000.

 我が国では,ひとり親家庭 の子どもたちは,歯科矯正医療へのアクセスは絶望的な状況であり,子どもたちに公平な歯科矯正医療へのアクセスを保障することは,個人の力ではかなり困難である.⇒ 参考:ドイツでの子どもの給付負担軽減の事例を調べてみよう.

 


社会モデル:
障がい(機能障害,活動制限,参加制約)

医学モデル:
「障がい」は社会(モノ,環境,人的環境等)と個人の心身機能の障がいがあいまってつくりだされているものであり,その障壁を取り除くのは社会の責務として,社会全体の問題として捉える考え方.

「障がい」を個人の心身機能によるものとし,個人的な問題として捉える考え方.

 

 障害者権利条約(2006)

 障害者基本法(2011)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よくある質問:

 歯列矯正ってなぜ保険がきかないのか?
  保険診療では,治療内容、使用できる薬,材料等に細かいルールが決められています.それ以外の治療方法、材料等を望まれる場合は,自費診療になります.

 国民の幸福,生活のルール(法令)は,「国民の声」 や 「社会課題」 に基づき,よりよく住みやすい国家を構築するために決められます.必要な医療も時代によって変わります.(保険適用の例:不妊治療,腫瘍摘出後の乳房再建,肥満手術,禁煙指導など

 歯の位置異常・大きさの異常という 「疾病」 としての歯列不正は,他に代替療法のある他の分野とは明らかに異なる分野であり,この点も上記のような歯列矯正に保険適用されていない理由の説明には不可解な矛盾となる.我が国の国民は,疾病としての歯の位置異常の医療行為を希望した場合,「治療する」,「治療しない」 の二択選択しかできないこと,そして,経済的理由から 「治療する」 を選択できない日本の子どもたちは,社会制度の改善によって何とかならないのか?

 例えば,現在保険適用されている「顎変形症」は,顎変形症という疾患があり,これに保険適用されているわけではない.「顎離断術を施行する場合」 に 「顎変形症」 という病名が適用され保険適用となっている.他の保険適用される埋伏歯の場合も同様であり,「外科的介入の有無」が保険適用されるかどうかの判定基準となっている.これは大変重要なことであり,顎離断術の必要なく歯科矯正単独でも治療可能な症例(ボーダーラインの症例)さえも,患者さまによっては,経済的理由による費用負担軽減のため,あるいは矯正歯科医の志向によって,保険適用となる外科的治療が選択されるのが実際の医療現場ではある.外科的手術の併用はやはりリスクの高い方法であり,医療倫理上ジレンマ,無危害原則との対立で苦渋する歯科矯正医は多いのではないだろうか

 西欧諸国においてずいぶん以前より,外科的介入がない場合においても,歯科矯正は公的医療保障の適用される社会制度が整っている.わが国では諸外国の具体的な数値基準(国際的にはIOTNのGrade分類)が採用されていないし,歯科矯正を公衆衛生の見地から捉えたり,その医療資源の配分方法や,治療の優先順位を考えるといったところまで行きついておらず,社会への適用ルールを議論することさえできていない.「良質かつ最善な歯科矯正を公平に国民に提供する」 ということが歯科矯正医の使命だとすれば,「公平に」 という部分(社会への適用,公衆衛生の視座)がすっぽりと抜け落ちているのである.必要のない手術を減らしたり,経済的理由からリスクの高い治療方法を選択する患者に問題意識をもち,相談に来られたが経済的理由から治療開始を断念する患者に目を向け,こうした要因である健康の社会的決定要因を考え解消することで,国民が公平に歯科矯正医療を安心して受けられるように,公的医療保障の適用基準を喫緊に是正することが望まれる.

 社会的共通資本としての医療について

 

 

 

― 健康の社会的決定要因について

 

 人の健康に影響する要因:社会状態が集団や個人の健康に影響を与える

 

@ 個人的な決定要因

・喫煙,飲酒,歯磨き習慣などの生活習慣

・食生活,睡眠

・舌癖

・遺伝

 

A 社会的な決定要因(SDH: Social Determinants of Health)

・ソーシャルキャピタル(社会的支援,信頼,規範,市民活動)

・移住地域(国,気候)

・文化的慣習

社会経済的状況(所得,学歴)

国家制度(法令,保健医療制度,教育制度)

 

 

Closing the gap in a generation: Health equity through action on the social determinants of health - Final report of the commission on social determinants of health

一世代でギャップを埋める.健康の社会的決定要因への取り組みによる健康の公平性  WHO健康の社会的決定要因委員会 最終報告書

 ☛ 日本語版 Japanese を選択するとスウェーデン語が表示されますので,→ 日本福祉大学の日本語訳(要旨),もしくは web翻訳ソフトを参照ください.

子どもたちは,どこで生まれたかによって,人生のチャンスが大きく異なります.日本やスウェーデンでは80歳以上,ブラジルでは72歳,インドでは63歳,アフリカの国々では50歳以下と,その寿命は大きく異なります.また,国内でもライフチャンスの差は激しく,こうした状況は世界中で見られます.最貧困層は,病気や早期死亡のレベルが高いですが,健康状態が悪いのは,最も貧しい人々だけに限りません.所得水準に関わらず,健康や病気は社会的勾配に従い,社会経済的状況が低いほど,健康状態も悪くなります.
このような状況が合理的な行動によって回避可能であると判断される場合,こうした格差を私たちは「健康の不公平」と呼びます.是正可能な国家間や国内における健康上の不公平,すなわち健康格差を正すことは,社会正義の問題なのです.健康の社会的決定要因に関する本委員会では,健康格差の是正は倫理的な要請と考えます.

 

社会全体でなすべき規範:

 ・健康は人権であるという視点.生存権 健康権 生命権 幸福追求権

 ・すべての国民に負担可能な費用で医療サービスを提供すること.

 ・過大な医療費負担によって経済的破綻に陥ることがないように国民を保護することは国家の義務であること.

 ・常に視点は低・中所得の人々におくことで,国家としての健康指標の改善が初めてなされること.

 

参考 ☛ 「子どもの歯科矯正」 への公的医療保険の国際比較(OECD加盟国)
    ☛ ヨーロッパ諸国における歯科矯正医療の公的医療保険の現状(2010)
    ☛ 米国における歯科矯正の公的医療保険.「医学的に必要な歯科矯正」基準

☛ 各国における歯科矯正の公的医療保険適用基準の比較

上記に示すように,米国,ヨーロッパのほとんどの国においては,子ども(18才まで)の歯科矯正医療は公的医療保険による加療がなされ,子どもたちの医療を受ける権利は守られている.残念ながら,日本に生まれた子供たちは,口腔の健康の不公平な社会に直面しており,社会経済的に恵まれた子供たちしか歯科矯正医療の恩恵を受けられず,口腔の健康格差として社会問題となりつつある.学校歯科検診における健診結果は機能しておらず,子どもの権利条約批准国としても喫緊に是正すべき優先すべき課題であろう.

問い: 我が国における「学校歯科検診」における不正咬合の評価基準と治療勧奨の背景.歯科矯正医療へのアクセスへの不平等はなぜ放置され続けているのだろうか?

 

Q:社会制度に起因した日本人の口腔環境改善への医療格差,歯科矯正医療へのアクセスの社会経済的障壁は,健康の社会的決定要因として歯科医療全体にも及んでいる.
   → 子どもの歯科矯正に対する各省庁間の矛盾:法令 国税庁/文部科学省/厚生労働省における解釈の違い.国民の混乱について
   → こども家庭庁での整理・政策立案を期待す.

 

 

国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針

  第一 国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向
   一 健康寿命の延伸と健康格差の縮小
   五 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善

社会経済的状況の違いに着目し....

乳幼児期から高齢期までのライフステージや性差、社会経済的状況等の違いに着目し、こうした違いに基づき区分された対象集団ごとの特性やニーズ、健康課題等の十分な把握を行う。

健康格差の縮小は、生活習慣の改善や社会環境の整備によって我が国において実現されるべき最終的な目標である。

(6)歯・口腔の康
   歯・口腔の健康は摂食と構音を良好に保つために重要であり、生活の質の向上にも大きく寄与する

  という方針......

公表された最終告書(健康日本21(第二次)最終評価報告書 令和4年10月11日)
 
5.栄養・⾷⽣活、⾝体動・運動、休養、飲酒、喫煙及び⻭・⼝腔の健康に関する ⽣活習慣及び社会環境の改善

(6)歯・口腔の健康 354ページから

評価報告書から,「目標に達した」 ものはなかったという結果.

【生涯にわたる健全な口腔保健の確立】 口腔機能の維持・向上 C  歯の喪失の防止 E
【歯科疾患の予防】 う蝕予防 B 歯周病予防 E
【歯・口腔の健康のための基盤的行動】 歯科健診の受診者の増加  E

A 目標値に達した
B 時点で目標値に達していないが,改善している
C 変わらない
D 悪化している
E 評価困難

健康日本21(第二次)最終価報告書 令和4年10月11日
概要
第1章
第2章
第3章 T〜II4
II5〜IV ← (6)歯・口腔の健康 354ページから
第4章
別添  ← (6)歯・口腔の健康 67ページから
参考資料

 

次期健康づくり運動プランの検討スケジュール(厚生労働省Webより)

【 平成6年度以降の 「次期国健康づくり運動プラン」 に必要な課題として 】

☛ 評価者の社会経済的格差による医療アクセスへの障壁,社会的健康格差の是正.
☛ 口腔環境の改善(歯列矯正)という根本的な課題に目を向けるべきではないか?
☛ 歯科における健康格差の課題への取り組みの欠除が 「評価困難 E」 の要因ではないか?

参考  「子どもの歯科矯正」 への公的医療保険の国際比較(OECD加盟国)
    ☛ ヨーロッパ諸国における歯科矯正医療の公的医療保険の現状(2010)
    ☛ 米国における歯科矯正の公的医療保険.「医学的に必要な歯科矯正」基準

 

日本の公衆衛生システムに対する OECD のレビュー(2019)

OECD(2019), OECD Reviews of Public Health: Japan 2019, A Healthier Tomorrow, Chapter 1 The Public Health System in Japan, 1.9. Conclusion 06 Feb 2019

 

我が国の歯科医療は,公的医療保険の最も高い国の一つではあるが,歯科矯正(疾病としての歯・歯列の位置や大きさの異常)に限るとそれはまったく逆であり,国民の経済的負担が世界でも最も大きな国である.日本の歯科医療においては,常に視点を低・中所得の人々におくことで,国家としての健康指標の改善がはじめてなされるという社会全体でなすべき規範は失われている.社会変化や国民意識,健康/医療概念の変化とともに,社会経済的状況の格差から生じている歯科矯正医療へのアクセスの格差/不平等は,全国自治体からの多数の意見書,請願,国民の声として政府に寄せられているが届いていない.OECD報告書にも指摘されているように,国民の声(請願・各自治体意見書・国民の要望など)に耳を傾けるべきでではないか.

また,そもそも日本の平均寿命,健康寿命はすでに世界一である.公衆衛生における全体像,人間の寿命は永遠ではなく,政府の国民の寿命という数値を伸ばす目標は,国民の幸せという目的ではない.政府の健康指標(目標)と生きている目的には大きな違いがあり,健康は目的ではなく,それぞれの国民自身が大切と考えることを達成するための手段でもある.健康を通じて国民が幸福度を向上させ,不平等/格差のない健康を享受できる国家制度としての歯科医療はいかにあるべきであろうか? 健康増進は目標ではなく目的であり,口腔機能の維持・向上,歯の喪失を防止を目標とする目的は,国民の幸福にあるのではないだろうか? 健康を通じて一人でも多くの国民に幸せな人生という時間を歩んでもらいたいということは,我々医療従事者にとっての願いでもある.我が国に生まれた子供たちは,それぞれの家庭における社会経済的な事情から生じる健康格差によって歯科矯正医療へのアクセスが制限されており,国家としても早急に是正すべき大変憂慮すべき事態である.

人間が生活するための現代社会において,またコミュニケーションにとって,歯や歯列の大きさ・位置の異常,こどもの成長や健やかな発育に関する疾病は,欧米においてはずっと以前より公的医療保険が適応され,子どもの医療を受ける権利は守られている.なぜ我が国では必要がないものであり続けているのだろうか?歯科矯正医療の目的について,我が国の歯科医師は,目先の利益や技術的次元から離れ,社会的責任や道徳的次元から今一度考えるべきであり,諸外国の医療制度の変貌の中からも日本の現状を俯瞰する必要があるのではないか?

 

Q:健康日本21(二次)の最終評価を見ると,その目標が達成に必要なものとして, 国民自身が口腔環境や生活の質に関する関心を持つためには,健康格差(口腔機能,歯の喪失,う蝕予防,歯周病,歯科健診への関心)という,これら口腔保健への関心の高さへの社会的障壁となっているのではないか?

Q: こうした歯科医療への社会的格差是正こそが,政府の目的とする我が国で実現されるべき課題,最終的目標ではないか?

☛ 調査研究のデザインの見直し,サンプル選択の基準への社会経済的因子(所得水準など)の追加

☛ 歯列矯正と口腔衛生(FDIの施政方針)

 

 

【国民健康・栄養調査報告】

世帯年収と歯の本数

 

 

 

― 歯科疾患実態調査

 

調査計画

調査の目的本調査は、わが国の歯科保健状況を把握し、8020運動(歯科保健推進事業等)の種々の対策の効果についての検討等、今後の歯科保健医療対策を推進するための次期の目標設定に必要な基礎資料を得ることを目的とする。

1 矯正歯科治療の経験の有無、性・年齢階級別(3歳以上)

 2 矯正歯科治療の経験の有無、地域・性・年齢階級別(3歳以上)

 

令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要

表26 歯科疾患実態調査結果の概要

【解釈】

被験者数が少ないこと,矯正歯科の経験の定義(部分矯正,全顎矯正,床矯正など)が不明.

本格的だとすれば,85才以上の女性で歯列矯正を受けた方もいる

一般的に,12−18歳で受けるとすれば,そのまま日本における普及率の推移とも読める.

先行研究では,人口の35-40%が歯列矯正の必要とされ,女性では過半数が通院加療している

被験者の所得水準を追加すると,健康の社会的決定要因としての経済的要因が見えるだろう

学校歯科検診では不正咬合の要治療患者は5%程度.海外では35%程度.

 

国民健康・栄養調査報告

国民健康・栄養調査(令和元年)・・・結果の概要報告書 xls形式の統計表 (政府統計の窓口 e-stat ホームページへ移動します)

 

H30_国民健康栄養調査

 

健康の社会的決定要因として,歯科における社会経済的格差(不平等)は,歯の本数に影響を与えている.

世帯年収と歯の本数

 

 

 

― わが国の公的医療保険 歯科矯正に関するもの の流れ

 

明治07 1874年 恤救(じゅっきゅう)規則

大正11 1922年 (旧)健康保法

和13 1938年 (旧)国民健康保険法

昭和20 1945年 終戦

昭和22 1946年 WHO憲章(健康の定義)

昭和25 1950年 社会保障制度に関する勧告,生活保護法

昭和26 1951年 WHO加盟

昭和33 1958年 国民健康保険法の制定

昭和36 1961年 国民皆保険の実現

昭和48 1973年 70歳以上の医療費が無料に(自己負担ゼロ)

昭和50 1975年 第76回国会 衆議院 社会労働委員会 第1号 昭和50年11月11日

             兎唇口蓋裂に対する健康保険診療範囲の拡大に関する請願(第1497号)

昭和51 1976年 第82回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 昭和52年10月25日

             口唇裂・口蓋裂児の医療に関する件

昭和53 1978年 医療法改正により,標榜診療科 「矯正歯科」 「小児歯科」 の追加

昭和57 1982年 唇顎口蓋裂の保険導入

      ☛ 口蓋裂と矯正歯科―その保険導入の前後

      ☛ 谷間の口がい裂児:この子らに健保を

昭和58 1983年 老人保健法の施行

昭和59 1984年 職域保険(被用者保険)本人の自己負担1割

        そしゃく機能障害 ☛ 第101回国会 衆議院 社会労働委員会 第30号 昭和59年8月1日

平成02 1990年 顎変形症の保険導入

平成07 1995年 学校歯科健診に歯並びの項目が追加される

平成08 1996年 顎口腔機能診断施設基準の追加

平成09 1997年 同自己負担2割

平成10 1998年 (3/31: 歯科矯正の保険適応を求める署名

平成14 2002年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

平成15 2003年 同自己負担3割

平成16 2004年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

平成20 2008年 後期高齢者医療制度始まる

             別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

平成22 2010年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

平成26 2014年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

平成27 2015年 医療保険制度改革法が成立

平成28 2016年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

             (国民健康保険への財政支援の拡充、

              入院時の食事代の段階的引き上げ、

              紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入などが盛り込まれた)

平成30 2018年 国民健康保険の財政運営が、市町村から都道府県単位に変更

             別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

             前歯3歯以上の永久歯萠出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)

令和01 2019年 成育基本法(基本的な方針

令和02 2020年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

令和04 2022年 別に厚生労働大臣が定める疾患の追加

 

学校歯科検診において専門医の受診が勧められるもの

  → 諸外国における公的医療保険の適用基準(下記参照)と比較する

    ☛ 「子どもの歯科矯正」 への公的医療保険の国際比較(OECD加盟国)
    ☛ ヨーロッパ諸国における歯科矯正医療の公的医療保険の現状(2010)
    ☛ 米国における歯科矯正の公的医療保険.「医学的に必要な歯科矯正」基準

  ☛ 厚生労働省,文部科学省との基準統合,国際基準 IOTN との整合性を要する

 

⇒ 子どもの健全な発育のための歯列咬合マニュアル

学校歯科健診_

 

 

口腔保健プログラム(OHP;Oral Health Program)

ワシントンDC

School-Based Oral Health Programs (ボストン大学)

School-based Oral Health Programs(オレゴン州)

Natinal School Oral Health Programme(インド)

School Oral Health Progeam(クウェート)

Integrating Oral Health into School Health Programs and Policies(カルフォルニア州)

 

 

 

平成28年までは,下顎前突の

学校歯科検診の基準

 ※ 学校歯科健診において専門医(歯科医師)による診断が必要と通知されるもの

☛ 学校歯科健診にて受診が必要とされた検査・診断料は保険適用される.

学校保健安全法施行規則

第二章 健康診断
 第一節 就学時の健康診断
 (方法及び技術的基準)
  第三条 法第十一条の健康診断の方法及び技術的基準は、次の各号に掲げる検査の項目につき、当該各号に定めるとおりとする。
   九 歯及び口腔の疾病及び異常の有無は、齲歯歯周疾患不正咬合その他の疾病及び異常について検査する。

 第二節 児童生徒等の健康診断
 (検査の項目)
  第六条 法第十三条第一項の健康診断における検査の項目は、次のとおりとする。
   七 歯及び口腔の疾病及び異常の有無(☛上記:第三条の九

 (事後措置)
  第九条 学校においては、法第十三条第一項の健康診断を行つたときは、二十一日以内にその結果を幼児、児童又は生徒にあつては当該幼児、児童又は生徒及びその保護者(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第十六条に規定する保護者をいう。)に、学生にあつては当該学生に通知するとともに、次の各号に定める基準により、法第十四条の措置をとらなければならない。
   一 疾病の予防処置を行うこと。
   二 必要な医療を受けるよう指示すること。

 

☛ 文部科学省令:健康診断の方法

   ◎ 健康診断
   ◎ 健康診断マニュアル
   ◎ 【事務連絡】児童,生徒,学生
   1 「歯列・咬合」の欄 歯列の状態、咬合の状態について、
      0  異常なし、
      1  定期的観が必要、
      専門医(歯科医師)による診断が必要
     の3区分について、それぞれ 0、1、2で記入する。

 

 

児童、生徒、学生、幼児及び職員の健康診断の方法及び技術的基準の補足的事項及び健康診断票の様式例の取扱いについて

事務連絡 平成27年9月11日   文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課

8 歯及び口腔の検査(規則第3条第9号関係)

歯及び口腔の検査に当たっては、下記に留意して実施すること。
(1)口腔の検査に当たっては、顎、顔面の全体を診てから、口唇、口角、舌、舌小帯、口蓋、その他口腔粘膜等の異常についても注意すること。
(2)歯の検査は下記に留意して実施すること。
    ア 歯の疾病及び異常の有無の検査は、処置及び指導を要する者の選定に重点を置くこと。
    イ 咬合の状態、歯の沈着物、歯周疾患、過剰歯、エナメル質形成不全などの疾病及び異常については、特に処置又は矯正を要する程度のものを具体的に所定欄に記入すること。
    ウ 補てつを要する欠如歯、処置を要する不適当な義歯などのあるときは、その旨「学校歯科医所見」欄に記入すること。
    エ はん状歯のある者が多数発見された場合には、その者の家庭における飲料水についても注意すること。
(3)その他、顎顔面全体のバランスを観察し、咬合の状態、開口障害、顎関節雑音、疼痛の有無、発音障害等についても注意すること。

 

 

学校健康診断(含む;学校歯科健診)

 

1.児童生徒等の健康診断とは

  〇 学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資することを目的とし、子供の健康の保持増進を図るために実施するもの。
  ○ 学校生活を送るに当たり支障があるかどうかについて疾病をスクリーニングし、健康状態を把握するという役割と、学校における健康課題を明らかにして健康教育に役立てるという、大きく二つの役割がある。

2.内容

  学校では、毎年4〜6月の時期に年1回健康診断が行われる(学校保健安全法施行規則第5条)。

  児童生徒等の健康診断における検査項目(学校保健安全法施行規則第6条)

1 身長及び体重
2 栄養状態
3 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無並びに四肢の状態
4 視力及び聴力
5 眼の疾病及び異常の有無
6 耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無
歯及び口腔の疾病及び異常の有無
8 結核の有無
9 心臓の疾病及び異常の有無
10 尿
11 その他の疾病及び異常の有無

3.関連諸規定について

 【健康診断票の送付】
  ○ 校長は、児童生徒が進学または転学した場合においては、当該児童生徒の健康診断票を進学先または転学先の校長に送付(学校保健安全法施行規則第8条第2項及び第3項)。

 【健康診断票の保存期間】
  ○ 児童生徒等の健康診断票は、5年間保存(学校保健安全法施行規則第8条第4項)。

 

学校健康診断をめぐる現状と経緯について(令和元年10月30日 初等中等教育局 健康教育・食育課)

学校保健統計調査/昭和23年〜令和3年(1995年調査より) 

 

1995年に歯列咬合の項目が加えられたが,公表されている調査結果は,

歯  ・  口  腔
口腔の疾病・異常
む し 歯(う歯) その他の歯疾患
処置
完了者
未処置歯のある者

と分類公表されている.「その他の疾患」 もしくは 「口腔の疾病・異常」

 

平成18年 2006年 の調査から,「歯列・咬合・顎関節」の項目についての結果を知ることができる.

歯  ・  口  腔
むし歯(う歯)歯列・咬合顎関節歯垢の状態歯肉の状態疾病・異常
その他の
完了者
処 置
のある者
未処置歯

  

 

歯及び口腔の疾病及び異常の有無

 

 

 

 

 

 

 

― 子どもの権利条約 と こども基本法 わが国における医療としての歯科矯正

 

子どもの権利条約(Convention on the Rights of the Child)における child

Child:@ 子ども,A 児童

第1条 子ども(児童)とは18才未満のすべての者をいう.

 

☛ 参考:

我が国の 「世間」 においては,幼いもの,わらわ,わらべ,小児などを 「こども」 としてきた.法令上における 「児童」 の年齢範囲はさまざまでありこうした世間・社会通念の変化をうかがい知ることができる.グローバルな現代社会の観点からは,18才未満のすべての者を 「子ども」 =「児童(あるいは,児童生徒)」 と解釈してよいのではないか.以下に児童の定義に関する関連した法令上の区分を記した.

広辞苑
こ‐ども【子供】
@自分の儲もうけた子。むすこ。むすめ。
A幼いもの。わらわ。わらべ。小児。まだ幼く世慣れていないことにもいう。枕草子28「あからさまにきたる―わらはべを見入れ」 ↔ 大人。

参考 ☛ 世間とは何か

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各省庁間での相違について:

 ユニセフ;「子ども」 と翻訳.「子どもの権利条約」

 外務省:「児童」と翻訳.「児童の権利に関する条約

 文部科学省: 「児童の権利に関する条約」と記しているが,文部事務次官通知(平成6年5月20日)では 「児童生徒」 と記載説明.

☛ 学校教育法上,児童(小学生),生徒(中学・高校生).

 厚生労働省:「児童」.「児童の権利に関する条約

 

参考:わが国における法令上の「子ども」の定義年齢(附;高齢者)

 ☛ 各種法令による児童等の年齢区分(厚生労働省)

 

 年齢区分による呼称根拠法令 
WHOchild子どもの権利条約
第1条 児童とは18才未満のすべての者をいう.
18才未満のすべての者
    
子ども子ども・子育て支援法
(定義)
第六条 この法律において「子ども」とは、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者をいい、「小学校就学前子ども」とは、子どものうち小学校就学の始期に達するまでの者をいう。
十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者
☛ 国際的には,18才未満を「child 子ども」,18歳以降は成人.
☛ 我が国においても法令上さまざまな区分はあるが,日本国憲法,公職選挙法,民法上において18才をもって成年とされる.
子ども新生児出生後4週未満の児
乳児 生後4週以上1歳未満の児
幼児 満1才から小学校就学の始期に達する者
小児 1歳以上,7歳未満
園児学校教育法
第二十六条 幼稚園に入園することのできる者は、満三歳から、小学校就学の始期に達するまでの幼児とする。
第十七条 保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。ただし、子が、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまでに小学校の課程、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部の課程を修了しないときは、満十五歳に達した日の属する学年の終わり(それまでの間においてこれらの課程を修了したときは、その修了した日の属する学年の終わり)までとする。
A 保護者は、子が小学校の課程、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部の課程を修了した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十五歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを中学校、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の中学部に就学させる義務を負う。
B 前二項の義務の履行の督促その他これらの義務の履行に関し必要な事項は、政令で定める。
第十八条 前条第一項又は第二項の規定によつて、保護者が就学させなければならない子(以下それぞれ「学齢児童」又は「学齢生徒」という。)で、病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる者の保護者に対しては、市町村の教育委員会は、文部科学大臣の定めるところにより、同条第一項又は第二項の義務を猶予又は免除することができる。
 高等学校 生徒
 大学    学生
幼稚園
学齢児童小学校
学齢生徒中学校
生徒高等学校
学生大学,高等専門学校
児童
道路交通法
第二章 歩行者の通行方法
(目が見えない者、幼児、高齢者等の保護)
3 児童(六歳以上十三歳未満の者をいう。以下同じ。)若しくは幼児(六歳未満の者をいう。以下同じ。)を保護する責任のある者は、交通のひんぱんな道路又は踏切若しくはその附近の道路において、児童若しくは幼児に遊戯をさせ、又は自ら若しくはこれに代わる監護者が付き添わないで幼児を歩行させてはならない。
6歳以上13歳未満の者
児童福祉法
第四条 この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいい、児童を左のように分ける。
一 乳児 満一歳に満たない者
二 幼児 満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
三 少年 小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者

児童虐待防止法など
満18歳に満たない者
少年/少女児童福祉法

少年法
第一章 総則
(定義)
第二条 この法律において「少年」とは、二十歳に満たない者をいう。
小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者

20歳に満たない者
 小人/大人

乗り物,風呂屋,入場料など:

大人(だいにん,おとな)/小人(しょうにん)という年齢区分.

12才までを小人,大人は中学生以上とすることが多い.

例えば:松山城の例

      今治城では18才未満(子ども)は無料

 若者 15-29
 青年(青春)健康日本21
 幼年期 0-4
 少年期 5-14
 青年期15-29
 壮年期30-44
 中年期45-64
 高年期65-

Wikipedia「青年」

青春 Youth:Samuel  Ullman



15-29




その他いろいろ

Youth is not a time of life; it is a state of mind.
青春とは人生の或ある期間を言うのではなく心の様相を言う.優れた創造力,逞ましき意志,炎ゆる情熱,怯懦を却りぞける勇猛心,安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言う.人は年を重ねただけで老いない.理想を捨てることによって老いる.
おとな成年者(成人)日本国憲法
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
B 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
公職選挙法
(選挙権)
第九条 日本国民で年齢満十八年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。
民法
第三節 行為能力
(成年)
第四条 年齢十八歳をもって、成年とする。
18歳以上
中高年齢者

高年齢者
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則
第一章 総則
(高年齢者の年齢)
第一条 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号。以下「法」という。)第二条第一項の厚生労働省令で定める年齢は、五十五歳とする。
(中高年齢者の年齢)
第二条 法第二条第二項第一号の厚生労働省令で定める年齢は、四十五歳とする。
中高年齢失業者等の範囲)
第三条 法第二条第二項第二号の厚生労働省令で定める範囲の年齢は、四十五歳以上六十五歳未満とする。

45歳以上65歳未満

55歳以上

 ☛ 法令では,高年齢者(55歳以上)高年齢者(65歳以上)の区別を要するみたいである.
高齢者国連
WHO
  前期高齢者
  後期高齢者

日本老年医学会の提言:
高齢者に関する定義検討ワーキンググループ報告書
  准高齢者
  高齢者
  超高齢者
60才以上
65才以上
  65ー74才まで
  75才以上



  65-74才
  75-89才
  90才以上

高齢世帯国民生活基礎調査65
   
後期高齢者 80歳以上
   
老人老人福祉法 第五条の四
所得税法の「老人扶養家族」
65歳以上の者
75
70

 

・医療法施行規則第十六条に関する疑義について〔「小児」の範囲〕(◆昭和31年05月21日医収第1860号) (mhlw.go.jp)

○医療法施行規則第十六条に関する疑義について

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医療法の疑義について

(昭和三一年五月一日 三一医第三七○号)

(厚生省医務局長あて長野県知事照会)

昭和三十一年二月二十三日付省令第一号をもって改正された医療法施行規則のうち左記について疑義がありますので御見解を承りたく照会いたします。

 

 

医療法施行規則第十六条第一項第四号の規定中「小児」とは具体的に何歳から何歳までを言うか。

 

(参考)

児童福祉法第四条

乳児 満一歳に満たない者

幼児 満一歳から小学校就学期に達するもの

児童 小学校入学期から満十八歳までのもの

 

学説(栗山博士)

小児とは出生から春機発動期(思春期)までをいう。

女児では、十四、五歳 男児では十六、七歳までをいう。

 

旅客及び荷物運送規則第九条

乳児 一歳未満

幼児 一歳から六歳未満

 六歳から十二歳未満

- - - - - - - - - - - - - - -

医療法施行規則第十六条に関する疑義について

(昭和三十一年五月二十一日 医収第一八六○号)
(長野県知事あて厚生省医務局長回答)

昭和三十一年五月一日三一医第三七○号をもって照会の標記について左記の通り回答する。

医療法施行規則第十六条第一項第四号に規定する「小児」とは通常小児科において診療を受ける者をいうのであって、具体的に何歳から何歳までと限定することは困難である。

 

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薬生安発 0608 第1号
平 成 29 年 6 月 8 日
各都道府県衛生主管部(局)長 殿

厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課長
(公印省略 )

医療用医薬品の添付文書等の記載要領の留意事項について

(5)「9.7 小児等」の記載に当たって、新生児、乳児、幼児又は小児とはおおよそ以下を目安とする。

ただし、具体的な年齢が明確な場合は「○歳未満」、「○歳以上、○歳未満」等と併記すること。なお、これ以外の年齢や体重による区分を用いても差し支えないこと。

 @ 新生児とは、出生後 4 週未満の児とする。
 A 乳児とは、生後 4 週以上、1 歳未満の児とする。
 B 幼児とは、1 歳以上、7 歳未満の児とする。
 C 小児とは、7 歳以上、15 歳未満の児とする

(6)「9.8 高齢者」の記載に当たって、高齢者とは 65 歳以上を目安とし、必要に応じて 75 歳以上の年齢区分に関する情報も記載すること。ただし、記載に当たって具体的な年齢が明確な場合は「○歳以上」と併記すること。なお、これ以外の年齢区分を用いても差し支えないこと。

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子供
こども
子ども

乳児
幼児
小児
園児
児童
生徒
学生
若者
少年・少女
青少年
青年成人

高齢者

高齢世帯
後期高齢者
老人
Child
Child
Child

infant, baby
toddler
Child, pediatric
preschool child
Child
Student, Pupil
Student
Youth
Boys and Girls
Youth, adolescent
Youth Adult

Elderly
Elderly Households
Late-Stage Senior Citizens
Older Adults

 

子ども権利条約

1989年「子どもの権条約」は国連で採択され,1990年国際条約として発効.
日本は1994年4月22日に批准し,1994年5月22日に発効した.

政府訳:

第24条
1.締約国は、到達可能な最高水準の健康を享受すること並びに病気の治療及び健康の回復のための便宜を与えられることについての児童の権利を認める。締約国は、いかなる児童もこのような保健サービスを利用する権利が奪われないことを確保するために努力する。
2.締約国は、1の権利の完全な実現を追求するものとし、特に、次のことのための適当な措置をとる。
 a. 幼児及び児童の死亡率を低下させること。
 b. 基礎的な保健の発展に重点を置いて必要な医療及び保健をすべての児童に提供することを確保すること。

☛ 「子どもの歯科矯正」 における公的医療保険の国際比較(OECD加盟国)

☛ ヨーロッパ諸国における歯科矯正医療の公的医療保険の現状(2010)

 c. 環境汚染の危険を考慮に入れて、基礎的な保健の枠組みの範囲内で行われることを含めて、特に容易に利用可能な技術の適用により並びに十分に栄養のある食物及び清潔な飲料水の供給を通じて、疾病及び栄養不良と戦うこと。
 d. 母親のための産前産後の適当な保健を確保すること。
 e. 社会のすべての構成員特に父母及び児童が、児童の健康及び栄養、母乳による育児の利点、衛生(環境衛生を含む。)並びに事故の防止についての基礎的な知識に関して、情報を提供され、教育を受ける機会を有し及びその知識の使用について支援されることを確保すること。
 f. 予防的な保健、父母のための指導並びに家族計画に関する教育及びサービスを発展させること。
3.締約国は、児童の健康を害するような伝統的な慣行を廃止するため、効果的かつ適当なすべての措置をとる。

   ☛ 我が国における「子どもの歯列矯正は審美・美容とする考え」は,伝統的な慣行に当たらないか?

       ↳ 国税庁,厚生労働省,文部科学省の省庁間における見解の相違(下表参照

 国税庁子どもの歯科矯正は医療費として医療費控除可としている.
 厚生労働省不正咬合は疾病でなく美容目的との見解であるが,厚生労働省監修の国際疾病分類では疾病として分類記載されており,不可解な矛盾がある.
 文部科学省学校健診における不正咬合:子どもの健康に影響を与えるとして学校健診を実施.その後の対応に国民より多数の疑問.

4.締約国は、この条において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成するため、国際協力を促進し及び奨励することを約束する。これに関しては、特に、開発途上国の必要を考慮する。

ユニセフ協会抄訳

第24条 健康・医への権
   子どもは,健康でいれ,必要な医療や保健サービスを受ける権利をもっています.

 

こども基本法

(施行期日)
第一条 この法律は、令和五年四月一日から施行する。
(検討)
第二条 国は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況及びこども施策の実施の状況を勘案し、こども施策が基本理念にのっとって実施されているかどうか等の観点からその実態を把握し及び公正かつ適切に評価する仕組みの整備その他の基本理念にのっとったこども施策の一層の推進のために必要な方策について検討を加え、その結果に基づき、法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする。

 

こども家庭庁設置法

こども家庭庁は、心身の発達の過程にある者(以「こども」という。)が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向け、子育てにおける家庭の役割の重要性を踏まえつつ、こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、こども及びこどものある家庭の福祉の増進及び保健の向上その他のこどもの健やかな成長及びこどものある家庭における子育てに対する支援並びにこどもの権利利益の擁護に関する事務を行うことを任務とする。

 

こどもの医療費助成

多くの各自治体では,子どもの医療費の自己負担分を助成している.対象年齢は15歳,18歳など様々である.助成水準について,子どもの医療費の自己負担は,健康保険制度では原則、小学校入学前は2割、小学生以上は3割だが,各自治体が独自で無料化や軽減策などを実施し,助成水準は自治体によって異なる. 参考:広島市 

 

児童福祉法

第一章 総則

第一条全て児童は、児童の権利にする条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。

第二条 全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。
 A 児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。
 B 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。
第三条 前二条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたつて、常に尊重されなければならない。

 

子ども・若者育成支援推進法

第一章 則
(目的)
第一条 この法律は、子ども・若者が次の社会を担い、その健やかな成長が我が国社会の発展の基礎をなすものであることにかんがみ、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、子ども・若者をめぐる環境が悪化し、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者の問題が深刻な状況にあることを踏まえ、子ども・若者の健やかな育成、子ども・若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援その他の取組(以下「子ども・若者育成支援」という。)について、その基本理念、国及び地方公共団体の責務並びに施策の基本となる事項を定めるとともに、子ども・若者育成支援推進本部を設置すること等により、他の関係法律による施策と相まって、総合的な子ども・若者育成支援のための施策(以下「子ども・若者育成支援施策」という。)を推進することを目的とする。

(基本理念)
第二条 子ども・若者育成支援は、次に掲げる事項を基理念として行われなければならない。
一 一人一人の子ども・若者が、健やかに成長し、社会とのかかわりを自覚しつつ、自立した個人としての自己を確立し、他者とともに次代の社会を担うことができるようになることを目指すこと。
二 子ども・若者について、個人としての尊厳が重んぜられ、不当な差別的取扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分に尊重しつつ、その最善の利益を考慮すること。
三 子ども・若者が成長する過程においては、様々な社会的要因が影響を及ぼすものであるとともに、とりわけ良好な家庭的環境で生活することが重要であることを旨とすること。
四 子ども・若者育成支援において、家庭、学校、職域、地域その他の社会のあらゆる分野におけるすべての構成員が、各々の役割を果たすとともに、相互に協力しながら一体的に取り組むこと。
五 子ども・若者の発達段階、生活環境、特性その他の状況に応じてその健やかな成長が図られるよう、良好な社会環境(教育、医療及び雇用に係る環境を含む。以下同じ。)の整備その他必要な配慮を行うこと。
六 教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用その他の各関連分野における知見を総合して行うこと。
七 修学及び就業のいずれもしていない子ども・若者その他の子ども・若者であって、社会生活を円滑に営む上での困難を有するものに対しては、その困難の内容及び程度に応じ、当該子ども・若者の意思を十分に尊重しつつ、必要な支援を行うこと。

第二章 子ども・若者育成支援施策

(子ども・若者育成支援推進綱)
第八条 子ども・若者育成支援推進本は、子ども・若者育成支援施策の推進を図るための大綱(以下「子ども・若者育成支援推進大綱」という。)を作成しなければならない。

2 子ども・若者育成支援推進大綱は、次に掲げる事項について定めるものとす。
 一 子ども・若者育成支援施策に関する基本的な方針
 二 子ども・若者育成支援施策に関する次に掲げる事項
   イ 教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用その他の各関連分野における施策に関する事項
   ロ 子ども・若者の健やかな成長に資する良好な社会環境の整備に関する事項
   ハ 第二条第七号に規定する支援に関する事項
   ニ イからハまでに掲げるもののほか、子ども・若者育成支援施策に関する重要事項

 

こども政策の充実 予算の在り方

令和4年1月17(月)議院 予算委員会

 全世代型社会保 子育政策 イフステージに応じた支援についての議論

  発言者:高木陽介(公明党),答弁者:岸田文雄(内閣総理大臣)

子ども不妊治の保険適用,教科書の無償配布,出産育児一時金の増額,幼児教育保育の無償化
子ども家庭庁の来年度からの発足.子供の年齢に応じた支援について

全世代型社会保障構築本部

日本の子育て関連の公的支出は対GDP比で欧州諸国の分程度であり,子どもの関連予算の倍増も緊の課題ですよね.
基本的な考え方として,子どもの視点に立って必要な子ども政策は何か?財源について社会前提でどのように負担するのか,考え方を整理し,その上で倍増の議論を進めていかなければならない.来年の「骨太の方針」には倍増の道筋を示していきたい.

動画

 

 

― 学校における歯科健康教育の国際比較

 

口腔保健プログラム(OHP;Oral Health Program)

 

ワシントンDC

School-Based Oral Health Programs (ボストン大学)

School-based Oral Health Programs(オレゴン州)

Integrating Oral Health into School Health Programs and Policies(カルフォルニア州)

Natinal School Oral Health Programme(インド)

School Oral Health Progeam(クウェート)

 

 

    いじめ,自尊心,QOLと歯列不正との関係

子どもの権利条約:子どもの健やかな成長への健康を享受する環境の確保

 

 

歯列矯正といじめについて:

我が国と西洋諸国における相違:西洋先進諸国においては歯列異常(歯並びがわるいこと)が いじめ の対象となり,健康上の理由(社会的,精神的,身体的)や生活機能(身体機能,社会参加,制約)といった社会生活や自尊心の改善のため歯科矯正医療が公衆衛生上の問題として,公平な社会保障制度によって国民に提供されている.一方,わが国では,治療のためにつける装置自体が いじめ の対象となることが報告されていることが大きな相違である.これは,我が国においては,国際疾病分類においても「歯や顎の大きさや位置異常」は疾病分類されているにもかかわらず,歯列不正は個人の問題と政府も考えていることによる.子どもたちの健やかな発育,学校社会における公平な医療アクセスを学ぶ場においてさえも公平な歯科矯正医療へのアクセスが保障されておらず,子どもたちの社会においてさえ,歯列不正を治療している子どもは裕福な子どもであり,歯科矯正医療に対する不平等感の認識が存在していることは実際の医療現場においても体験することが多い.

わが国の賃金の伸びは低迷しており,歯科矯正医療には高額な費用を要することから,社会経済的理由によって歯科矯正医療へのアクセスの公平性が制限されており,歯科矯正医療を享受できない多くの子どもたちが存在している.公平な学校教育の場において,歯列矯正をできる子 と できない子 の 不平等感 を子どもたちは感じ, いじめ の対象となるのではないだろうか? 

歯科矯正 と いじめ については,こうしたわが国の医療制度の是正がなされていない背景を理解する必要がある.公平な不平等なき学校環境が構築されるよう早急な是正が必要である.

  ⇒(こどもの権利条約:公平な医療を受ける権利)

 

 日 本西洋諸国
いじめ の対象 
装着された矯正器具
歯列・顔貌の異常
(上顎前突,開咬など)
背 景
歯列矯正は高額
不平等な学校現場
公的医療保障
子どもたちの健康は公平に保障

 

実際の事例: 

@ 双子の子ども(小学生,上顎前突): 歯列矯正.一期治療として顎の発育を促進する治療を行っていた.明るい母親と2人の子どもはいつも予約時間どうりに受診し,治療経過についてもいつも笑顔で応対していたが,ある日キャンセルがありしばらく来られなかった.3ヵ月ぐらい後に電話予約があり,待合室では父親と子どもが待っており母親の姿がなかった.私も「こんにちは,久しぶりですね.いつもお母さまとこられていたのですがお元気ですか?」と話しかけたところ,父親から「妻は先月ガンで急に亡くなりました」とのお話をいただき,費用負担の面からも治療を中止したいとの申出をいただいた.一期治療のため,可撤式装置FKOを使用し,ある程度の改善が得られ二期治療に移るまえであったが,今後の経済的負担を考え治療継続は中止せざるをえなかった.

A 女子生徒(高校生,乱杭歯): 歯並びの治療を希望して母親と受診.検査を終え,治療計画の説明を行い,明るい朗らかな女子生徒は楽しそうに話を聞いていた.治療費の説明になったところで,女子生徒はしだいにうつむき加減になり,「治療はやっぱりしたくない」 と言い出した.母親も 「えっ,どうして?」 と聞くが,泣きだす.しだいに落ち着き 「だってこんなにお金かかるんだったら,したくない.だってうちこんなお金ないじゃん」 と言う.母親も驚き 「えっ,あんたばかねぇ,先生すいません」 と,母は思わぬ子どもの言葉に涙し,またご連絡いただくことになったが,ご連絡はまだない.

B 女子生徒(不登校):日本学校歯科医会 柘植紳平会長はご自身の体験として,不登校になった女子生徒が,その原因として,歯並びが悪いことを気にして治療を望んでいたが家庭での折り合いがあわず,父親からも治療への理解と援助ができなかったことの事例を,講演(第28回福岡県学校歯科保健研究大会, 2023/11/18, 時局講演 「学校歯科保健の最新の動向」 )の中で述べられた.学校歯科健診は実施されているが,その後の事後処置について,社会経済的理由からアクセスできない国民が多く存在している.児童生徒の自尊心や外見上の問題は健康上の問題であり,これを改善することは子どもの健やかな精神発育や社会生活にとって重要であるとの認識,我が国においては健康の社会的・精神的側面が軽視され,公的医療保障の適用は見送られ続けている.不登校児(社会参加への制約)の事例の中に,同様の児童生徒が多く含まれることは,以下の先行研究からも容易に推察される.

 以上の事例は,けっして稀なものではなく,歯科医師,とくに矯正歯科医のほとんどは,必ず何度も経験しているはずであるが見えていないのである.

問: (社会疫学の視点)  国民が公平に受けることができない歯科矯正は医療なのか?

(文化歴史背景)    欧米諸国と異なったわが国の現状はなぜか?

(社会・政策課題) 国家としての健康指標はどこにおくべきなのか?

 歯科矯正にかかる費用は,Web検索によって事前に調べられるようになった今日では,こうした事例は少なくなったが,以前には毎年何人もの患者が,治療費の説明のところで,えっ,こんなに費用がかかるのですか? と はじめて知ってびっくりすることがよくあった.

☛ わが国において,成人(社会人)の歯科矯正患者が多い理由は,このような社会背景に起因している.歯科疾患実態調査(平成4年度)において 「歯科矯正治療の経験」がはじめて調査されたが,被験者1,023名のうち経験者は7.7% と極めて少なく,我が国においては公平な医療ではなく,歯科矯正は美容医療なのである.西洋諸国の公的医療保障の適用基準のように,本来,歯科矯正の適切な時期は児童生徒の時期であり,20才までに歯科矯正治療は終わっているのが,公平な社会の理想である.わが国では20才以上の年齢で 「現在受けている」 と回答する被験者も多くこれを裏付ける結果が示されている.

 初診患者の受診理由欄に,「はやく治療したかったが家族に迷惑をかけたくなかった」,「社会人となり自分のお金ができた」 などを理由とする方は実に多い.

 

 

 

いじめは歯列不正と科学的に関係

Bullying scientifically linked to malocclusion
British Dental Journal, 211: 587- 2011.

 

歯列不正といじめには関係があるのか? システマティックレビュー

Is there a relationship between malocclusion and bullying? A systematic review
Progress in Orthodontics, 21: 26- 2020.

すべての研究は言葉によるいじめを評価し、3つの研究では身体的ないじめも検討した。いずれのタイプも不正咬合と関連していることが報告され、極端なオーバージェット(4mm以上、6mm以上、9mm以上)、極端な深い過蓋咬合、前歯の離開や歯が欠損していることが、いじめと最も強い関係を持つ不正咬合のタイプであることが示された。このシステマティック・レビューの結果は、目立つ極端な不正咬合は、児童や青少年のいじめの発生に関係していることを示唆していた。

 

不正咬合・矯正治療が及ぼす心理的・機能的影響 : 岡山大学歯学部附属病院矯正科におけるアンケート調査
Psychological and functional problems of malocclusion and orthodontic treatment on patients and parents:

 Questionnaire at the Department of Orthodontics, Okayama University Dental Hospital
Orthodontic waves: Journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 58 (1), 65-75, 1999.

岡山大学歯学部附属病院矯正科における患者および保護者にアンケート調査を実施し, 患者719人(男子233人, 女子486人), 保護者555人(男子患者199人, 女子患者356人)から, 「矯正治療前, 歯並びや口元のことでからかわれたりいじめられたことがあった」と答えたのは男子9.4%, 女子12.1%であった.

 

 ☛ 本研究では,口唇裂・口蓋裂患者,顎変形症患者は調査から除外.公的医療保障の適用されるこれらの重度歯列不正患者(IOTN Grade5)をふくめると,より高い頻度になるのではないか.

 ☛ 社会経済的理由から,歯列矯正医療へのアクセスができない子どもたちが,学校において健やかな生活ができるように,公平な医療を保障する権利について.

   ☛ 子どもの権利条約

第24条
1.締約国は、到達可能な最高水準の健康を享受すること並びに病気の治療及び健康の回復のための便宜を与えられることについての児童の権利を認める。締約国は、いかなる児童もこのような保健サービスを利用する権利が奪われないことを確保するために努力する。

 

傷つきやすい青少年における不正咬合といじめの関係

Correlation between malocclusion and history of bullying in vulnerable adolescents
Angle Orthod (2022) 92 (5): 677–682.

矯正治療の必要性を自己認識することと、前方オーバージェットの増加との間に興味深い相関関係が示され,先行研究と一致し、年齢に応じて個人の不正咬合に対する意識が高まっていることを示した.一般的な文献では、オーバージェットの増加は、笑顔の審美性に最も影響を与え、口腔関連QOLに影響を与える咬合状態の1つであると報告されており,矯正治療の必要性は、口腔健康関連QOLに2倍のマイナスの影響を与えた。今回の調査結果は、このテーマの臨床的妥当性を補強するものであった。いじめ防止対策は、思春期の子どもたちを支援する上で不可欠な役割を果たす学校環境において効果的でなければならない。結論として,不正咬合はいじめ歴と相関しなかったが,上顎のオーバージェットの増加は、青年の自己認知に影響を与え、いじめの潜在的な条件となることが示唆された。

 

ブラジルのティーンエイジャーにおける口腔の健康に関連したQOL、矯正治療の必要性、いじめとの関係

The relationship between oral health-related quality of life, the need for orthodontic treatment and bullying, among Brazilian teenagers

Dental Press J. Orthod. 24 (2): 73-80, 2019.

矯正歯科治療は、口腔の健康と機能回復を主な目的としているが、心理的・社会的影響が結局は治療需要の主な理由となっている。目的:ブラジルのティーンエイジャーにおける口腔健康関連QOL(OHRQoL)、矯正治療の必要性、いじめとの関連を明らかにすること。方法:これは横断疫学研究である。不正咬合の評価にはDental Aesthetic Indexを用いた。また、OHRQoLの分析にはOral Health Impact Profile-14を用いた。いじめの調査にはKidscape質問票を用いた。また、以下の変数が含まれた:矯正治療の既往、見た目を良くするために歯を治したいという願望。多変量解析は、OHRQoLの低さを応答変数としたロジスティック回帰を用いて行った。結果:815人のティーンエイジャーが研究に参加した。口腔健康関連QOLと、矯正治療歴(p= 0.0270)、歯並びを治したいという願望(p< 0.0001)、性別(p= 0.0309)、いじめの被害歴(p< 0.0001)、いじめエピソードの頻度(p= 0.0170)、いじめの結果(p< 0.0001)という変数との間には、統計的に有意な関連が認められた。OHRQoL不良の危険因子として、矯正治療歴の欠如(OR=2.191)、いじめの悪影響(OR=3.042)が考えられた。

結論:矯正治療の必要性はOHRQoLと関連しなかったが、いじめと矯正治療歴はこの変数と統計的に有意な関連を示した。

 

 

Impact of oral health and body image in school bullying.

 Spec Care Dentist. 2019;39 (4):375–379.

 

Seehra J, Newton JT, DiBiase AT.

 Bullying in schoolchildren - its relationship to dental appearance and psychosocial implications: an update for GDPs.

 Br Dent J. 2011; 14; 210 (9):411–415.

 

Al-Bitar ZB, Al-Omari IK, Sonbol HN, Al-Ahmad HT, Cunningham SJ.

 Bullying among Jordanian schoolchildren, its effects on school performance, and the contribution of general physical and dentofacial features.

 Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2013;144 (6):872–878.

 

 

不正咬合が児童・青少年のQOLに及ぼす影響:定量的研究のシステマティック・レビュー

The impact of malocclusion on the quality of life among children and adolescents: a systematic review of quantitative studies
European Journal of Orthodontics, 37(3): 238–247, 2015.

質の高い4つの研究が、不正咬合がOHRQOLに悪影響を及ぼし、主に感情的・社会的ウェルビーイングの次元で悪影響を及ぼすと報告していることから、科学的証拠は強いと考えられた。

 

規範的矯正治療の必要性と口腔健康関連QOLの関係

The relationship between normative orthodontic treatment need and oral health-related quality of life

Community Dent Oral Epidemiol, 31(6):426-36, 2003.

矯正治療を終了した青少年は、現在治療中の青少年や治療を受けたことのない青少年よりも、日常生活活動に対する口腔保健上の影響が少な。IOTNを他の2つの口腔関連QOL尺度とと組み合わせることで、IOTN単独よりも青年の外見に対する知覚満足度についてより多くの情報が得られた。歯科矯正の必要性を評価する現行の方法は、有効な心理測定学的特性を有する口腔保健関連QOL測定や、必要性の認識測定によって補完されるべきである。

 

児童・生徒のいじめの対象としての審美的な歯の異常

Esthetic dental anomalies as motive for bullying in schoolchildren

Eur J Dent. 8(1): 124–128, 2014.

口腔を含む顔の審美性は、子供たちのQOLにも深刻な影響を与え、身体的、社会的、心理的な障害を引き起こす可能性がある。審美に関連した歯の異常を有する子どもは、いじめの標的となる可能性がある。本研究では、審美関連の歯の異常が原因で学校や家庭環境においていじめに苦しんでいる患者を紹介し、議論することを目的とした。審美性の欠如がいじめの主な原因である場合、適切な審美的歯科治療を提供することは、彼らのリハビリテーションの重要なステップである。歯科治療後、すべての患者の自尊心、自信、社会性、学業成績が著しく改善し、子供の外見に関する親の満足度も改善した。子供や青少年に対する攻撃的で差別的な行為を防止したり、阻止したりするためには、家庭や学校のケア提供者の双方がいじめについて常に注意を払うことが不可欠である。歯の異常がいじめの動機になることは明らかである。

 

 

☛  歯科矯正の歴史が浅く社会への適応が遅れている我が国においては,不正咬合といじめに関する調査研究はない.西洋諸国では いじめ の対象が,歯列不正や歯並びによる容貌であるのに対し,我が国においてはその対象が 歯列矯正装置 を装着していることが いじめ の対象となっていることが報告されている.これは,すなわち,所得格差など社会経済的状況によって,歯科矯正医療へのアクセスが容易な子どもたちと,十分な医療が受けられない子どもたちがわが国の学校現場には存在しており,子どもたちはこうした不平等を感じることによるものであろう.

☛  日本学校歯科医会の柘植紳平会長もご自身の体験として,ある不登校になった女子生徒が,歯並びが悪いことを気にし治療を望んでいたが家庭での折り合いが合わず治療ができないことが原因となっていたことをご講演(第28回福岡県学校歯科保健研究大会, 2023/11/18, 時局講演 「学校歯科保健の最新の動向」 )の中で述べている.学校歯科健診は実施されているが,このような自尊心や外見上の問題を改善することは健やかな健康上,大切なことであるが,我が国においては児童・生徒への公的医療保障の適用は放置されており,不登校児の中にこのような事例が含まれている現状は容易に推察される.

 

 

quality of life in British とはなにか?

 

(ˈkwɒlɪtɪ əv laɪf)

noun

the general well-being of a person or society, defined in terms of health and happiness, rather than wealth

Even when a condition can be totally cured, there is a period of reduced quality of life that most of us would just as soon avoid.

It is our responsibility to improve the quality of life for ourselves and others.

We have seen a worsening of the quality of life in our cities.

A healthy lifestyle leads to a better quality of life.

Collins English Dictionary. Copyright © HarperCollins Publishers

International Society for Quality of life Research(国際QOL研究学会)

 

 

歴史:下妻晃一郎 先生 行動医学研究 Vol.21, No. 1, 4–7, 2015 をご参照.

 

 この概念構造の基本は 1946年にWHOが提唱した健康の定義に基づいている。医療や福祉・介護の分野でQOLを論ずるには、概念の内容と範囲に関してのその分野における共通認識が必要である。医療者間でもよく議論がかみ合わないのは、概念の定義と範囲についての共通認識が不足していることが大きな原因と思われる。

QOLの概念の定義については、ISOQOLInternational Society for Quality of life Research)(国際QOL研究学会) などの専門学会で1980–90年代に深い議論が行われている。さらに、健康関連QOLHRQOL)という概念も1990年代の後半に提唱された。これは、QOLの中でも特に医療などの介入によって健康の改善が見込まれる部分、すなわち、スピリチュアリティと社会面の一部を除いた範囲の概念である。


 1949年には、医療者評価による身体的健康尺度である、KarnofskyPerformance StatusKPS) (後にECOG PSとして広く使われるように なる)が開発されたが、いずれも「主観」を測定する尺度ではなかった。一方、1960年代に入ると、米国のジョン ソン、ニクソンの二人の大統領が、quality of lifeという言葉を政策のスローガンに用いたとされ、一般にその言葉が認知されるようになったとされる。そして、本格的なQOLの概念を測定する自記式尺度の開発が世界的に 活発になったのが1970–80年代以降である。1984年には カナダの内科医であるSchipperが、がん患者用のQOL尺 度を開発し、それを栗原(昭和大学名誉教授)や江口(現、帝京大学教授)らが日本に紹介した。それを参考に、厚生省研究班(班長:栗原稔)で、日本で初めての本格的ながん患者用QOL尺度であるQOL-ACD1993年に開発された5)。同時期に欧州ではEORTC QLQが、米国ではFACTが開発されており、当時日本は欧米に研究面で後れを取っていなかった。 しかしその後日本では、残念ながらQOL尺度はあまり使われることがない時代が続いた。日本では市民の権利意識が薄かったことや、医学部や看護学部、薬学部など医療専門職の教育において、臨床疫学やEBM Evidence-Based Medicine)の考え方が21世紀に入るまで殆ど教えられることもなかったことや、医療心理の専門家が育たなかったことも、欧米に後れをとった理由の一つと思われる。

☛ 詳細は引用論文をお読みください.下妻晃一郎 行動医学研究 Vol.21, No. 1, 4–7, 2015

【引用】 飯田紀彦,北村由美,河原みどり,他 クオリティ・オブ・ライフ(QOL) の評価 自己記入式QOL質問表(QUIK) 及び改訂版(QUIK-R) の文献的展望,関西大学『社会学部紀要』第39巻第2号, 2008, pp.99-132

QOLという概念の源を探っていくと、近代自我主体の確立と、個人の生存権や幸福権の追求というモダニティの思想にたどりつく(Nordenfeld 1993、飯田1996)

医学において、治療目標のsurrogate endpointとしてQOLを評価する試みは、1948年のKarnofsky Performance Status Scaleによる化学療法の評価などが始まりで、1980年代になり、急速に数多の疾患特異的なQOL評価尺度が世界中で次々と開発されてきた。

QOL という概念が医学に導入された理由は、数量的検査成績や延命的治療効果をもっぱら重視してきた医療への反省として提唱されたものである(国府1990)

欧米におけるQOLとは四つ葉のクローバー(希望、信仰、愛情、幸福)であり、日本のQOLは、福禄寿(幸福、裕福、長寿)ではないか(飯田)

QOL-Oriented-Medicineは、曲解されているようなEvidence-Based-Medicine の対立軸ではなく、Evidence-Based-Medicine を基盤として、さらに心理的ー社会的ー実存的な存在である個人のオートノミーを包含した医療(Medical Service) を目指す潮流なのである。

このQOLの概念の原点は、近代西欧の自我主体の成立にある。

近代自我主体は、12 世紀のトーマス・アクイナスに始まる。その後、ルネッサンス、宗教革命、科学革命そして産業革命をへて近代の西欧において、個人が自ら選択し、自ら決断するオートノミーとしての個人尊重のあり方が唱えられた。

現代の精神医学や心理学における自我意識、客体としての自己や他者とのかかわりである間主観性などは、この自律性を有する自我主体が存在することによって成立する。そして、自律性を有する自我主体がめざすものとして、精神医学、心理学や健康学(メンタルヘルス)の立場からは、たとえばマズローのいう自我実現などが相当するし、近年治る見込みの無い疾患や、慢性的に症状が持続する疾患における治療目標として掲げられるQOLという概念もこの近代自我主体の考えを底としている。また、社会学的には、近代自我主体は、個人と社会という観点から捉えられ、前述のように、エミリー・ベンサムとジョン・スチュアート・ミルらが国家の干渉を少なくし、各人の利益追求を行うことを主張した。

 

なによりも大切にすべきは、ただ生きること ではなく、より良く生きることである (ソクラテス)

 

矯正歯科医療の結果として共通認識すべきQOLとはどこか?

  Angle paradigm  👉  Soft tissue paradigm

           健康 と 幸福

       個人の問題 と 社会の問題

 

QOL測定における尺度

health-related QOLHRQL

人の健康に直接影響するQOLであり,身体的状態,心理的状態,社会的状態,霊的状態,役割機能や全体的well-beingなどが含まれる

non-health related QOLNHRQL

環境や経済や政治など,人の健康に間接的に影響するが,治療などの医学的介入により直接影響を受けない部分のQOLを意味する 6)

 

口腔関連QOLのいろいろな尺度:

General Oral Health Assessment IndexGOHAI

Oral Health Impact ProfileOHIP

Oral Impacts on Daily Performance OIDP

Oral Health-related Quality of Life Model for Dental Hygiene OHRQL

Orthognathic Quality of Life QuestionnaireOQLQ

Index of orthodontic treatment needIOTN

child oral health impact profile (COHIP)

様々な口腔関連QOLの尺度が開発され,応用されている.それぞれの尺度には特徴があ り,多様な臨床および研究の条件下で標準となるものは認められていない.

 

 

矯正歯科とQuality of Lifeの報告(年度順)

広島大学では,矯正科に在局当時,補綴科の吉田光由先生がQOLの研究調査を行っていた.

吉田 光由 , 松尾 勝弘 , 和田本 昌良 , 佐藤 裕二 , 赤川 安正 , 津留 宏道 総義歯治療が無菌顎者の生活の質(QOL)に及ぼす影響に関する臨床的研究 広島大学歯学雑誌 25(1), 257-261, 1993-05-06

EBM  NBM

質的研究について

Shaw WCAddy MRay C. Dental and social effects of malocclusion and effectiveness of orthodontic treatment: a review. Community Dent Oral Epidemiol. 1980 Feb;8(1):36-45.

Shaw WCAddy MDummer PMRay CFrude N. Dental and social effects of malocclusion and effectiveness of orthodontic treatment: a strategy for investigation. Community Dent Oral Epidemiol. 1986 Feb;14(1):60-4.

Cunningham SJ, Hunt NP. Quality of life and its importance in orthodontics. J Orthod. 2001 Jun;28(2):152-8.

Tajima M1, Kohzuki M, Azuma S, Saeki S, Meguro M, Sugawara J. Difference in quality of life according to the severity of malocclusion in Japanese orthodontic patients. Tohoku J Exp Med. 2007 May;212(1):71-80.

Shaw WC1Richmond SKenealy PMKingdon AWorthington H. A 20-year cohort study of health gain from orthodontic treatment: psychological outcome. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2007 Aug;132(2):146-57.

Kiyak HA  Does Orthodontic Treatment Affect Patients’ Quality of Life? Journal of Dental Education August 2008, 72 (8) 886-894;

It behooves the general dentist and orthodontist to listen carefully to each patient’s understanding of his or her malocclusion and its impact on quality of life domains, including oral function, appearance, social acceptance, and emotional well-being. Only then can the process of patient education and informed consent be successfully completed.

Liu Z, McGrath C, Hägg U. The impact of malocclusion/orthodontic treatment need on the quality of life. A systematic review. Angle Orthod. 2009 May;79(3):585-91. doi: 10.2319/042108-224.1. Review.

Taylor KR, Kiyak A, Huang GJ, Greenlee GM, Jolley CJ, King GJ. Effects of malocclusion and its treatment on the quality of life of adolescents. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2009 Sep;136(3):382-92.

CONCLUSIONS: Malocclusion and orthodontic treatment do not appear to affect general or oral health QoL to a measurable degree, despite subjective and objective evidence for improved appearance, oral function, health, and social well-being.

Benson P1O'Brien CMarshman Z. Agreement between mothers and children with malocclusion in rating children's oral health-related quality of life. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2010 May;137(5):631-8. doi: 0.1016/j.ajodo.2008.06.033.

Hassan AH1Amin Hel-S. Association of orthodontic treatment needs and oral health-related quality of life in young adults. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2010 Jan;137(1):42-7. doi: 10.1016/j.ajodo.2008.02.024.

Agou S1Locker DMuirhead VTompson BStreiner DL. Does psychological well-being influence oral-health-related quality of life reports in children receiving orthodontic treatment?

Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2011 Mar;139(3):369-77.

Zhou Y, Wang Y, Wang X, Volière G, Hu R1. The impact of orthodontic treatment on the quality of life a systematic review. BMC Oral Health. 2014 Jun 10;14:66.

CONCLUSIONS: Findings of this review suggest that there is an association (albeit modest) between orthodontic treatment and quality of life. There is a need for further studies of their relationship, particularly studies that employ standardized assessment methods so that outcomes are uniform and thus amenable to meta-analysis.

Zhou Y, Wang Y, Wang X, Volière G, Hu R1. The impact of orthodontic treatment on the quality of life a systematic review. BMC Oral Health. 2014 Jun 10;14:66.

CONCLUSIONS: Findings of this review suggest that there is an association (albeit modest) between orthodontic treatment and quality of life. There is a need for further studies of their relationship, particularly studies that employ standardized assessment methods so that outcomes are uniform and thus amenable to meta-analysis.

Dimberg L1Arnrup K2Bondemark L3. The impact of malocclusion on the quality of life among children and adolescents: a systematic review of quantitative studies. Eur J Orthod. 2015 Jun;37(3):238-47.

Gilchrist F1Marshman Z1. Does orthodontic treatment improve oral health-related quality of life? Evid Based Dent. 2015 Sep;16(3):86. doi: 10.1038/sj.ebd.6401118.

Dimberg L1Lennartsson B2Bondemark L3Arnrup K4. Oral health-related quality-of-life among children in Swedish dental care: The impact from malocclusions or orthodontic treatment need. Acta Odontol Scand. 2016;74(2):127-33.

Vanessa de Couto Nascimento, Ana Cláudia de Castro Ferreira Conti, Maurício de Almeida Cardoso, Danilo Pinelli Valarelli and Renata Rodrigues de Almeida-Pedrin  Impact of orthodontic treatment on self-esteem and quality of life of adult patients requiring oral rehabilitation  The Angle Orthodontist Sep 2016, Vol. 86, No. 5 (September 2016) pp. 839-845

Conclusions:  Orthodontic treatment causes a significant increase in self-esteem and QoL, providing psychological benefits for adult patients in need of oral rehabilitation.

Javidi H1, Vettore M1, Benson PE2. Does orthodontic treatment before the age of 18 years improve oral health-related quality of life? A systematic review and meta-analysis. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2017 Apr;151(4):644-655.

CONCLUSIONS: Orthodontic treatment during childhood or adolescence leads to moderate improvements in the emotional and social well-being dimensions of OHRQoL, although the evidence is of low and moderate quality. More high quality, longitudinal, prospective studies are needed.

Bittencourt JM1Martins LP1Bendo CB1Vale MP1Paiva SM1.  Negative effect of malocclusion on the emotional and social well-being of Brazilian adolescents: a population-based study.  Eur J Orthod. 2017 Nov 30;39(6):628-633. doi: 10.1093/ejo/cjx020.

Peter E, Baiju R M, Sreela L S, Varghese N O, Varughese JM.  Does socioeconomic status and family type influence oral health-related quality of life in individuals with malocclusion?  J Indian Orthod Soc [serial online] 2018 [cited 2019 May 3];52:89-93. Available from: http://www.jios.in/text.asp?2018/52/2/89/230154

Deng X1Wang YJ1Deng F1Liu PL2Wu Y3.  Psychological well-being, dental esthetics, and psychosocial impacts in adolescent orthodontic patients: A prospective longitudinal study. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2018 Jan;153(1):87-96.e2.

Zeraatkar M, Ajami S, Nadjmi N, Golkari A.  Impact of oral clefts on the oral health-related quality of life of preschool children and their parents.  Niger J Clin Pract. 2018 Sep;21(9):1158-1163.

CONCLUSION:Since oral clefts affect the QoL of children and their families even after the usual treatments, the implementation and maintenance of multidisciplinary interventional strategies are required for establishment of facial esthetics, oral function, and psychological support for such individuals.

Araki M, Yasuda Y, Ogawa T, Tumurkhuu T, Ganburged G, Bazar A, Fujiwara T, and Moriyama K  Associations between Malocclusion and Oral Health-Related Quality of Life among Mongolian Adolescents  Int. J. Environ. Res. Public Health 2017, 14(8), 902;  https://doi.org/10.3390/ijerph14080902

モンゴル人の不正咬合との関連.審美的因子は除外.

Tachiki C, Nishii Y, Takaki T, Sueishi K  Condition-specific Quality of Life Assessment at Each Stage of Class III Surgical Orthodontic Treatment —A Prospective Study—Bull Tokyo Dent Coll (2018) 59(1) : 1-14

Ferrando-Magraner E, García-Sanz V, Bellot-Arcís C, Montiel-Company JM, Almerich-Silla JM, Paredes-Gallardo V.  Oral health-related quality of life of adolescents after orthodontic treatment. A systematic review.  J Clin Exp Dent. 2019 Feb 1;11(2):e194-e202.

 

1980年代に行われた研究では,社会的階層,人種,年齢や性別によって,子供の歯や顔の容貌による外見といった認識に影響はなかった.

出典:Prahl-Andersen B: Quality of life as indicater for orthodontic treatment. In Current Therapy in Orthodontics 1st ed. Edited by Nanda R, Kapila S: p.3-8, Mosby Elsevier 2010. 

 

 

― 歯科矯正 と 応召義務

 

問い: 歯列矯正を希望して受診した患者の診察治療の求めは,医療費の支払能力を理由に拒んでもよいか?( 医学的に治療を要する医療とは )

☛ 歯科矯正は医学的な治療を要さない自由診療であり,支払い能力を有さない患者を診療しないことは正当化される.

☛ わが国の公的医療保障による歯科矯正について

 

歯科医師法 第四章 業務 
第一九条 診療に従事する歯科医師は,診察治療の求があった場合は,正当な事由がなければ,これを拒んではならない

☛ 昭和24年の(通達)では,「 正当な事由」 とは? 「社会通念上健全と認められる道徳的な判断によるべきである」と述べられている.

☛ その後の現在に至る医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた応召義務の解釈については,以下の報告書にまとめられている.

応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について

医師の応召義務について 中間整理

医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応召義務の解釈に関する研究について

☛ その中において,医療費不払いの患者については以下のような具体例があげられ,医学的な治療を要さない診療を自由診療と解釈されている.

○以前に医療費の不払いがあったとしても、そのことのみをもって診療しないことは正当化されない。しかし、支払能力があるにもかかわらず悪意を持ってあえて支払わない場合等には、診療しないことが正当化される。

○具体的には、保険未加入など医療費の支払い能力が不確定であることのみをもって診療しないことは正当化されないが、医学的な治療を要さない自由診療において支払い能力を有さない患者を診療しないことなどは正当化される。

また、特段の理由なく保険診療において自己負担分の未払いが重なっている場合には、悪意のある未払いであることが推定される場合もあると考えられる。

 

課題:医学的に必要な医療(医学的に治療を要する治療)とは何か?

学校歯科健診における受診勧奨の位置づけ.医療,健康(身体的・社会的・精神的)の社会概念の変容と西洋諸国の現状.

  「医学的に必要な歯科矯正」基準 米国における歯科矯正の公的医療保険

  「子どもの歯科矯正」 への公的医療保険の国際比較(OECD加盟国)
 ☛ ヨーロッパ諸国における歯科矯正医療の公的医療保険の現状(2010)

 

@ 自由診療とは何か? 公的医療保障の対象でなく,医学的な治療を要さない患者への診療(美容医療など)

歯科矯正学の治療・研究・教育には,なぜ税金が投入され,国民が公平に享受できていないのだろうか?

A 代替療法(保険適用の治療)があることではじめて,自由診療がある.

B 歯科矯正には自由診療しかなく,経済的に困窮した患者,我が国に生まれた子どもたちは公平な治療アクセスが保障できていない.

C 歯科矯正は医学的な治療を要さない自由診療であるが,国際疾病分類上の疾病(歯と顎骨の大きさ・位置異常)でもある

 

☛ 問:学校歯科健診で受診勧奨された児童生徒の歯科矯正治療を,支払い能力が不確定であることをもって拒否できるか?

☛ 歯と顎骨の大きさ・位置異常は医学的な治療を要するか?

 

 

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○病院診療所の診療に関する件

  (昭和二四年九月一〇日)
  (医発第七五二号)
  (各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)

最近東京都内の某病院において、緊急収容治療を要する患者の取扱に当たり、そこに勤務する一医師が空床がないことを理由として、これが収容を拒んだために、治療が手遅れとなり、遂に本人を死亡するに至らしめたとして問題にされた例がある。診療に従事する医師又は歯科医師は、診療のもとめがあった場合には、これに必要にして十分な診療を与えるべきであることは、医師法第一九条又は歯科医師法第一九条の規定を俟つまでもなく、当然のことであり、仮りにも患者が貧困等の故をもって、十分な治療を与えることを拒む等のことがあってはならないことは勿論である。
病院又は診療所の管理者は自らこの点を戒めるとともに、当該病院又は診療所に勤務する医師、歯科医師その他の従業者の指導監督に十分留意し、診療をもとめる患者の取扱に当っては、慎重を期し苟も遺憾なことのないようにしなければならないと考えるので、この際貴管内の医師、歯科医師及び医療機関の長に対し左記の点につき特に御留意の上十分右の趣旨を徹底させるよう御配意願いたい。

一 患者に与えるべき必要にして十分な診療とは医学的にみて適正なものをいうのであって、入院を必要としないものまでをも入院させる必要のないことは勿論である。
二 診療に従事する医師又は歯科医師は医師法第一九条及び歯科医師法第一九条に規定してあるように、正当な事由がなければ患者からの診療のもとめを拒んではならない。而して何が正当な事由であるかは、それぞれの具体的な場合において社会通念上健全と認められる道徳的な判断によるべきであるが、今ここに一、二例をあげてみると、
  (一) 医業報酬が不払であっても直ちにこれを理由として診療を拒むことはできない。
  (二) 診療時間を制限している場合であっても、これを理由として急施を要する患者の診療を拒むことは許されない。
  (三) 特定人例えば特定の場所に勤務する人々のみの診療に従事する医師又は歯科医師であっても、緊急の治療を要する患者がある場合において、その近辺に他の診療に従事する医師又は歯科医師がいない場合には、やはり診療の求めに応じなければならない。
  (四) 天候の不良等も、事実上往診の不可能な場合を除いては「正当の事由」には該当しない。
  (五) 医師が自己の標榜する診療科名以外の診療科に属する疾病について診療を求められた場合も、患者がこれを了承する場合は一応正当の理由と認め得るが、了承しないで依然診療を求めるときは、応急の措置その他できるだけの範囲のことをしなければならない。
三 大病院等においては、受付を始めとし、事務系統の手続が不当に遅れたり、或いはこれらのものと医師との連絡が円滑を欠くため、火急を要する場合等において、不慮の事態を惹起する虞があり、今回の例もかくの如きものに外ならないのであるから、この点特に留意する必要がある。

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― 欧州大陸における社会保障制度:わが国の医療としての歯科矯正の位置

 

ユバーサ・ヘル・カバレッジ(UHC)

すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要なきに、負担可能な費用で享受できる状態

 

 各国の制度的医療についての要点と問題点.

     欧州諸国ならびに米国:健康上/well-beingの医学的/医療上の問題として,国家は国民への公平・平等な公的保険医療の適用基準を設置し,子どもの医療を受ける権利を確保している.

欧州ならびに米国における歯列不正への公的医療保険制度,社会的概念を渉猟比較.以下参照.

  「子どもの歯科矯正」 への公的医療保険の国際比較(OECD加盟国)
 ☛ ヨーロッパ諸国における歯科矯正医療の公的医療保険の現状(2010)
 ☛ 米国における歯科矯正の公的医療保険.「医学的に必要な歯科矯正」基準

 

わが国の医療保険制度は,すべての国民を公的医療保険で保障する「国民皆保険制度」,「現物給付」,「フリーアセス」の3点に集約される.しかしながら,歯科矯正については,日本固有の歴史文化社会的背景から,公的医療保障制度と法制度(学校健診,税制上,専門医制度など)において,国民,各省庁間,医療従事者においてもそのあり方についての解釈や整合性は十分でない.

 

歯列矯正における健康上 well-being の意義,そして,すべての人々が基礎的な保健医療サービスを、必要なときに、負担可能な費用で享受できる状態の達成,良質かつ適切な歯科医療を国民へ公平に提供するまでには多くの課題が存在している.

 

ドイツ,英国では,歯と歯列の位置・大きさの異常を障害の程度に応じて5段階に分類.公的医療保険の適用となる歯列正の適用基準がより明確である.わが国における歯科矯正には,民間保険はなく,公的保険の適用範囲も一部の疾患にのみ限られており,そもそも歯と歯列の位置・大きさの異常(国際疾病分類K07)を疾病でないとする日本独自の歴史的文化背景に起因した 「疾病 / 健康概念」 や 「社会通念」 が存在している.政府見解・国民の要望・歯科医療従事者の教育などへの対処が求められる.

Orthodontics と歯科矯正,グローバルな現状とわが国との乖離は,幕末に伝来した歯科・ 歯列矯正の歴史的背景,国民の口腔の健康への意識向上,歯列に対する社会的文化的意識や概念の急速な変遷に起因すると考える.現在の我国では国民に多大な経済的負担を強いており,口腔の健康格差,制度的改正による健康の社会的決定要因の是正が望まれる.

 

 

― 主要国の公的医療保険制度の概要2017厚生労働省資料を追加改変)

我国の歯科医療は世界で公的医療保障が最も高い国の一つとされているが,「歯科矯正」に限るとその学問体系に関する考察遅れ,その意義と目的が不明瞭となっている.政府見解や歯科医師自身からも美容整形技術であるかのように解釈されており,国民には大きな経済的負担を求められる世界でも奇異な国家となっている.経済的負担から生じる歯科矯正医療へのアクセスの不平等は,口腔の健康格差の社会的決定要因となっている.

 矯正歯科専門医の役割は誰のためにあり,その目的と意義は何か? 国民への平等な医療提供制度,口腔の健康格差の是正はいかにるべきか?

  子どもの歯科矯正 への公的医療保険の国際比較(OECD加盟国 2016)
 ☛ ヨーロッパ諸国における歯科矯正医療の公的医療保険の現状(2010)
 ☛ 米国における歯科矯正の公的医療保険.「医学的に必要な歯科矯正」基準

      ・ 米国の各州における歯科矯正医療費助成メディケイドの比較 2015

 

☛ 欧米では,歯列矯正のために「子どもが生まれると貯金する」,「歯列矯正は見た目の美容である」,「歯並びが悪い子は貧困と思われる」,「外国人は歯並びの意識が高い」 といった迷信やデマが,矯正歯科医のwebに書かれているのはなぜか?

 

 日本ドイツフランススウェーデンイギリスアメリカ
制度類型社会保険方式
国民保険
会保険方式
国民皆保険
社会保険方式
国民皆保険
税方式による公営の
保健・医療サービス
税方式による公営の
保健・医療サービス
NHS, National Health Service
メディケア
メディケイド
民間医療保険
自己負担
0-30%
地方自治体の公費適用(こども医療費助成)
外来:なし
入院:1日10€
外来:30%
入院:20%
薬剤:35%
無料
ランスティング
(地方自治体)
原則無料民間医療保険
加入率67.3%
2018年
歯列矯正への適応
OECD諸国,米国:医学的に必要とされる基準から公的医療保障の適用
民間保険なし
×
ごく一部の疾患のみに適用範囲は限定され,各省庁間の解釈にも相違があり議論を要する

18才以下
(1)

16才未満
(2)

19才未満
(3)

18才未満
(4)

メディケイド
21才まで
州による格差+
国民の71%は民間歯科保険に加入

多数の慈善財団
公的医療保険の根拠 疾病及び傷害の国際分類 1900年-
※歯・顎骨の大きさ,位置異常は国際的に「疾病」であることを理解

「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)」とは,「国際疾病分類」とも呼称され、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や傷病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため設けられた分類.1900年(明治33年)に国際統計協会により制定されて以来,医学の進歩や社会の変化に伴いほぼ10年ごとに修正が行われ,第2次大戦後はWHOの所管となり世界保健機関憲章に基づいたものとなった.現在国際的には,1990年(平成2年)の第43回世界保健総会で採択されたICD-10が使用されている.厚生労働省大臣官房統計情報部より引用

  ICD-11 Version: 02/2022
    ICDの概要について
    ICD-11の国内の公的統計への適用について

健康の定義 1946年Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 
公的医療保険適応への経過1947: 顔貌の不正による精神的・社会生存上の懊惱苦悶を指摘(高橋新次郎)

1951: WHO加盟













1982:
唇顎口蓋裂


1990:
顎変形症
詳細は下表.

1994: こどもの権利条約批准(世界で158番目)

1995: 学校歯科検診(不正咬合の健康診断開始)



2001: 健やか親子21











2014: 障害者権利条約を批准



2015: 健やか親子21(二次)

2019: 成育基本法


 歯の矯正への請願
 自治体意見書 
 国民の要望多数



2023:
こども家庭庁



































2001: KIGの適用

2001: 公的医療保険のガイドライン発効

2004:G-BA設立

1948
: Orthodontic treatment included in the provisions of the National Health Service Act












1986:
シャンシェフ報告

1986:
Occlusal Index Committee set up in the aftermath of the 'Committee of Enquiry into Unnecessary Dental Treatment' recommends the introduction of orthodontic indices for NHS treatment
1947:公的資金を投入すべき不正咬合として,口唇口蓋裂,重篤な上下顎の疾患や外傷に起因する不正咬合,醜状,発音に関係し,正常発育への影響や教育就労に障害をもたらす場合の歯列矯正の基準を示した.

1965: 社会保障法IXI メディケイドプログラム制定.
1967: 社会保障法改正.21歳までのメディケイド,handicapping malocclusionへの給付義務化.














2010: ACA法(Patient Protection and Affordable Care Act(PPACA, オバマケア)成立.Medically necessary orthodontic treatment

2012:10/1以降MedicaidCareの給付対象となる.
適用基準:別項参照
適用基準一部の疾病
社会通念上必要
容姿の美化X 概念
(Social handicapとQoL)
学校健診:

議論の整理要
諸外国の現状
子どもの権利
制度/法的な是正
☛ 健康格差
KIG
歯科矯正適応グループ
IOTN AAO:
医学的に必要な歯科矯正

HLD index
HLD(CalMod)
Salzmann index
など.州による.

Medicaid Orthodontic Service
 歯・歯列の位置や大きさの異常と健康の関係についての国際的な認識
根底にあるものは,「国民の幸せとは何か」という社会通念や理から,国民が享受できる医療制度や法が構築されてゆく.国民の幸福という国家における医療のあり方を考えるに,健康格差の大きな米国においても日本の終戦直後の時期に,公的資金の投入すべき不正咬合の審査基準は定められており,自由診療を取り入れてきた我国の歯科医療は,諸外国における倫理的実践的次元の医療概念,Social handicap,健康格差の是正や社会保障について学ぶものはないか.

Oral health care in Europe: Financing, access and provision, Health Systems in Transition vol.24 No.2 2022

OECD加盟国の保健医療費の状況(2018年)

OECD Health Statics 2021

OECD Health Statics 2022

The state of oral health in Europe. Report commissioned by The Platform for Better Oral Health in Europe

OECD health Working Papers No. 90 (2016) How OECD health systemsdefine the range of good
and services to be financed collectively

Committee of European Health Insurances, European Orthodontic Health Insurances, June, 2010. European Federation of Orthodontic Specialists Associations

ドイツのKIGシステム:2002年1月1日より導入.

Prevalence and Development of KIG-relevant Symptoms in Primary School Students from Frankfurt am Main. Bettina Glasl, Björn Ludwig, Peter Schopf, J Orofac Orthop 2006(6): 414-423

アメリカのHLD/HLD CalModなどについて
Relationship of 3 indexes of orthodontic treatment need used by Medicaid and oral health–related quality of life
Camacho D,Rinchuse D, Zullo T, Roche M
AJO-DO 161(4) p574-81,2022

An Overview of Orthodontic Indices
World Journal of Dentistry, January-March 2012;3(1):77-86

ベルギー王国 保健省 国立健康・障害者研究所(INAMI)

ヨーロッパ7カ国における歯科矯正治療の費用対効果に関する研究

 

 

6.6.2. 歯列矯正治療

133 OECD 加盟国のうち 12カ国(ベルギー、チェコ、フィンランド、フランス、ギリシャ、ハンリー、 アイスランド、日本、ルクセンブルグ、ノルウェー、ポーランド、スイス、トルコ、イギリス)は、 矯正歯科治療に一部保険を適用している。

ベルギーでは9歳、ポーランドでは12歳、フランスでは16歳、フィンランドとルクセンブルグでは18歳、ノルウェーでは20歳と、年齢制限の異なる子供たちに適用されることがほとんどである。

ハンガリーでは、顔面の奇形、癌、外傷などの病状に限定されており),日本では手術が必要な重篤な症例に限定され,カナダでは歯科矯正治療は一部の州と一部の民間医療保険プランでのみカバーされている。

Table A.16 Coverage of interventions which are at the frontier between health and cosmetics: Orthodontics

Table A.17. Coverage of dental care and prosthesis

   ☛ ヨーロッパ諸国における歯科矯正医療の公的医療保険の現状(2010)

☛ 子どもの歯科矯正 への公的医療保険の国際比較(OECD加盟国)

   ☛ わが国の医療保険について(厚生労働省)

 こども医療費助成(乳幼児等に係る医療費の援助):少子化対策の一環とて、各を都道府県・各市町村が独自に子どもの医療費を助成するようになり,厚生労働省「乳幼児等に係る医療費の援助について(令和2年度)」参照.47都道府県全てで導入されているが,対象年齢や所得制限の有無などは都道府県によって異なる.

 

EU MANUAL (2015.2年版)

 

参考:    配布資料:保険診療の理解のために:歯科(令和3年度版)[PDF形式1,129KB]

スライド資料:保険診療の理解のめに:歯科[PDF形式:1,453KB]NEW7月30日

相田潤,他 ライフステージによる日本人の口腔の健康格差の実態:歯科疾患実態調査と国民生活基礎調査から.口腔衛生会誌 66: 458-464, 2016

歯科健康格差への対応について

Manski RJ and Rohde F. Dental Services: Use, Expenses, Source of Payment, Coverage and Procedure Type, 1996–2015 : Research Findings No. 38. November 2017. Agency for Healthcare Research and Quality, Rockville, MD.

https://meps.ahrq.gov/mepsweb/data_files/publications/rf38/rf38.pdf

 

※ わが国における歯科矯正における制度上の諸問題.ヨーロッパ大陸諸外国との社会保障(医療保険)上の歯科矯正の位置/あり方の違いを理解する.

Traitionally, craniofacial biology has served as the sole scientific basis of orthodontic practice and research. Clearly an overlap of interests does exist between clinical orthodontics and craniofacial biology. However, the specialty is also significantly related to social, economic, and cultural factors. The "new paradigm" recognizes all of these interactions and dictates their integration conceptually and in research aimed at rationalizing orthodontics. Vig PS: Orthodontic controversies: their origins, consequences, and resolution. In Melsen B, ed. Current Controversies in Orthodontics. Chicago: Quintessence, 1991; 269-310. Fig 10-1  

 

 

― 主要国における歯科矯正の公的医療保険の適用基準

 

適用基準の概要については下記に概略を記した.わが国の歯科界では,公的医療保険についてのあり方,医学的な必要な理由(健康上の理由,国民の社会的幸福)についての考え,歯科治療ではなく歯科医療について考えるべきではないか?

 

 

 日本独逸仏蘭西英国米国
適用基準社会保険方式
国民保険
社会保険方式
国民皆保険
社会保険方式
国民皆保険
税方式
公営の保健・医療サービス
NHS, National Health Service
メディケア
メディケイド
(民間医療保険)
考え方社会における歯科矯正の医療としてのあり方は,まだまだこれからの分野かもしれない.   Medically Necessary Orthodontic Care
自己負担0-30%
こども医療費助成
外来:なし
入院:1日10€
無料
無料民間医療保険
加入率67.3%
2018年
歯列矯正への適応民間保険なし
×
ごく一部の疾患のみに限定され,各省庁間の解釈にも相違があり議論を要する

18才以下

16才未満

18才未満

メディケイド
21才まで

民間医療保険
決定機関厚生労働省
中央社会保険医療協議会
G-BA
ドイツ連邦合同委員会
 NHS 
開始 2004.1.1

2018: 11億ユーロ(2018)
1,500億円

2020: 歯科矯正の給付は医療費全体の0.5%
   
背景 medizinischen Gründen notwendig連帯 Solidarity

Programme M'T dents
ゆりかごから墓場まで

Schanschieff Report
健康格差の是正

社会福祉とボランティア文化

Medically Necessary
Orthodontic Care
適用基準頭蓋顎顔面の異常(顎変形症,口唇口蓋裂など先天性疾患にともなうもの),埋伏歯のみ.

法令上(学校保健安全法施行規則),不正咬合について検査(学校保健安全法施行規則第三条九)され,必要な医療を行うよう指示(第九条二)される.

評価基準:諸外国との比較
医療アクセスへの格差と不平等の解消.

@ 学校歯科健診で歯列矯正の受診勧奨時の相談料・検査料のみ保険適用される
 「歯列・咬合に著しい異常が認められるもの」として,以下の様相を列挙し矯正歯科医への受診勧奨を通知.必要な医療を行うよう指示(第九条二)されるが公的医療保険はないため,医療アクセスへの健康格差/不平等が指摘される.

 >>学校歯科検診:
1. 下顎前突.前歯2歯以上の逆被蓋
2. 上顎前突.OJ 7-8o以上
3. 叢生.隣接歯が歯冠幅径1/4以上重なり合っているもの
4. 正中離開.上顎中切歯の空隙が6o以上
5. 開咬.上下前歯切縁間6mm以上
6. その他.これら以外の状態で特に注意すべき咬合並びに特記事項(例えば,過蓋咬合,交叉咬合,鋏状咬合,逆被蓋(たとえ1歯でも咬合性外傷のあるもの),軟組織の異常,過剰歯,限局した著しい咬耗など)

A 別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常

B 前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするもの)

C 顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る。)

 国際疾病分類上,ならびに医学的に必要とされる適用範囲についての諸外国との相違の根拠/相違について文化的社会的見地から考察する.


1. 下顎前突.前歯2歯以上の逆被蓋

2. 上顎前突.OJ 7-8o以上

3.
叢生.隣接歯が歯冠幅径1/4以上重なり合っているもの

4.
正中離開.上顎中切歯の空隙が6o以上

5.
開咬.上下前歯切縁間6mm以上

6.
その他.これら以外の状態で特に注意すべき咬合並びに特記事項(例えば,過蓋咬合,交叉咬合,鋏状咬合,逆被蓋(たとえ1歯でも咬合性外傷のあるもの),軟組織の異常,過剰歯,限局した著しい咬耗など)
KIG 歯列矯正ガイドライン


Grad 5 umfasst extrem stark ausgeprägte Zahnfehlstellungen, die aus medizinischen Gründen unbedingt eine Behandlung erforderlich machen.

Grad 4 umfasst stark ausgeprägte Zahnfehlstellungen, die aus medizinischen Gründen dringend eine Behandlung erforderlich machen.

Grad 3 umfasst ausgeprägte Zahnfehlstellungen, die aus medizinischen Gründen eine Behandlung erforderlich machen.

Grad 2 umfasst Zahnfehlstellungen geringer Ausprägung, die zwar aus medizinischen Gründen eine Korrektur erforderlich machen, deren Kosten jedoch nicht von den Krankenkassen übernommen werden.

Grad 1 umfasst die leichten Zahnfehlstellungen, deren Behandlung aus ästhetischen Gründen wünschenswert sein kann, jedoch nicht zu Lasten der Krankenkassen.

Der Behandlungsbedarf kann sich prinzipiell aus elf Ursachengruppen ergeben. Abhängig vom jeweiligen Schweregrad erfolgt dann die Einstufung in die Grade 1 bis 5:

1. Entwicklungsstörungen im Kopfbereich
2. Zahnunterzahl (Hypodontie)
3. Zahndurchbruchsstörung
4. distale Bisslage (meist durch Rücklage des Unterkiefers)
5. mesiale Bisslage (meist durch vorstehenden Unterkiefer, Progenie)
6. Offener Biss
7. tiefer Biss
8. Bukkalokklusion oder Lingualokklusion (Kreuzbiss im Seitenzahnbereich)
9. Abweichung der Kieferbreiten (z. B. Kopfbiss)
10. Kontaktpunktabweichungen (z. B. Engstand)
11. Platzmangelsituation
IOTN DHC composante morphologique

 → IOTN

ヨーロッパ諸国,アメリカにおける歯科矯正の公的医療保険適用の規準における不正咬合の重篤度(各グレード)の評価分類の規準数値はほぼ同様.









☛ 我が国の学校健診における受診勧奨基準値と諸外国の「医学的な治療必要性を有する基準値」との比較.


<保険適用基準値の比較>

        日本     欧米諸国   .    
上顎前突|7-8mm     6mm以上
下顎前突|2歯の逆被蓋  -3.5mm以上
開咬   |6mm以上    4(2)mm以上
叢生   |歯冠1/4重複   4mm
過蓋咬合|           歯肉外傷  .
Index of Orthodontic Treatment Need (IOTN)

Grade 5

・歯の健康状態に重大な問題がある場合
・叢生、差し歯、その他の原因により、歯が正常に口腔内に入り込めない場合。
・歯の欠損が多いこと。
・オーバージェット9mm以上
・下顎前歯-3.5mm以上の反対咬合で,機能的問題がある
・口唇裂口蓋裂など頭蓋顔面異常

Grade 4
・より重度の不規則性で、健康上の理由から治療が必要なもの
・上顎前歯が6mm以上突出
・正常機能を阻害する-2mm以上の交叉咬合
・下顎前歯が上顎前歯より3.5mm以上突出
・歯並びが4mm以上悪い場合。
・隙間が必要な歯が正常な数より少ない(歯がない)場合。
・4mm以上のオープンバイト
・機能的な問題を抱えた深い咬み合わせ
・正常な歯の数よりも多い(過剰歯)。


Grade 3
健康上の理由からは通常は治療を要しない大きな不正咬合
・上顎前歯の突出が4mm未満.
・上の歯の正常な関係を逆転させるもので、正常な機能を阻害する程度が2mm以下のもの。
・4mm以下の歯並びの悪さ
・4mm以下のオープンバイト
・機能的に問題のない深い咬み合わせ


Grade 2:
軽微な歯の不正。
・上の前歯が少し出ている
・歯並びが少し悪い
・正常機能を妨げない程度の、上下の歯の正常な関係の軽微な逆転。


Grade 1  
グレード1はほぼ完成形
Medically Necessary Orthodontic Care 基準

以下の資格基準Auto-Qualifiers

オーバージェット:9mm以上
リバースオーバージェット:3.5mm以上

1つの歯列に対して3歯以上の前方および/または後方の交叉咬合。

側方または前方歯の開咬:2mm以上、1アーチ4本以上の歯牙のもの。

対向する軟組織への咬合接触を示すインピンジングオーバーバイト。
萌出が阻害されているが抜歯の適応がない打痕(第三大臼歯を除く)。

先天性または発達障害(頭蓋顔面異常),外傷または疾病により顎骨および/または歯列に著しい影響を受けている.

先欠歯(第三大臼歯を除く)が、1/4顎につき1歯以上ある.

上顎または下顎歯列弓のいずれかに10mm以上の叢生または空隙がある(第3大臼歯を除く)



貧困層への援助団体

American Association of Orthodontists Donated Orthodontic Services Program

Smiles Change Lives 

Smile for A Lifetime Fundation(米国,カナダ)

A Smile For Kids(オレゴン州)

Colorado Orthodontic Foundation(コロラド州)

Sunshyne Smiles Program(サウスダコタ州)







保険適用外 審美ブレース
セルフライゲーションブラケット
舌側矯正法
   

 

 

オーストラリア(NSW州)

 

歯科矯正の公的医療保険の適用基準

IOTN:軽度 中程度 重度 と 中程度は専門医の意見により判定.

 

 

☛ 米国と同様の慈善団体.

Give A Smile™: 2004年に設立されたオーストラリア矯正歯科学会(ASO)のチャリティ部門.参加するASO会員,オーストラリア国内の公的な矯正歯科治療待ちリストの患者を対象に,ボランティアで無償で治療を行っている.ASO会員の約60%が参加し,これまでに2,000人以上の患者さんがこのプログラム下での治療を受けている.Give A Smile™は、低所得者層の数百人の子どもたちが,これまで手が届かなかった矯正治療を受けられるように,その過程で公衆衛生システムを推定1千万ドル節約しています。参加した実践者の献身的な努力は、子どもたちに変化と力を与え、最高の人生を送る自信を与えています。

 

 

 

 

米国 アメリカ(AAO,HLD index, NY州)

 

   詳細は以下の出典を参照のこと.

1947: 公的資金を投入すべき不正咬合として,口唇口蓋裂,重篤な上下顎の疾患や外傷に起因する不正咬合,醜状,発音に関係し,正常発育への影響や教育就労に障害をもたらす場合の歯列矯正の基準を示した.

1965: 社会保障法IXI メディケイドプログラム制定.
1967: 社会保障法改正.21歳までのメディケイド,handicapping malocclusionへの給付義務化.
2010: 患者保護と医療費負担の軽減に関する法律(Patient Protection and Affordable Care Act(通称ACA, PPACA, オバマケア)の成立.Medically necessary orthodontic treatment
2012:10/1以降 MedicaidCareの給付対象. AAOの適用基準:下表参照

Comparison of Orthodontic Medicaid Funding in the United States 2006 to 2015

米国における矯正歯科医療費助成の比較 2006年と2015年

Front Public Health. 2017; 5: 221.

AAOの基準   米国における公的医療保険の適用となる 「医学的に必要な歯科矯正」 の判断基準

AAO House of Delegates Updates Medically Necessary Orthodontic Care Definition, Auto-Qualifiers June 17, 2019

 

 

ニューヨーク州

NC Medicaid Orthodontic Service, Medicaid and Health Choice Clinical Coverage Policy No: 4B Amended Date: March 15, 2019

NEW YORK STATE MEDICAID PROGRAM DENTAL POLICY AND PROCEDURE CODE MANUAL, Version 2022

 

ミネソタ州

子どもと妊娠中の助成のための適用要件表(歯科矯正)

☛ 2022.1/1より,出生から20歳まで.AAOの基準を適用.

 

※ 社会奉仕とボランティアの社会文化を持つ米国では,上記の適用基準による 公的医療保険の適用にならない子どもたち,経済的障壁によって歯科矯正医療を受けることが困難な子どもたちへは,下記のように多くの慈善団体(検索出来たいくつかの財団を記載)が全米各州に設立され,歯科矯正の普及に役割を担っている.アメリカのでは年間数千人の恵まれない子供たちはこうした社会的援助によって歯科矯正治療を開始している.

☛ Volunteer: a person who does something, especially helping other people, willingly and without being forced or paid to do it:

アメリカ文化とボランティア

American Association of Orthodontists Donated Orthodontic Services Program(DOS)米国矯正歯科医会財団(AAOF)のプログラムで、経済的に困窮している家庭の子どもたちに必要な矯正歯科治療を提供している.18歳以下.家族の総収入が貧困レベルの200%以下であること(表参照).定期的に歯科治療を受け、口腔内の衛生状態も良好.現在治療中でない,または治療と治療の中間段階にある.過去に矯正治療を受けたことがない.が適用条件となり,1,000人以上が受けている.

Smiles Change Lives (SCL) (全米.1997設立.適用患者16,000人以上.年間650人:【設立までの物語】 バージニア・ブラウン夫人の寛大さとビジョンによって、全米の何千人もの子どもたちが笑顔で過ごせるようになりました。ブラウン夫人は、大恐慌の時代に育ちました。彼女と妹は共に歯列矯正を必要としていましたが、彼女の両親には一人分の治療費しかありませんでした。しかし、両親は一人分の治療費しか出すことができず、姉が先に矯正治療を受けました。ブラウン夫人が治療を受けられるようになったのは、高校生になってからでした.そのため、歯並びが悪いことを理由に同級生からからかわれ、嘲笑されることに何年も耐えてきました。写真を撮られるのも嫌で、ほとんど笑わなかったそうです。こうした体験から彼女は、いつか自分ができるようになったら、困っている子どもたちを助けるために行動を起こすと誓ったのです。
 1983年、ブラウン夫人と亡き夫モーリス・ブラウンは、グレーター・カンザスシティ・コミュニティ財団のドナー・アドバイズド・ファンドでバージニア&モーリス・ブラウン財団を設立しました。これらの資金は、顔や口腔の手術を必要とする子どもたち、特に唇裂・口蓋裂の子どもたちのために使われました。この基金は、当時カンザス大学で行われていた顎顔面外科手術の取り組みに大きな投資を行いました。副鼻腔がんとの闘いで顔に大きな傷を負った夫が亡くなったとき、バージニアは、尊厳と自信を持って生きるために必要な治療を受ける余裕のない子どもたちを助けたいと、これまで以上に強く思うようになったのです。
 ヴァージニアは息子のトムと一緒に専門家に会い、若い人たちが医療を受けられない状況について話し合い、自分の慈善活動に最も効果的な方法を探しました。そして、米国には子どもたちが矯正治療を受けられるようなプログラムが存在しないことを知り、ミズーリ大学カンザスシティ校歯学部とのパートナーシップを開始しました。1997年、最初の助成金により、カンザスシティ地域の48人の青少年に治療が提供されました。この取り組みが、重度の歯列不正や顎変形症の子どもたちを支援する非営利団体「バージニア・ブラウン・コミュニティ矯正歯科パートナーシップ」の設立につながったのです。
 1997年の設立以来、バージニア・ブラウン・コミュニティー矯正歯科パートナーシップは、現在では全米の子どもたちを支援する非営利団体「スマイルズ・チェンジ・ライブス」へと発展しています。Smiles Change Livesは、支援活動、マーケティング、申請、スクリーニング、矯正治療、ケースマネージメント、評価などを管理しています。1997年以来、何千人もの子どもたちが新しい笑顔と新たな希望を与えられ、自尊心を取り戻してきました。ブラウン一家は、スタッフ、ボランティア、そして全国に750人以上いる歯科矯正医とともに、歯科矯正治療へのアクセスを確保するための道を切り開き続けています。

Smile for A Lifetime Fundation(全米とカナダ,寄付金総額81億円以上で運営されている):財団は、地域社会の子どもたちに自信を持たせ,希望を与え,人生を劇的に変化させることを使命としています.笑顔の贈り物は,恵まれない子供たちにこのすべてを提供することができ,子供たちはこの贈り物を使って自分自身と地域社会をより良くすることができます.スマイル・フォー・ザ・ライフタイムは、通常では治療を受けることができない恵まれない子どもや若者に矯正歯科治療を提供する国際的なプログラムです.歯列矯正の治療費は請求しません.参加する矯正歯科医と矯正歯科製造会社は,リテーナー1セットの費用を含め,無料でサービスを提供します.ご家族が負担するのは,プログラムの費用を賄うための最初の申請料500ドルだけです.

A Smile For Kids(ASK,オレゴン州.適用患者850人以上,協力矯正歯科65医院):オレゴン州内の恵まれない子供たちに矯正治療を提供することで、歯並びの悪さという障害を取り除いています。A Smile For Kidsは、歯並びの悪さが原因で嘲笑やいじめにあい、A Smile For Kidsの援助なしでは「歯列矯正」のための資金がない子供たちを助けることに特に重点を置いています。

Colorado Orthodontic Foundation(コロラド州.適用患者650人以上,協力矯正歯科100医院以上):地域の矯正歯科専門家と提携することで、コロラド州の低所得者層が歯科矯正治療を利用しやすく、かつ安価に受けられるようにすることをミッションとし,歯科矯正医療を受ける余裕のない家庭に対して、歯科矯正治療と教育を提供するために医師と提携した非営利団体.コロラド矯正歯科財団は、ビジネスリーダーや矯正歯科の専門家によって結成され、恵まれない子供や家族が矯正歯科治療の恩恵を受けられるよう支援するために存在している。

Sunshyne Smiles Program(サウスダコタ州.年間25人のサウスダコタ州の子どもたちへ提供):他の方法では治療を受けられないサウスダコタ州の恵まれない子どもたちに歯列矯正治療を提供するための州全体のプログラム.子どもたちは,一般歯科医からの紹介でこのプログラムに参加することができ,参加資格は,子どもの歯列矯正の必要性の度合いと,家族の経済状況に基づいて決定される.

追加として(北米):

Smiles 4 CANADA(カナダ.1981年設立.現在までに600人以上が恩恵を受けている):子供の笑顔はかけがえのないものですが,不正咬合で苦しんでいる場合,それは子供にとって非常に恥ずかしいことです. 矯正治療の利点は誰もが知っていますが,その恩恵を受けられる人すべてが常に手の届くところにあるとは限りません.スマイルズ4カナダは,カナダ矯正歯科振興財団(CFAO)がカナダ矯正歯科医会(CAO)と共同で運営するプログラム.通常では治療費を支払うことができないような若いカナダ人の矯正歯科治療を促進するもので,応募資格は14歳以下(マニトバ州は18歳以下).このプログラムを通じて治療を受けることになった患者さんは,地元の参加歯科矯正医が治療を行い,患者さんのご家族は,通常治療治療の10%未満という少額の費用のみを支払います.

 

Trends in Medicaid-funded adolescent comprehensive orthodontic treatment provided by orthodontists to children in Oklahoma between 2010 and 2016. Lamb C,Currier F, Kadioglu O, and Restucci G. Am J Orthod Dentofacial Orthop 2019;156:791-9

Comparison of Orthodontic Medicaid Funding in the United States 2006 to 2015, Front Public Health. 2017; 5: 221-.

米国における公的医療保障(歯科矯正)の経過.各州における比較が述べられている.

Oral Health in America: Advances and Challenges 2021 U.S. DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES National Institutes of Health Ntioal nstitute ofDenal nd Craniofacial Research Bethesda, MD

米国における医療保険制度の概要(2021年6月)ジェトロ

ORAL HEALTH IN AMERICA: A REPORT OF THE SURGEON GENERAL From the Office of the Surgeon General U.S. Department of Health and Human Services May 2000

Manski RJ and Rohde F. Dental Services: Use, Expenses, Source of Payment, Coverage and Procedure Type, 1996–2015 : Research Findings No. 38. November 2017. Agency for Healthcare Research and Quality, Rockville, MD

歯科保険加入と歯科医療サービスの利用状況

CHIP:子ども健康保険制度

歯科医療は、多種多様な場所や施設で提供されている。伝統的に、民間と公共の現場は「ほぼ完全に別々に機能し、異なる資金調達システムを使用し、異なる顧客層にサービスを提供し、異なる環境でケアを提供している」(Institute of Medicine 2011, p.82)。民間部門には、個人経営の歯科医院がすべて含まれる。これらの歯科医院は、主に民間保険に加入している患者や自費診療を行う患者、そして一部の公的資金を受ける患者を対象としています。現代のデンタル・セーフティ・ネットには、社会的・経済的・健康的に様々な不利益を被っている人々を含む、十分なサービスを受けていない人々の歯科治療を支援する施設、医療提供者、メディケイド子供健康保険制度(CHIP)などの支払い制度が含まれます(Edelstein 2010)。セーフティネットの場所には、歯科学校、様々なヘルスセンター(公立診療所、連邦政府認定ヘルスセンター、学校ベースのヘルスセンター、インディアンヘルスサービスの診療所、地方のヘルスセンター)、病院の診療所や救急室、無料介護プログラム、そして最近では、メディケイドやCHIPの対象となる患者のための個人歯科診療所も含まれています。2019年、43%の歯科医がメディケイドやCHIPを受け入れている。労働力と診療モデルの詳細については、セクション4を参照してください。

一般的に、小児歯科治療のための1つ以上の財源は、雇用者が提供するような民間の歯科給付プラン(通常「歯科保険」と呼ばれる)、アフォーダブルケア法(ACA)の下で州の市場で提供される州の補助金付きの民間給付プラン、メディケイドとCHIPなどの公的保険制度、および家族による自己負担額である。ほぼすべての民間医療保険制度は、予防医療を除くすべてのサービスに対して、ある程度の自己負担を要求している。雇用主が提供する保険制度が利用できるかどうかは、親の仕事に大きく依存し、その質もさまざまである。雇用主が歯科保険を提供しない、あるいは扶養している子供や青年には提供しない親は、ACAの結果、各州に設立された保険市場で州の補助を受けた歯科保険を購入することができるようになった。低賃金の仕事では、健康保険を提供しない、提供しても扶養家族が親の健康保険に加入することを認めない、あるいは歯科保険が含まれない健康保険を提供する傾向がある。このため、低所得の家庭では、子供がメディケイドやCHIPの受給資格を持たない限り、子供の口腔ケアに自己負担がかかる危険性が高いのです。

メディケイドとCHIPの経済的資格は州によって異なが、低所得の家庭でも保険が適用され、自己負担をなくすか制限することで医療を受けられるようになります。1967年以来、メディケイドの早期・定期検診、診断、治療給付は、包括的な歯科治療や対象となる歯列矯正を含め、医学的に必要とみなされるすべてのサービスを対象としています。2010年からは、CHIPプランも幅広い必須歯科医療サービスを提供しています。州はCHIPを3つの方法で管理することができる。すなわち、CHIP受給資格者を、広範な歯科給付と費用負担を禁止したメディケイドプログラムに登録する、やや異なる歯科給付と費用負担を制限した別のCHIPプログラムを設立する、またはこれら2つのアプローチを組み合わせる。2015年5月現在、9つの州がCHIPプログラムをメディケイドに統合することを選択し、13州がCHIPを独立した保険プログラムとし、29州が何らかの組み合わせを行っている(Hinton and Paradise 2016)。親が子供をメディケイドやCHIPに加入させることができるかどうかは、家族の収入、子供の年齢、家族の居住州によって異なる。

@ HLD (Handicapping Labio-Lingual Deviation) Index

A Salzmann

B メディケイド公的医療保険の適用基準:

出典:NC Medicaid Orthodontic Service, Medicaid and Health Choice Clinical Coverage Policy No: 4B Amended Date: March 15, 2019

また,メディケイドサービスの説明書に 「Orthodonticsの定義」 が記述されている.適用基準のと合わせて,「歯科矯正医療とはなにか?」 我が国の政府解釈,諸外国における歯科矯正の意義について理解する.

Orthodontics is defined as a corrective procedure for functionally impairing occlusal conditions (including craniofacial abnormalities and traumatic or pathologic anatomical deviations) that cause pain or suffering, physical deformity, significant malfunction, aggravates a condition, or results in further injury or infirmity. Such services must maintain a high standard of quality and must be within the reasonable limits of services customarily available and provided to most persons in the community with the limitations and exclusions specified in this policy.

歯科矯正学とは、痛みや苦痛、身体的変形、重大な機能不全、症状の悪化、またはさらなる損傷や病弱を引き起こす、機能的に損なわれた咬合状態(頭蓋顔面異常や外傷性または病的な解剖学的異常を含む)に対する治療法として定義される。このようなサービスは、高い品質基準を維持しなければならず、本ポリシーで指定された制限と除外を備えた、地域社会のほとんどの人に慣習的に利用・提供されているサービスの妥当な範囲内でなければなりません。

 

3.2.2 Medicaid Additional Criteria Covered (ノースカロライナ州)※適用範囲は米国全体で州によって大きな格差がある.

The following criteria for functionally impairing occlusal conditions apply when cases are reviewed for Medicaid orthodontic approval. The probability for approval is increased when two or more of the following criteria exist:

a. Severe skeletal condition that may require a combination of orthodontic treatment and orthognathic surgery to correct (beneficiary’s age and the direction of growth are also considered);

b. Severe anterior-posterior occlusal discrepancy (severe Class II or Class III dental malocclusion);

c. Posterior crossbite of three or more teeth per arch;

d. Anterior crossbite of three or more teeth per arch;

e. True anterior open bite: 2 mm or more; of four or more teeth per arch;

f. Significant posterior open bite: 2 mm or more; of four or more teeth per arch (not involving primary teeth, partially erupted teeth, or one or two teeth slightly out of occlusion);

g. Impinging overbite with evidence of occlusal contact into the opposing soft tissue (lower incisors must be causing tissue trauma);

h. Overjet (excessive protrusion 6 mm or greater);

i. Crowding greater than 6 mm in either arch that must be moderate to severe and functionally intolerable over a long period of time (such as occlusal disharmony or gingival recession secondary to severe crowding);

j. Impactions where eruption is impeded with a good prognosis of being brought into the arch;

k. Excessive spacing of 10 mm or more, in either the maxillary or mandibular arch (excluding third molars), or 8 mm or greater from mesial of cuspid to mesial of cuspid. Any space that will remain for prosthodontic or implant replacement cannot be included in the measurements for meeting spacing criteria;

l. Two or more congenitally missing teeth (excluding third molars) of at least one tooth per quadrant;

m. Occlusal condition that exhibits a profound impact from a congenital or developmental disorder (craniofacial anomaly), severe trauma, or pathology;

n. Psychological and emotional factors causing psychosocial inhibition to the normal pursuits of life (requires supporting documentation of pre-existing condition from a licensed mental health professional specializing in child psychology or child psychiatry); or

o. Potential that all problems will worsen.

メディケイドはどの州でも子どもに包括的な歯科給付を提供しているが、子どもが治療を受けられるかどうかは、親自身のメディケイド歯科給付にも一部依存しているようである。親がメディケイドの包括的歯科給付を受けている子どもは、親がメディケイドの緊急歯科給付のみを受けているか、全く受けていない子どもよりも、前年度に歯科受診をしている確率が高い。しかし、メディケイドの成人歯科医療保険を持たない親の子どもは、何らかの歯科医療保険を持つ親の子どもに比べ、歯科医療を利用しない可能性が7倍も高かった(Children's Dental Health Project 2012)。

メディケイド、CHIP、ACAはすべて子どもの歯科保険加入を義務づけているが、雇用者が出資する歯科保険に加入していない成人の歯科保険加入を保証する制度は皆無である。メディケイドが成人まで給付を拡大すると、その子どもによる予防サービスの利用が増えることが示唆されている(Venkataramani et al.2017)。さらに、低所得の介護者が歯科保険に加入している場合、その子どもは歯科治療を受ける可能性が高いことを示した研究もある(Lipton 2019)。低所得家庭に住む子どもの親への歯科給付の拡大は、これらの子どもの歯科医療へのアクセスを改善する可能性がある。

Malocclusion

不正咬合の存在とその影響は、多くの青年にとって重要である.不正咬合は,口腔機能に影響を与え,顔貌を変え,歯の外傷のリスクを高め,生活の質を低下させる可能性のある歯と顎の不整列のことであり,多くの場合にこれらは外見的なものでもあるが,重度の不正咬合では,歯周組織の健康,咀嚼,発話,心理社会的発達に大きな影響を与えています(Abreu 2018).

1988年から1991年にかけて行われた小児の不正咬合の最後の全国調査(Brunelleら、1996年)では,12歳から17歳の約半数が矯正治療を必要としており,メキシコ系アメリカ人と非ヒスパニック系黒人の集団でその必要性が高いことが示された(Proffitら 1998年).また,これらのデータは,12歳から17歳の青少年の66.2%がオーバーバイト(切歯の垂直方向の重なり)が正常範囲であることを示しています.一方、上顎と下顎の前歯に不正な歯並びがなかったのは12%だけであり,大多数の子供たちが何らかの歯列不正の問題を抱えていることが示唆された.カリフォルニア州のラテン系青少年を対象とした小規模な研究(N=507)では,21.5%がクラスII不正咬合(下顎後退),9.1%がクラスIII不正咬合(下顎突出)であることが示された(Silva and Kang 2001).その後の研究では,米国におけるクロスバイトの発生率は,3歳から12歳の子どもで58%であることが示唆された(Bell and Kiebach 2014).2013年には,20歳までの若者に影響を与えるすべての歯科処置の約15%が歯科矯正関連でした(Laniado et al.2017).

口腔と咬合の健康の心理社会的側面は,青少年が仲間との交流を通じて大人のアイデンティティを形成しているため,話す能力,笑顔,社会的状況での交流など,思春期において特に重要である(Grickら 2016; SilkとKwok 2017).この年齢層は矯正装置や歯列矯正で不正咬合を治療する時期であり,ちょうど外見の重要性が高くなります.青少年のこれらの優先順位を認識し,口腔衛生のメッセージを人気や高い自尊心と積極的に結びつけることで,健康的な生涯の習慣を確立することができます(Silk and Kwok 2017)。

 

口腔保健医療従事者

米国の口腔保健医療従事者は、歯科医師と、歯科衛生士歯科セラピスト歯科助手歯科技工士地域歯科保健コーディネーター(CDHC)などの関連専門家から構成されています。これらの口腔保健専門家は、単独またはグループの歯科診療所、地域診療所、学術的環境、商業的診療所、病院、および連邦、州、または地方政府の環境などのチーム編成や設定で患者にケアを提供しています。これらの医療提供者の中で最も高度な訓練を受けた歯科医師は、口腔疾患の診断と治療、患者の口腔衛生管理、適な口腔衛生行動に関する患者の教育、そして必要に応じて他の医療提供者に患者を紹介するなどの役割を担っています。

米国歯科医師会(ADA)によると、2020年、米国で活発に開業している歯科医師は201,117人であった。最も多いのはカリフォルニア州とテキサス州でそれぞれ31,059人と15,872人、最も少ないのはワイオミング州とバーモント州でそれぞれ306人と348人であった。全体として、2020年の米国住民10万人当たりの歯科医師数は61人であった。しかし、この数は州によって大きく異なり、コロンビア特別区の104人からアラバマ州の41人までである(米国歯科医師会2021a)。歯科医師対人口比の最適な指標はないが、入手可能な推定では、単独診療の歯科医師は年間約1,350人の患者を管理し、グループ診療の歯科医師は約2,100人を管理している(Bailit 2017)。

歯科医の多くは一般歯科医である。2020年、米国には158,520人の一般歯科医と、以下の専門分野での業務を含む追加の教育訓練を報告したその他の歯科医が42,597人いた。歯科矯正学および歯科顔面整形外科(10,885)、小児歯科(8,561)、口腔顎顔面外科(7,529)、歯周病学(5,723)、歯内療法(5,745)、補綴学(3,733)、歯科公衆衛生(823)、口腔顎顔面病理(431)、口腔顎顔面放射線(164) (アメリカ歯科協会 2021a). 2019年と2020年に歯科麻酔学、口腔顔面痛、口腔医学が専門分野として追加された。

口腔保健の人材には、歯科衛生士歯科助手歯科技工士、さらに最近では歯科治療士CDHCも含まれる。歯科衛生士は、口腔衛生スクリーニングや健康歴の確認、健康増進技術の指導、デンタルX線写真(レントゲン)や口腔内画像の作成、歯面からの硬軟沈着物の除去、予防材料の塗布などを行います。いくつかの州では、追加訓練を受けた衛生士が、州の開業法で認められている局所麻酔薬の投与や特定の修復サービスなど、拡大した機能を行うことができます(Beazoglouら2012)(米国歯科衛生士協会2018)。

米国労働統計局(BLS)の雇用者調査は、2020年に米国で雇用されるフルタイムおよびパートタイムの歯科衛生士が194,830人いると推定したが、一部のパートタイム衛生士は複数の環境で働いているかもしれない(米国労働統計局2020a)。BLSは、2020年に312,140人が歯科助手として雇用されると推定している(米国労働統計局2020b)。そのうちの約25%の歯科助手は、拡張機能(例えば、歯の研磨やシーラントの塗布など)を担っていると報告されている(Baker et al.2015)。2020年、米国では歯科技工士は30,800人であった(米国労働統計局2020c)。また、一般市民に直接義歯治療を行う歯科医療従事者であるデンチュリストは、現在、アリゾナ、コロラド、アイダホ、メイン、モンタナ、オレゴンで法的に開業が認められている(National Denturist Association 2021)。

歯科医療へのアクセス不足に対応するため、ADAは2006年にCDHCプログラムを立ち上げ、地域密着型の予防、ケアコーディネーション、患者ナビゲーションを提供しています。CDHCは、サービスが行き届いていない地方、都市、ネイティブアメリカンのコミュニティで活動し、他の方法では歯科治療を受けられないような人々を専門のプロバイダーにつないでいます(Grover 2017)。現在、カリフォルニア歯科医師会などの州歯科医師会は、CDHCプログラムを承認するために州議会と協力しており、460人のプログラム卒業生が45州で働いている(米国歯科医師会2020a)。

歯科セラピストは、この分野で最も最近確立されたミッドレベルプロバイダーで、歯科医師の全般的かつ直接的な監督のもと、日常の予防および修復ケアを提供します。デンタルセラピストの診療範囲は一般歯科医の約4分の1であり、正確な役割はセラピストの教育や州の規制によって異なる。モデルは様々ですが、歯科セラピストは現在13の州で開業することが許されています。アラスカ(部族領)、アリゾナ、コネチカット、アイダホ(部族領)、メイン、ミシガン、ミネソタ、モンタナ(部族領)、ニューメキシコ、ネバダ、オレゴン、バーモント、ワシントン(部族領)、そしてフロリダ、カンザス、マサチューセッツ、ニューヨーク、ノースダコタ、ウィスコンシンで提案や法案が検討中である。2019年には6つの州で法案が承認され、多くは歯科セラピストと登録歯科衛生士の資格を組み合わせているため、個人は二重に訓練されている。現在、セラピストはアラスカ、アリゾナ、ミネソタ、オレゴン、ワシントンで活動している(米国歯科衛生士協会2020)。

口腔ケアのための新しいミッドレベルプロバイダーモデルを開発・導入している州の中で、アラスカは最も経験が豊富である。地域医療補助者プログラムはアラスカの労働力プログラムで、歯科医師以外の口腔医療提供者であるプライマリー歯科医療補助者(PDHA)拡張機能歯科医療補助者(EFDHA)歯科医療補助衛生士(DHAH)歯科医療補助療法士(DHAT)という4種類の医療機関を創設し、ケアへのアクセスを改善するために範囲を広げたものである。PDHAは、口腔衛生、歯ブラシによる予防、フッ素塗布、栄養と疾病管理のカウンセリングを提供します。PDHAは、歯科画像診断、予防処置、シーラント、外傷性修復治療を提供するための追加訓練を受けることもあります。EFDHAは、歯科医師またはセラピストが虫歯を除去した後に修復物を装着するか、予防処置(ルートプレーニングなし)を提供するためのトレーニングを受けた歯科助手です。追加訓練を受けたEFDHAは、より複雑な作業を行うことができる。PDHAとEFDHAのいずれにおいても、トレーニングは2週間の体系的な指導に続き、プリセプターシップが終了するまで直接指導を受ける期間を含みます。

DHAHは、歯科医療認定委員会(CODA)により承認された局所麻酔コースを修了した登録歯科衛生士で、監督する歯科医師から遠隔操作で局所麻酔を提供することができるようになります。DHATは、2年間の教育プログラムを修了し、基本的な歯科修復処置、抜歯、予防サービスを提供することができるようになります。この4つの新しいクラスの医療従事者は、指導歯科医チームのメンバーであり、歯科医のいない小さな村に治療を提供するために、指導歯科医からリモートで働くことが許可される場合があります。

歯科助手は、歯科医院でさまざまな活動を行います。州によっては、健康歴の採取、画像処理、健康増進法の指導、オフィス管理業務、患者や取引先とのコミュニケーション(米国歯科医師会2021b)、さらに歯科医師の処置の補助などを担当することもある。一部の州では、歯科医師が直接患者ケアを行うのを支援するために、機能拡張型歯科助手の使用を支援しており(Beazoglouら、2012)、彼らの継続教育は、米国歯科助手協会(米国歯科助手協会2021)を通じてサポートされています。

歯科技工士は、歯科医師の詳細な書面による指示に従い、総入れ歯や部分入れ歯、ブリッジ、クラウンやベニア、矯正器具を作製します(米国歯科医師会2021c)。技工士は通常、様々な教育環境の中で2年間のプログラムを通じて教育・訓練を受け、卒業生は準学士号または修了証書を取得する。さらに、少数のプログラムは、歯科技工の4年制バカロレアプログラムを提供している。

さらに、歯学以外の分野で訓練を受けた医療専門家が、さまざまな口腔医療サービスを提供しています。医師、看護師、その他は、周産期医療の一環として女性に、また、小児、高齢者、その他特別なニーズを持つ人々に口腔ケアを提供しています(Institute of Medicine and the National Research Council 2011)。これらの活動には、健康歴の確認、口腔衛生スクリーニング、リスク評価とチャート作成、教育と栄養カウンセリング、ケア調整、および通常歯科衛生士の診療範囲に含まれるその他のサービスが含まれる場合がある(Maxey et al.2017)。さらに、虫歯予防のためのフッ素ワニスを提供する場合もある。しかし、トレーニングや経験の不足、不十分なインフラサポート、システムの制限などが重なり、これらの専門家の多くが口腔保健の推進にもっと関与できるようになる可能性が制限されることが多い。歯科医師以外の医療従事者が口腔保健サービスを提供している数については推定されていない.

 

歯科診療の技術

歯科診療では、コンピューター、レーザー、スキャニングとミリング技術、診断情報を強化するための最新のX線撮影技術、およびEHRを含む、さまざまな技術が使用されています。コンピュータは歯科医院の基礎技術であり、新しい修復物を作成するためのスキャン技術に接続され、EHRを管理するために使用されます。矯正歯科用のデジタルスキャニングは、アルジネート歯型に大きく取って代わりました。スキャニングにより、スタディモデルを石に流し込む必要がなくなり、治療計画が強化されます。矯正歯科治療が医療上必要な理で完了し、保険会社による審査が必要な場合、得られた模型を安全な手段で簡単に保険会社に渡すことができます。レーザーは、歯を白くするため、歯の虫歯を取り除くため、または軟組織を取り除くために使用されます。スキャニング及びミリング技術は、歯科オフィス内で新しい接着セラミック及び樹脂ベースの複合修復物を製造するために使用される増大するコンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造(CAD/CAM)技術の一部である(Trost et al.2006)。

チェアサイドCAD/CAMシステムの使用は、患者の口腔機能及び審美性を回復及び維持するために歯科医師、技師、及び患者が行う時間及び労力を最小限に抑え、高品質の結果を提供するという点で、全ての歯科分科において有望である(Baroudi及びIbraheem 2015)。歯科用コーンビームCTは、歯、骨、軟組織の3次元画像を作成するために使用される新しいX線技術です(米国食品医薬品局2020年)。先進的な歯科医療技術の詳細については、本モノグラフのセクション6を参照。

EHRは、忙しい歯科医院にとって、歯科記録の作成、請求・支払情報・X線写真の保存、他の医療機関のEHRとの情報共有など、多くのタスクを達成できる情報システムである。歯科診療所では、(1)品質、安全性、効率の向上、(2)健康格差の縮小、(3)患者や家族の関与、(4)ケア連携と集団健康の向上、(5)患者の健康情報のプライバシーとセキュリティの維持(医療情報技術国家コーディネーター室2019)のためにEHRを使用するケースが増えている。歯学部付属診療所、FQHC、グループ診療所など多くの大規模歯科医療機関がEHRに移行しているが、EHRのチェアサイドの可能性を十分に活用している歯科医療機関は半数以下である(Moffitt and Steffen 2018)。セクション6では、EHRについてより詳しく解説しています。

遠隔医療には、遠隔地での医療サービスの提供、患者や医療専門家の教育、公衆衛生や管理活動の実施を促進するための技術の使用が含まれる(Daniel et al.)テレデンティストリーには、ライブおよび「ストア&フォワード」方式で遠隔地から提供できる幅広い口腔保健サービスが含まれる。例えば、口腔外科専門医の診察はテレデンティストリーを用いて行うことができるので、患者は処置の前に長距離を移動する必要がありません(追加情報についてはセクション6を参照)。ケアのコストと時間を削減し、専門医へのアクセスを向上させることができます(Banbury et al.2014; Acharya and Rai 2016; Powell et al.2017)。最適な遠隔医療システムは、健康記録と完全に統合されている。遠隔医療連携により、検査や治療の重複など、患者ケアの冗長性のリスクを低減します(Fathi et al.2017)。

 

専門歯科学および高度一般歯科学プログラム

認定された専門プログラムの数は、2000 年から 2016 年の間に 416 から 457 に増加した。一部の専門分野ではプログラムが減少したが(歯科公衆衛生学が3つ、補綴学が9つ減少)、すべての専門分野で登録者数が増加した。その期間の全体的な登録者数の増加の上位3つの専門プログラムは、口腔顎顔面外科で、848人から1,195人に増加し、小児歯科で、442人から921人に増加し、歯科矯正学で、714人から1,043人に増加した(米国歯科医師会2016)。

た、高度歯科教育登録者数も2000年から2018年にかけて増加した。General Practice Residencyの登録者数は1,063人から1,237人へと微増した。一般歯科の上級教育の登録者数は、614人から924人に増加した(米国歯科医師会2016年、2020f)。

 

今後の課題

米国では、人口動態、疾病・障害のパターン、ヘルスケアのあり方において、かつてないほどの変化が起きている。科学技術の進歩に遅れをとらないようにする必要性は、複数の情報システムを利用できるようになった歯科と医学においてすでに明白である。インターネットや継続的な歯科教育に加えて、新世紀には画像システム、コンピュータ支援技術、遠隔歯科治療や遠隔医療、診断や治療法の改善、新しい生体材料やその他のバイオテクノロジー製品などが継続的に成長すると思われます。患者の疾病リスクの評価や治療計画において、遺伝情報がたす役割はますます大きくなっていくでしょう。

医療治療の有効性、費用対効果、成果についてはある程度の情報が得られているが、「ベストプラクティス」、すなわちどの治療が、どのような状況下で、どの程度のコストで、どの患者に有効であるかを決定するためには、さらなる研究が必要となる。治療計画には、アウトカム指標と患者の嗜好を取り入れる。既存文献の体系的なレビューにより、歯科・内科治療におけるエビデンスに基づくアプローチを促進することができます。さらに、包括的な診断と治療のコード、および新しい技術を適切に取り入れるためのプロセスも必要となります。

健康専門職が直面する課題は、地域ベースの疾病予防と個人の口腔ケアを拡大し、住民のニーズを満たすことである。ケアへのアクセスと障壁の問題に対処し、ケアを求めるすべての人にケアが行き届くよう、満足のいく解決策を見出さなければならない。

これらの予測される構造的、組織的、およびテーマ的な変化が、口腔ケアを提供する国家の能力と取り組みにどの程度影響するかは定かではない。口腔保健の目標を含む国の健康増進および疾病予防の目標は、重要な指針となるものである。変化したケアシステムが、国民の口腔衛生のニーズと要望への対応にどれだけ成功するかは、いくつかの方法で測定することができる。その中には、国民の健康格差の縮小国民全体の疾病発生率および有病率の低下機能的状態の改善費用の削減死亡率の低下健康と生活の質の向上などが含まれる。

 

公的医療保険制度は,

 メディケア(Medicare):

   65歳以上の高齢者
   65歳未満の身体障害を持つ者
   65 歳未満の透析や移植を必要とする重度の腎臓障害を持つ者

 メディケイド(Medicaid):

 特定の子供が加入できる児童医療保険プログラム(CHIP:Children's Health Insurance Program)

 退役軍人が加入できる保険制度(VHA:Veterans Health Administration)などが存在する

これらの制度の対象者以外は、勤務先(雇用主)が加入している民間医療保険へ加入.67.3%(2018年)の人は民間医療保険に加入している.

公的医療保険は、基本的に医療サービスを受けるたびに支払うコーペイ(Co-Payment)6や、保険が適用となるまでに支払わなくてはならないディダクティブル(Deductible)などの保険料の個人負担がなく、事務手数料が民間医療保険と比較して安いというメリットがあるが,医療提供者の選択肢が少ないというデメリットも存在する.メディケアは連邦政府が,メディケイドは州政府と連邦政府によって運営されている.

 

民間医療保険(Private Health Care Coverage)

 加入条件や内容はプランによって異なる。雇用主が提供する保険の場合、中小企業よりも大企業が提供する医療保険の方が良い内容である場合が多い。これには、優秀な人材を獲得・定着させるために福利厚生制度として医療保険を充実させている背景がある。

 また、2015 年に定められた医療保険制度改革法(ACA:Patient Protection and Affordable Care Act、通称「オバマケア」)によって、従業員が50 人上在籍する企業には医療保険の提供が義務付けられたため、保険加入者のほとんどが企業を通じて保険プランに加入している。

 企業が提供する保険に加入する場合は、企業側が保険料の一定割合を負担する場合がほとんどであるため、個人で加入するよりも費用負担が少なくなる。一方で、企業を通じて医療保険に加入する場合は、企業が用意したプランや内容以外は選択できない。企業によって選択肢が全くない場合もあれば、通常プランに加えてさらに充実した内容のプランを用意している場合もある。ただし、内容の充実したプランの場合は保険料が高くなるため、個人負担分も通常プランより増えることとなる.

2020年の年間平均の保険料は,単身プランで7,470ドル,家族プランで21,334ドルとなっており,毎年5%程度上昇している.

 従業員50人以上の企業は,医療保険の提供義務があり(従業員がそのオファーを却下した場合は提供する必要はない),従業員数が50人未満の企業は医療保険の提供義務はない.保険未加入者に対する罰金は,2019 年から廃止となったが,州によっては保険加入義務や保険未加入の場合の罰金を独自に法制化している.2021 年1 月時点で、個人に保険加入義務を課しているのは、カリフォルニア、マサチューセッツ、バーモント、ニュージャージー、ロードアイランドの5 州と、コロンビア特別区(ワシントンDC)となっている.

 

 

 

   イギリス(IOTN)

 

 

 

 

 

 

 

 

   ドイツ(KIG)

 

G-BA: 連邦合同委員会(G-BA)は、ドイツにおける歯科医師、医師、心理療法士、病院、健康保険基金などの共同自治体の最高意思決定機関である。法定健康保険の給付カタログをガイドラインという形で決めている。

 

第6回ドイツ口腔衛生調査 小児における歯と顎の不正咬合

矯正歯科治療に関するガイドライン

ドイツにおける診療ガイドライン

 

ドイツ矯正歯科専門医協会(BDK)の方針声明

Grundsatzprogramm des Berufsverbandes der Deutschen Kieferorthopäden (BDK) e.V.

 

ドイツ口腔保健省の報告書

IGES Institute (2018) Orthodontic treatment measures
Kieferorthopädische Behandlungsmaßnahmen

治療品質基準について

ドイツ矯正歯科学会

Qualitätssicherung in der Kieferorthopädie
J Orofac Orthop 2019 80:279–288

A+ 優れた結果,いかなる制限もない達成可能な最高の結果.
A  良結果、通は目指すべき
B  望ましい結果が十分に達成されておらず、改善の余地がある。
C  目標とする結果が得られていないため、改善が必要

検査結果の評価
治療計画の評価
治療経過の評価
治療結果の評価
保定中の評価
総合的な評価

Ideal treatment timing of orthodontic anomalies—a German clinical S3 practice guideline
J Orofac Orthop (2022) 83:225–232

ドイツの KIG 基準 (= Kieferorhopädische Indikationsgruppen、治療の必要性に関するドイツの指標)

PAR Index

Evaluation of treatment and post-treatment changes by the PAR Inex
European Journal of Orthodontics, 19(3) 1997: 279–288

 

 

   フランス(IOTN)

 

Ministère de la Santé et de la Prévention フランス政府 健康・予防省

100% Santé dentaire 100% 歯の健康

Remboursement des soins dentaires 歯科診療報酬 矯正歯科

 

Fédération Française d'Orthodontie(FFO) フランス矯正歯科連盟

Société Française d’Orthopédie Dento-Faciale (SFODF) フランス歯科顎顔面矯正学会

Syndicat Français des Spécialistes en Orthodontie (SFSO) フランス矯正歯科専門医連合

Association dentaire française (ADF) フランス歯科協会

 

 

 

フランスの小学生における歯科矯正治療の必要性:歯科矯正治療の必要性指標を用いた疫学調査

Orthodontic treatment need in French schoolchildren: an epidemiological study using the Index of Orthodontic Treatment Need

European Journal of Orthodontics, Volume 28, Issue 6, December 2006, Pages 605-609 | Oxford Academic (oup.com)

 

 

不正咬合と口腔機能障害:フランスの小学生359人を対象とした包括的疫学調査

Malocclusions and oral dysfunctions: A comprehensive epidemiological study on 359 schoolchildren in France

Clin Exp Dent Res 2023 Apr;9(2):332-340

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cre2.719

 

 

 

☛ Pertinence et indications des actes d’orthodontie ガイドライン

 【はじめに】 適切な矯正治療を、適切な時期に、適切な場所で、適切な患者さんへ。
 適正な矯正歯科医療とは、治療の適応症と非適応症、すなわち正しく適切な矯正歯科治療を提供することに焦点を当てたものです。
- 使いすぎない(オーバーユース):不必要な、コストのかかる、正当化されないケア。
- どちらも少なすぎる(underuse):ケアの不足、患者さんのチャンスの喪失。
 したがって、該当する歯科矯正処置は、医療上の有益性(機能的能力の改善、生活の質の向上など)が期待され、その最終目的が、リスク(う蝕リスク、歯根吸収など)を抑えながら患者の口腔内の健康状態を改善する、必要かつ適切な処置である。
 歯科矯正学は、形態的・規範的な考察を超えて、何よりも生理的・社会的機能の回復を目的とした医学分野です。そのため、個人の健康にも寄与しています。
WHOでは、健康を「身体的、精神的、社会的に良好な状態」と定義しています。FDIにとって、「口腔の健康は多面的であり、話す、笑う、嗅ぐ、味わう、触る、噛む、飲み込む、表情で感情を表現するなどの能力を、痛みや恥ずかしさなしに、自信を持って、頭蓋顔面複合体の病態と同様に含む」のだそうです。
 また、FDIは、口腔衛生:
- "健康"、"身体"、"精神 "を構成する重要な要素です。個人と集団の価値観と行動に影響される連続体の一部である。
- は、生活の質に不可欠な生理的、社会的、心理的特性を反映しています。
- は、個人の進化する経験、認識、期待、および適応能力に影響される」。
 フランスでは、FFOの支援のもと、矯正歯科学会が、矯正治療に関連する医療効果をより適切に評価し、矯正治療の適応と妥当性のより良い理解に貢献するために、既存の優良事例に関する勧告を更新する必要があると考えるようになりました.
 このガイドラインは、次のような問いに答えることを目的としています。
- 診断のプロセスや治療の必要性の評価はどのように行われるのですか?
- 矯正治療で期待される医療効果とは?
- 推奨される適応症は?
- 治療に伴う潜在的なリスクは?
 これらの提言は、ODFとODMFの実務担当者に宛てたものです。さまざまな矯正治療技術の比較評価は、この報告書では触れていません。

 

 

イタリア

 

 

イタリアの小児および青年における不正咬合の有病率と矯正歯科治療の必要性に関する因子

Prevalence and factors related to malocclusion and orthodontic treatment need in children and adolescents in Italy.

European Journal of Public Health 17(6): 637–641, 2007.

 

 

 

 

 

 

   日本(現行制度と学校歯科健診)

 

 

 

   スウェーデン

スウェーデン医療・社会的評価機関 Statens beredning för medicinsk och social utvärdering

  Malocclusions and Orthodontic Treatment in a Health Perspective. A Systematic Review • ISBN: 91-85413-06-2 • ISSN: 1400-1403 Report no: 176 • Publishing year: 2005

  Evidenskarta Ortodonti/Evidence map Orthodontics エビデンスマップ矯正歯科

 

 

 

― 疾病としての歯・歯列弓の位置/位置関係/機能の異常

 

疾病 / 病気 / 健康とは何か? 疾患の文化的概念,とらえかた(社会的価値の多様性について)

 

健康の定義

病,病気,疾病,疾患( illness/disease)

疾病,障害,死因の国際統計分類

ICD

健康寿命

 ☛ 問い: わが国において 「歯や列弓の位置/位置関係の異常」 は疾病でないとされているのはなぜか?

政府答弁

発言URL:  歯科矯正につきましては、疾患咬合異常や歯列不正との関係が明らかな場合に保険給付の対象といたしております。 これは、我が国の公的医療保険は疾病や負傷の治療等に対して保険給付することを目的としておりますけれども、歯科矯正治療につきましては審美的な要素も大きいため、原則的に保険適用外となっているためでございます。

☛ 患者は病気(illness)を苦しみ,医師は疾病(disease)を扱うと言われるが,国際的な医療概念から外れている日本独自の政府答弁の原因は,われわれ医療提供者側にも責任はないか? 歯科矯正学の学問体系に関する総論的な考察が遅れ,矯正治療の意義と目的が不明瞭となっているとの指摘がなされてきた.この社会的苦痛 social suffering に関する医療的意義は高橋 19471,鈴木ら 19782 によっても指摘されている.医療は社会との契約の基礎であること.医師の利益より患者の利益を優先すること.健康に関する専門的助言を社会に与えることなど医療倫理原則について.

☛ 歯科矯正のあり方,現状の考察,修正すべき点はどこか? 諸外国の現状との乖離

咬合異常,歯列不正,不正咬合 ⇒ 歯の位置異常,歯列関係の異常,歯周病,顎関節疾患などの疾患/疾病の結果として生じるもの.咬合という概念に関するドグマ

【 参考】:

1. 不正咬合並びにこれに依りて招来される顎骨の異常,乃至は顔貌の不正(勿論顎骨の異常が原因で不正咬合を生ずることも多いが)等は單に患者の咀嚼,發音等の諸機能を阻害するにのみならず,患者自身の精神上にも頗る重大な影響を及ぼし,これがため自らを卑下し,社會生存上常に大なる損失を招きつゝあることは吾々經驗するところである。例へば圖1−2のやうな甚だしい不正咬合に於いては,その顔貌上に及す影響も極めて大であつて患者自らもその點に關し,懊惱苦悶せることは明らかである。かくの如き場合に於ける矯正施術の目的は,單に齒牙の正常なる機能を恢復するばかりでなく,進んで顔面の不正おも改善することにより,より重大な意義を有することは明である。 高橋新次郎: 矯正齒科學 理論と實際 第六版 第一章 矯正齒科學の意義 1947

2. 技術を中心とした治療学の進歩は,不正咬合の治療効果を高め,治療に伴う歯根吸収などの障害を避け,術後の安定を一層確実にするための努力の表現であって,このこと自体,非難されるべきではない.しかし,一方では,技術的進歩のみが独走して,そのあとにかずかずの矛盾が残されたという面がないとはいえない.とくに,歯科矯正学の学問体系に関する総論的な考察が遅れ,矯正治療の意義と目的とは,ともすれば不明瞭となり,このため歯科矯正学は,学生諸君からも,そしてときには矯正専門医からも,あたかも美容整形技術の一部であるかのように受け取られる結果を招いている.歯科矯正学は,現在,もう一度そのあり方について考える時期に来ているといえる.そして,学問の進歩とともに,また時代の流れと社会の変化とともに,常に考え続けるものでなければならない.歯科矯正学実習書 実習総論 p.1 医歯薬出版 昭和53 1978

 

 

 ☛ 問い: 歯科医師の医療行為として,歯科矯正学の技術や知識は格差なく国民へ公平に配分されているか?

 

 

 

 

 

 ☛ 問い: 歯科医師の医療行為として,歯科矯正学の技術や知識は格差なく国民へ公平に配分されているか?

国家資格を経た歯科医師(あるいは矯正歯科の標榜,学会の認定医や専門医を名乗る歯科医師),歯科矯正専門医の存在意義,医療として国民への公平性について矛盾はないか?

 

【国民の声と現状について】

 

平成10年(1998)3月31日 公明党広島県本部と歯科矯正の保険適用を求める会より1万人を超える署名簿を厚生省(小泉厚生大臣)へ提出.
平成10年4月7日 第147回国会 議院 国民福祉委員会 第5号
その後の全国の自治体からの意見書や議決
 平成12年03月29日 三鷹市議会
 平成12年03月30日 東京都議会
 平成29年09月15日 甲府市議会

 平成30年06月22日 甲斐市議会
 令和元年06月26日 第198回国会 衆議院 厚生労働委員会 第23号
子供の歯科矯正への保険適用の拡充に関する請願(宮川典子君紹介)(第二一二三号)
 令和元年06月11日 第198回国会 参議院 内閣委員会 第23号
地方自治法の規定による自治体からの衆・参議院議長,内閣総理大臣,財務,文部科学,厚生労働大臣への意見書.
 令和2年03月23日 山梨県議会

 令和2年03月25日 兵庫県議会
 令和2年06月25日 東村山市

 令和3年03月01日 富士吉田市議会

 令和3年03月11日 鳴沢村議会
 令和3年09月03日 山梨県中央市議会
 令和3年09月24日 山梨県上野原市議会

 令和3年09月29日 習志野市議会
 令和3年09月30日 大月市議会
 令和3年10月21日 奈良県議会
 令和3年12月02日 広島市議会
 令和3年12月09日 大和高田市

 令和4年03月25日 橿原市議会

 令和4年03月28日 令和3年度 第1回東京都歯科保健対策推進協議会

会議録

子供の矯正歯科治療医療保険適応の経緯と矯正歯科分野における今後の取り組み

 令和4年06月17日 奈良県斑鳩町議会

 令和4年06月21日 奈良県広陵町議会

 

 

【 子どもの歯列矯正についての議論】

 

☛ 厚生労働省,文部科学省,財務省(歯列を矯正するための費用

 

 

第211回国会 参議院 予算委員会 令和5年3月1日 会議録 動画

 子どもの医療費負担,各自治体における公費負担との兼ね合い,子どもの歯科矯正の必要性について

 

第208回国会 参議院 厚生労働委員会 第7号 令和4年4月7日 会議録 動画

 子どもの歯列矯正は将来の疾病予防のために資する

 

令和3年度 第1回東京都歯科保健対策推進協議会 令和4年03月28日 会議資料

会議録,意見交換西井先生説明資料(講演内容は会議録にきさいされているので参照)

子供の矯正歯科治療医療保険適応の経緯と矯正歯科分野における今後の取り組み

 

第208回国会 参議院 消費者問題に関する特別委員会 第4号 令和4年3月15日 会議録 動画

 子どもの歯科矯正治療の保険適用について

 

第204回国会 子どもの歯科矯正への保険適応の拡充に関する請願(厚生労働委員会 令和3年6月16日採択)

   【請願要旨と処理経過(所管省庁における処理要領)

請願情報

経過

 

第204回国会 衆議院 文部科学委員会 第16号 令和3年5月26日 会議録 動画(3h:10m:30s から)

   児童生徒の歯科矯正に対する保険適用を求め声についての政府の対応について

 

第204回国会 参議院 文教科学委員会 第13号 令和3年5月20日 会議録 動画

   学校歯科健診における歯科矯正の問題点について

 

第200回国会 どもの歯科矯正に保険適応の拡充を求めることに関する請願(厚生労働委員会 令和元年12月)

     【請願要旨

 

第198回国会 参議院 内閣委員会 第23号 令和元年6月11日

経済的理由による健康格差の歯列矯正について

 

第132回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 平成7年2月20日

歯科の矯正治療について

 

 

第51回国会 衆議院 社会労働委員会 第4号 昭和41年2月24日
西欧諸国の社会保障と日本の国情について

 

 

 参考として:「 口唇口蓋裂の保険導入までの議論」 ⇒ 10年以上の期間を要している

第51回国会 衆議院 社会労働委員会 第4号 昭和41年2月24日
口蓋裂,言語障害者に対する政府の治療対策,治療施策現状,言語障害者の基本調査について
西欧諸国の社会保障と我が国の国情

第51回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第3号 昭和41年3月31日

第51回国会 衆議院 社会労働委員会 第38号 昭和41年5月26日

第76回国会 衆議院 社会労働委員会 第1号 昭和50年11月11日

第82回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 昭和52年10月25日

昭和53 1978年 医療法改正により,標榜診療科 「矯正歯科」 「小児歯科」 の追加

昭和57 1982年 唇顎口蓋裂の保険導入

   ☛ 口蓋裂と矯正歯科―その保険導入の前後

   ☛ 谷間の口がい裂児:この子らに健保を

 

 

 ☛ 問い: 良質かつ適切な矯正歯医療を,国民へ格差なく公平に提供できる医療制度はどのようなものか?

専門医制度は誰のため? 本質,国民の健康格差と矯正歯科医療の役割.医療制度の正:

医療としての公平性.健康は人権であるという視点から,すべての国民に負担可能な費用で医療サービスを提供すること.過大な医療費負担によって経済的破綻に陥ることがないように国民を保護することは国家の義務であり専門職の役割であること.常に視点は低・中所得の人々におくことで,国家としての健康指標の改善が初めてなされること.

健康と疾病/病/病気の概念について:

 

 ☛ 問い: 国民の税金を財源とする研究結果は,なぜ国民へ格差なく公平に提供できていないのか?

大学における研究活動は,「科研費」と呼ばれる科学研究費助成事業(文部科学省が所管),「研究者自らの自由な発想に基づく学術研究を推進する」と謳い,人文社会科学から自然科学までのすべての研究分野,基礎から応用までのあらゆる学術研究が対象となる.

国民の税金が財源となり,全国の大学歯学部,歯科矯正に関する研究機関から提出される研究計画は、ピア・レビュー方式(専門分野の近い複数の研究者による審査)によって厳しく,高い透明性をもって評価される.

研究内容は,厚生労働大臣の定める歯科矯正へ保険適用される疾患についてに限られたものではなく,歯の移動速度を速める,装置の開発など,保険適用されない領域,すなち国民の公平な医療を享受できない分野へも適用され支給されており,財源の使用目的には矛盾はないだろうか?

 

 

― WHOによる国際疾病分類 ICD  Version: 02/2022― 歯科矯正領域の疾病 Disease

 

厚生労働統計(患者調査)の疑問:患者調査における疾病分類上の歯科矯正とはなんぞ?

統計法により,国勢統計、国民経済計算その他国の行政機関が作成する統計のうち,総務大臣が指定する特に重要な統計を「基幹統計」として位置付け,この基幹統計を中心として公的統計の体系的整備を図ることとしている.患者調査も基幹統計の一つとなっている.

 国勢調査,患者調査などの基幹統計調査は,公的統計の中核となる基幹統計を作成するための特に重要な統計調査であり,正確な統計を作成する必要性が特に高いことなどを踏まえ,一般統計調査にはない特別な規定(下記)が定められている.

報告義務:幹統計調査に対する正確な報告を法的に確保するため、基幹統計調査の報告(回答)を求められた者が、報告を拒んだり虚偽の報告をしたりすることを禁止しており(第13条)、これらに違反した者に対して、50万円以下の罰金が定められています(第61条)。

かたり調査の禁止:被調査者の情報を保護するとともに、公的統計制度に対する信用を確保するため、基幹統計調査について、その調査と紛らわしい表示や説明をして情報を得る行為(いわゆる「かたり調査」)を禁止しており(第17条)、これに違反した者に対して、未遂も含めて2年以下の懲役又は100万円以下の罰金が定められています(第57条)。

地方公共団体による事務の実施:基幹統計調査は、全数調査や大規模な標本調査として行われることが少なくなく、国の職員だけで、限られた期間内に調査を円滑に終えることは困難です。そこで、調査を円滑かつ効率的に実施するため、調査事務の一部を法定受託事務として、地方公共団体が行うこととすることができるとされています(第16条)。地方公共団体が行う事務の具体的な内容は、個々の基幹統計調査ごとに、政令(国勢調査令、人口動態調査令及び統計法施行令)で定められています。
 なお、調査に要する経費は、国が全額支出します(地方財政法第10条の4)。

患者調査における歯科矯正の疑問】:病院及び診療所を利用する患者について,その傷病状況等を明らかにする本調査は,統計法に基づく基幹統計『患者統計』の作成を目的とするのであるが,国際疾病分類に基づいた患者調査では,歯の位置異常や顎骨の異常といった国際的な不正咬合の疾病名がない.ないので患者調査では,傷病名に中で『歯科矯正』という分類項目が苦肉の策だろうか他の傷病名と並んでいるのであるが,これの定義はどのようになっているのだろうかという疑問.

 

国際疾病分類の第11回改訂版 (ICD-11)は2018年にリリースされ,ICD-DAと統合され,矯正歯科領域における顎顔面,歯・歯列の異常を疾患分類している.プリント版に加えて,Browseによる検索が容易にデジタル化され,疾病概念を説明するコンテンツも記載されている.疫学,臨床,研究目的で,今後の我が国における歯科矯正の疫学調査に有用と思われる. 2022.1から5年程度の移行期間を経て ICD-11は実施される.社会保障審議会 (統計分科会疾病、傷害及び死因分類部会) において日本語化など検討中

ICDの概要について

ICD-11の国内の公的統計への適用について

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☛ 不正咬合は,以下に分類される.

DA0E.5 Malocclusion
All ancestors up to top
  - 13 Diseases of the digestive system
   - Diseases or disorders of orofacial complex
    - DA0E Dentofacial anomalies
     - DA0E.5 Malocclusion

Description:

WHO_EN: Malocclusion is the atypical relationship between maxillary and mandibular teeth which may interfere with the efficiency of excursive movements of the mandible that are essential for the effective mastication process.

WHO_ZH: 错牙合畸形是上颌和下颌牙齿之间的非典型关系,可能会影响下颌骨漂移运动效率,这对于有效咀嚼过程至关重要。

不正咬合とは,効果的な咀嚼に欠かせない下顎骨の左右・前後の滑走運動効率に影響を与えるような,上下顎の歯の非典型的な位置関係をいう.

 

叢生,捻転,正中離開,移転歯,上顎前突,下顎前突,開咬,正中偏位,交叉咬合,過蓋咬合といった,上下顎の咀嚼運動に影響するような不正咬合を国際疾病分類 K07.0 〜 K07.6, p.69-71 に記載.我国においては,各省庁間において,不正咬合や咀嚼機能という概念(厚生労働省),美容,審美的要素,社会通念上など(財務省),歯列咬合(文部科学省)といった解釈で説明される.国際的な疾病概念からの乖離.国民の要望,医療従事者(歯科医師)との認識の相違もある.わが国独自の社会的・文化的背景,歯科の歴史経過,公的医療保険から歯科矯正が欧州諸国から立ち遅れていることで生じている社会疫学・公衆衛生上の諸問題について知る.

☛ 英国,独逸:歯列咬合の異常を健康に障害を与える程度によって5段階に分類.IOTN

 

ICD-11における歯科矯正領域の疾患:

 

ICD-10 と ICD-11 の歯科矯正領域における疾病分類のコード対応表

ICD-10 / ICD-DAICD-11 
ClassKindDepthCodeChapterTitleClassKindDepthCodeChapterTitle
category1K07XIDentofacial anomalies [including malocclusion]category1DA0E.Z13Dentofacial anomalies, unspecified
category2K07.0XIMajor anomalies of jaw sizecategory2DA0E.0Z13Major anomalies of jaw size, unspecified顎の大きさの著しい異常
category2K07.1XIAnomalies of jaw-cranial base relationshipcategory2DA0E.113Anomalies of jaw-cranial base relationship顎と頭蓋底との関係の異常
category2K07.2XIAnomalies of dental arch relationshipcategory2DA0E.213Anomalies of dental arch relationship上下歯列弓の位置関係の異常
category2K07.3XIAnomalies of tooth positioncategory2DA0E.313Anomalies of tooth position歯の位置異常
category2K07.4XIMalocclusion, unspecifiedcategory2DA0E.5Z13Malocclusion, unspecified不正咬合,詳細不明
category2K07.5XIDentofacial functional abnormalitiescategory2DA0E.613Dentofacial functional abnormalities歯顎顔面の機能的異常
category2K07.6XITemporomandibular joint disorderscategory2DA0E.813Temporomandibular joint disorders顎関節症
category2K07.8XIOther dentofacial anomaliescategory2DA0E.Z13Dentofacial anomalies, unspecified 
category2K07.9XIDentofacial anomaly, unspecifiedcategory2LD2220Syndromes with dental anomalies as a major feature 

 

ICD-11 for Mortality and Morbidity Statistics (who.int)

ICD-11 Diseases of the digestive system_orofacial complex

 

DA0E Dentofacial anomalies

Parent

Description

A congenital or acquired abnormality in which the dental and oral structures deviate from normal form, function, or position.

Exclusions

DA0E.0 Major anomalies of jaw size

Parent

DA0E.1 Anomalies of jaw-cranial base relationship

Parent

Description
This is a congenital or acquired abnormality in which the portion of the skull that holds the upper jaw deviates from the normal form, function, or position.
DA0E.2 Anomalies of dental arch relationship

Parent

Description
This is a congenital or acquired abnormality in which dental arch relationship deviate from normal form, function, or position.

Coded Elsewhere

DA0E.3 Anomalies of tooth position

Parent

Description
Dental anomalies are craniofacial abnormalities of form, function, or position of the teeth, bones, and tissues of the jaw and mouth. Anomalies of tooth position can be classified in ectopic, transmigration, transposition, rotation.

Inclusions

DA0E.5 Malocclusion

Parent

Description
Malocclusion is the atypical relationship between maxillary and mandibular teeth which may interfere with the efficiency of excursive movements of the mandible that are essential for the effective mastication process.
DA0E.50 Class II division 2 malocclusion

All ancestors up to top

Description
This condition relates to Angle’s classification of occlusion in which the first permanent maxillary molar position is aligned or in an anterior relationship to that of the mandibular firs permanent molar, such that the mesiobuccal cusp of the maxillary molar is mesial to the buccal grove of the mandibular molar and the central incisors are in linguoversion.
DA0E.51 Angle class I malocclusion

All ancestors up to top

Description
The maxillary first permanent molar is in slight distoversion in relation to the mandibular first permanent molar, and the mesiobuccal cusp of the maxillary molar is aligned with the buccal groove of the mandibular molar.

 

 

- - 以下は,ICD−DA 第3版(WHO 1995)に関する記述 - - - - - - - - -

英語版 The Application of the Internationl Cassification of Diseases to Dentistry and Stomatology (ICD-DA 3rd Ed. 1995)

日本語版 国際疾病分類 歯科学及び口腔科学への適用 第3版 平成13年12月(厚生労働省)CD-ROM版

CHAPTER XI

Diseases of the digestive system

Diseases of oral cavity, salivary glands and jaws

K00 Disorders of tooth development and eruption

K01 Embedded and impacted teeth

K02 Dental caries

K03 Other diseases of hard tissues of the teeth

K04 Diseases of pulp and periapical tissues

K05 Gingivitis and periodontal diseases

K06 other disprders of gingiva and edentulous alveolar ridge

K07 Dentofacial anomalies [including malocclusion] 歯顎顔面(先天)異常[不正咬合を含む]

K07.0     Major anomalies of jaw size 顎の大きさの著しい異常 (顎変形症:1990 保険適用) 

Excludes:     acromegaly 末端肥大症<先端巨大症>(E22.0)(顎変形症:1990 保険適用)
                       hemifacial atrophy or hypertrophy
 顔面半側の委縮又は肥大 (Q67.4) 2004保険適用
                       Robin's syndrome
 ロバン症候群 (Q87.0) 2002保険適用
                       unilateral condylar hyperplasia
 片側性下顎頭過形成 (K10.81) (顎変形症:1990 保険適用)
                       unilateral condylar hypoplasia
 片側性下顎頭形成不全 (K10.82) (顎変形症:1990 保険適用)
K07.00       Maxillary macrognathism [maxillary hyperplasia] 大上顎症[上顎過形成]
K07.01       Mandibular macrognathism [mandibular hyperplasia] 大下顎症[下顎過形成]
K07.02       Macrognathism, both jaws 大顎症,上下顎
K07.03       Maxillary micrognathism [maxillary hypoplasia] 小上顎症[上顎低形成]
K07.04       Mandibular micrognathism [mandibular hypoplasia] 小下顎症[下顎低形成]
K07.05       Micrognathism, both jaws 小上顎症[上顎低形成]
K07.08       Other specified jaw size anomalies その他の明示された顎の大きさの異常
K07.09       Anomaly of jaw size, unspecified 顎の大きさの異常,詳細不明

K07.1    Anomalies of jaw-cranial base relationship 顎と頭蓋底との関係の異常(顎変形症:1990 保険適用)

K07.10      Asymmetries 顎の非対称

Excludes:    hemifacial atrophy 顔面半側委縮 (Q64.40) 2004 保険適用 
                      hemifacial hypertrophy
 顔面半側肥大 (Q67.41)  2008 保険適用
                      unilateral condylar hyperplasia
 片側性下顎頭萎縮 (K10.81) (顎変形症:1990 保険適用)
                      unilateral condylar hypoplasia
 片側性下顎頭形成不全  (K10.82) (顎変形症:1990 保険適用)
K07.11       Mandibular prognathism 下顎前突(症)
K07.12       Maxillary prognathism 上顎前突(症) 
K07.13       Mandibular retrognathism 下顎後退(症)
K07.14       Maxillary retrognathism 上顎後退(症)
K07.18       Other specified anomalies of jaw-cranial base relationship その他の明示された顎と頭蓋底との関係の異常
K07.19       Anomaly of jaw-cranial base relationship, unspecified 顎と頭蓋底との関係の異常,詳細不明

☛ わが国において1990年に公的医療保険となった「顎変形症」という保険請求上の病名は,統計法上の疾患コードではK07.

☛ 傷病名「顎変形症」は,顎顔面の変形をともなう疾患群のうち治療法として「顎離断術」が選択された場合に「顎変形症」と呼ばれる.K07 歯顎顔面(先天)疾患[不正咬合を含む]の一部に該当する.

☛ 疾患/傷病への保険給付ではなく,治療方法によって疾病名が決定され保険給付されるため,最善の治療方法の選択する場面において,患者の自律性,無危害原則との衝突がある.特に,ボーダーライン症例の治療方針の決定では,患者の経済的状況が影響を与えることもあり,医療倫理原則上のジレンマが生じる場合がある.公平な術式選択のための医療倫理(詳細な連携医療,治療計画立案,治療同意)が求められる.術式による保険給付ではない保険適用基準の是正を要する.

☛ 顎離断を望まない,歯列改善のみで容貌改善を希望しない場合,あるいはその逆に経済的理由からの顎離断術の選択を主張される場合もあり,医療倫理上のジレンマを実際に経験する.

☛ 公的医療保険の適用基準として:傷病名なのか治療方法なのか?顎離断の根拠,制度上のジレンマについて.

☛ 顎変形症の意義と目的:顔貌,歯列,顎機能などの優先順位.

☛ 医療倫理の4原則:自立尊重,無危害,善行,正義

K07.2 Anomalies of dental arch relationship 上下歯列弓の位置関係の異常我国では疾病とは認められず,公的医療保険の適用外

K07.20      Disto-occlusion 遠心咬合
K07.21      Mesio-occlusion 近心咬合
K07.22      Excessive overjet [horizontal overbite] 過剰なオーバージェット[水平的オーバーバイト]
K07.23      Excessive overbite [vertical overbite] 過剰なオーバーバイト<過蓋咬合>[垂直的オーバーバイト]
K07.24      Openbite 開咬
K07.25      Crossbite (anterior, posterior) 交叉(差)咬合(前歯部,臼歯部)
K07.26      Midline deviation 正中偏位
K07.27      Posterior lingual occlusion of mandibular teeth 下顎歯の後臼歯部舌側咬合<鋏状咬合>
K07.28      Other specified anomalies of dental arch relationship その他の明示された上下歯列弓の位置関係の異常
K07.29      Anomaly of dental arch relationship, unspecified 上下歯列弓の位置関係の異常,詳細不明

K07.3 Anomalies of tooth position 歯の位置異常我国では疾病とは認められず,公的医療保険の適用外

K07.30      Crowding そう<叢>生
                Imbrication インブリケーション<うろこ<鱗>状配列>
K07.31      Displacement 転位
K07.32      Rotation 捻転<回転>
K07.33      Spacing 空隙
                Diastema 歯隙
K07.34      Transposition 移転<位置交換>
K07.35      Embedded or impacted teeth in abnormal position 異常位の埋伏歯 2018 保険適用
                Excludes: embedded or impacted teeth in normal position 正常位の埋伏歯 (K01.0, K01.1)
K07.38      Other specified anomalies of tooth position その他の明示された歯の位置異常
K07.39      Anomaly of tooth position, unspecified 歯の位置異常,詳細不明

☛ K07.2 とK07.3 歯列の位置関係,歯の位置異常は,わが国では疾病として認められていないため公的保険適用外となることから,国民に過剰な費用負担を強いる結果となっている.学校健診で指摘されるが医療を受けられないということから,請願や自治体からの意見書が国会へ多数出ている.

 歯並びの価値について:社会的文化的概念のグローバル化による変遷.国民の要望の変化.医療社会学的視座から.

K07.4 Malocclusion, unspecified 不正咬合,詳細不明我国では疾病とは認められず,公的医療保険の適用外

K07.5 Dentofacial functional abnormalities 歯顎顔面の機能的異常我国では疾病とは認められず,公的医療保険の適用外

Excludes:  bruxism [teeth-grinding] 歯ぎしり (F45.82)
K07.50      Abnormal jaw closure 閉口異常
K07.51      Malocclusion due to abnormal swallowing 異常えん<嚥>下による不正咬合
K07.54      Malocclusion due to mouth breathing 口呼吸による不正咬合
K07.55      Malocclusion due to tongue, lip or finger habits 舌,口唇又は指の習癖による不正咬合
K07.58      Other specified dentofacial functional abnormalities その他の明示された歯顎顔面の機能的異常
K07.59      Dentofacial functional abnormality, unspecified 歯顎顔面の機能的異常,詳細不明

K07.6 Tempromandibular joint disorders顎関節症として保険適用)

K07.60     Temporomandibular joint-pain-dysfunction syndrome [Costen]
               Excludes: current temporomandibular joint dislocation (S03.0) and strain (S03.4) diseases listed in Chapter XIII
K07.61     Clicking (snapping) jaws
K07.62     Recurrent dislocation and subluxation of temporomandibular joint
               Excludes: current injury (S03.0)
K07.63     Pain in temporomandibular joint, not elsewhere classified
               Excludes: temporomandibular joint-pain-dysfunction syndrome [Costen] (K07.60)
K07.64     Stiffness of temporomandibular joint, not elsewhere classified
K07.65     Osteophyte of temporomandibular joint
K07.68     Other specified temporomandibular joint disorders
K07.69     Temporomandibular joint disorder, unspecified

☛  叢生,捻転,正中離開,移転歯,上顎前突,下顎前突,開咬,正中偏位,交叉咬合,過蓋咬合など国際疾病分類 K07.0 〜 K07.6, p.69-71 に記載.我国においては,各省庁間において,不正咬合や咀嚼機能という概念(厚生労働省),美容,審美的要素,社会通念上など(財務省),歯列咬合(文部科学省)といった解釈で説明される.国際的な疾病概念からの乖離.国民の要望,医療従事者(歯科医師)との認識の相違もある.わが国独自の社会的・文化的背景,歯科の歴史経過,公的医療保険から歯科矯正が欧州諸国から立ち遅れていることで生じている社会疫学・公衆衛生上の諸問題について知る.

☛ 英国,独逸:歯列咬合の異常を健康に障害を与える程度によって5段階に分類.IOTN

☛ 医療とは何か.病気/疾病とは何か.国民の幸福.Well-being.感情(喜怒哀楽)と健康

☛ 子どもの歯列矯正の受診についての格差:健康格差対策の進め方

 

 

 

<子どもの歯の矯正についての議論>

☛ 動画 子どもの歯科矯正,各自治体における公費負担との兼ね合い

☛ 動画 子どもの歯列矯正は将来の疾病予防のために資する

☛ 動画 子どもの歯科矯正治療の保険適用について

☛ 動画 児童生徒の歯科矯正に対る保険適用を求める声についての政府の対応について(3h10m30sから)

☛ 動画  学校歯科健診における歯科矯正の問題点について

☛ (政府見解....)我が国の医療保険制度においては、基本的に、疾病、負傷等の発生を保険事故として保険給付が行われていることから、歯科矯正については、唇顎口蓋裂等の先天性疾患に起因する咬(こう)合異常や顎変形症による歯列不正など、疾患と咬合異常や歯列不正との関係が明らかな場合に保険給付の対象としている

↪ 政府は 「咬合異常,歯列不正」 という概念を疾患としているようであり,「歯の位置異常,歯列関係の異常」 は疾患でないという解釈をしているのかもしれない.

 わが国の歯科界のドグマ.☛ 咬合という概念に関するドグマ

 

☛  医療倫理の問題解決の視点

  1. 目前の診察治療での規範:

  2. 組織(病院・診療所)での規範:

  3. 社会全体でなすべき規範

 健康は人権であるという視点.生権 健康権 生命権 幸福追求権

 すべての国民に負担可能な費用で医療サービスを提供すること.

 過大な医療費負担によって経済的破綻に陥ることがないように国民を保護することは国家の義務であること.

 常に視点は低・中所得の人々におくことで,国家としての健康指標の改善が初めてなされること.

   Global Health 101, 邦訳 グローバル ヘルス 世界の健康と対処戦略の最新動向

 

歯列矯正の必要性

Need for Orthodontic Treatment in Pupils Aged between 12 and 15 in the Valencian Region (Spin)

IOTN-DHC指標を用いた場合、12歳での治療の必要性は12.6%、15歳では7%であった。IOTN-ACで判断した場合、治療の必要性は12歳で4.3%、15歳で0.9%であった。DAI指標を用いた場合、12歳での必要性は30.1%、15歳では20.9%であった。性別や社会経済状況による矯正治療の必要性に統計的な有意差は認められなかったが、社会経済的背景の低い学童で必要性が高まることが判明した。

Malocclusions and Orthodontic Treatment in a Health Perspective: A Systematic Review

 

― 歯科疾患実態調査

 

調査計画

調査の目的本調査は、わが国の歯科保健状況を把握し、8020運動(歯科保健推進事業等)の種々の対策の効果についての検討等、今後の歯科保健医療対策を推進するための次期の目標設定に必要な基礎資料を得ることを目的とする。

1 矯正歯科治療の経験の有無、性・年齢階級別(3歳以上)

 2 矯正歯科治療の経験の有無、地域・性・年齢階級別(3歳以上)

 

令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要

表26 歯科疾患実態調査結果の概要

【解釈】

被験者数が少ないこと,矯正歯科の経験の定義(部分矯正,全顎矯正,床矯正など)が不明.

本格的だとすれば,85才以上の女性で歯列矯正を受けた方もいる

一般的に,12−18歳で受けるとすれば,そのまま日本における普及率の推移とも読める.

先行研究では,人口の35-40%が歯列矯正の必要とされ,女性では過半数が通院加療している

被験者の所得水準を追加すると,健康の社会的決定要因としての経済的要因が見えるだろう

学校歯科検診では不正咬合の要治療患者は5%程度.海外では35%程度.

 

 

― 8020 と 社会疫学の視点

 

問い: 8020達成者は,健康で咬み合わせが良い.のは本当か?  (因果関係と相関関係の区別

 

 ☛ 8020達成者は,高所得・高学歴であり,高い生活水準から高度な医療を受けた健康格差の結果である.

  8020運動の意味と問題点 日本補綴歯科学会雑誌 49巻2号 p.168-178, 2005.

 

  「8020運動」と社会疫学からみた口腔ケア 朱 a 国府台経済研究,27(1),133-148 (2017-03-31)

 ↪ 教育年数の長さ(学歴),生活状況と暮らし向きと(所得)と 残存歯数の関係

 

  良い咬み合わせで自立したシニアへ 8020 No.14 2015

 ↪ 港区(平均所得日本一の地域)の事例

 

  高齢者における所得格差と残存歯数の関連:JAGES2013新潟市データ 日本公衆衛生雑誌 64(4) 190-19 2017

所得格差が比較的小さいと考えられる日本の地方都市においても,個人レベルの要因を調整後に地域レベルの所得格差と残存歯数の間に関連が認められた。高齢者の残存歯数は永久歯への生え変わり以降,長い時間をかけて形成されたものであり,機序は明らかではないが,所得分配の不平等が住民の健康状態を決めるとする相対所得仮説は,今回対象となった高齢者の残存歯数において支持される結果であった。

 

Lancet. 12, 2021
Regional Inequality in Dental Care Utilization in Japan: An Ecological Study Using the National Database of Health Insurance Claims

歯科診療所が多い地域、所得水準が高い地域、教育水準が高い地域では、歯科疾患の初期段階で受診する傾向が強く、所得水準や教育水準が低い地域では、歯科疾患が進行してから受診する傾向が強い。地域の所得水準や教育水準が歯科医療の利用率に影響を及ぼしているようである

 

BMC Public Health. 2019; 19: 691.
Socioeconomic status and remaining teeth in Japan: results from the Toyama dementia survey
日本人の社会経済的地位と残存歯:富山県認知症実態調査の結果

 

社会疫学の視点:(健康に影響を及ぼす因子)

@ 生物としての個体
   ↳ 細胞,遺伝子,生活習慣,ライフスタイル

A 個人の社会経済的因子
   ↳ 学歴,所得,家族形態,友人など社会的サポートな

B環境としての社会
   ↳ 所得格差(不平等),医療制度,社会構造などの社会的決定要因

 

 

― 歯列矯正の目的:概念的なもの

日本の専門教育や学会日本政府の見解諸外国の現状
公的医療保険の概念:@疾病/病気を基準とするため「誘因」の除去は自己責任として医療保険の対象とならない.A疾病発生して初めて公的医療保険対象となる.歯・歯列・顎の位置や大きさの異常は,成長発育に関連する疾患,先後天的疾患?

動画 子どもの歯科矯正

     各自治体における公費負担との兼ね合い

動画 子どもの歯列矯正は将来の疾病予防のために資する
動画 子どもの歯科矯正治療の保険適用について
動画 児童生徒の歯科矯正に対する保険適用を求める声についての政府の対応について

動画  学校歯科健診における歯科矯正の問題点について

 

公的医療保険の概念:健康を基準(WHO1946: physical, mental and social well-being)
生活の質QOL,口腔の健康,機能の改善とし,社会的問題として捉えている.

国際的康概念
国際疾病分類 など

「障がい」として不正咬合をとらえる.
  障がいの社会モデル
2012 第3版 新しい歯科矯正学 永末書店2019 第6版 歯科矯正学 医歯薬出版 英国矯正歯科学会BOS
米国矯正歯科学会
ドイツ矯正歯科学会
 A 生理的障害
   @ 咀嚼機能障害
   A 発音障害
   B 顎骨の発育に及ぼす障害
   C 齲蝕発の誘因
   D 歯周疾患の誘因
   E 外傷の誘因
   F 補綴修復を困難にする
   G 顎関節症の誘因
 B 心理的障害
 @ 齲蝕の誘因
 A 歯周疾患の誘因
 B 外傷の誘因
 C 歯根吸収の誘因
 D 咀嚼機能障害
 E 筋機能障害
 F 顎骨の発育異常
 G 発音障害
 H 審美的な欲求と心理的な背景
☛(政府見解....)我が国の医療保険制度においては、基本的に、疾病、負傷等の発生を保険事故として保険給付が行われていることから、歯科矯正については、唇顎口蓋裂等の先天性疾患に起因する咬(こう)合異常や顎変形症による歯列不正など、疾患と咬合異常や歯列不正との関係が明らかな場合に保険給付の対象としている.


参考:
☛ 国際疾病分類
☛ 単に疾病であるかどうかより,
☛ 疾病による障害(健康への影響程度(IOTNなど)
      
@ 生活の質QOL,Well-being 社会的,幸福,自尊心,対人関係の向上など
A 口腔の健康と機能の改善

    清掃性(歯垢による齲蝕,歯周病)
    外傷の予防
    発音障害


☛ 諸外国では,医療・健康の観点から歯の位置異常の障害程度について述べる.我国では咬合や上顎前突,下顎前突,開咬といった分類の視点から述べる.文化社会的に概念的に異なる視点.
医学モデルの概念社会モデルの概念

☛ これらの医学的・医療上の問題や誘因としての歯の位置異常を矯正することは,わが国では公的医療保険となっていない.すべての国民に負担可能な費用で医療サービスを提供すること,また過大な医療費負担によって経済的破綻に陥ることがないように国民を保護することは国家の義務であること.

 

※ 障害者権利条約における障害の考え方

1980 国際障害分類

機能障害,能力障害,社会的不利 

2001 国際生活機能分類

身体機能・身体構造,活動,参加

 

 

翻訳:

equality                     平等

inequality                   格差 不平

fairness                     公正

helthcare                保健医療(public health も含む広い活動)

health care system     保健医療制度

medical care syastem 医療制度

 

 

― 誰が主体となって医療(制度)を提供(改善)すべきか?

― 医療制度は社会的ニーズへの対応にどの程度関与すべきか?

目の前にある問題はもちろん,人生の問いや,社会の問題を見つけ,挑み続けるために学ぶ.
学びで少しづつ世界は変えて行ける. いつでも,どこでも,誰でも,学ぶことができる世の中へ 旺文社

 

@ 政府

A 医療提供者(歯科医師,特に矯正歯科専門医)

   保険者

B 国民

 

問い: 国民の声:「なぜ日本の歯科矯正は公的医療保険の適用でないのか?」

基本的問いの復習:

  @ 歯科矯正は何か? 医療? 目的,意義

  A 公的医療保障とは何か? 公平/平等/健康格差

  B 医療とは何か?

 

A 歯科医師(矯正歯科医):

@ 政府:

 関係学会の回答も参考にしながら,中医協において議論を行う.関係省庁において連携し,必要な取り組みを行う.という珍回答である

   ↳ 関係学会:矯正歯科学会

   ↳ 中医協:中央社会保険医療協議会

   ↳ 関係省庁:こども家庭庁,厚生労働省,文部科学省,財務省,総務省など?

 

 

 

健康の社会的決定要因(SDOH: Social Determinants of Health)

 

医療は政府が責任を提供すべきか?

 イギリス  Yes 82%

 カナダ   Yes 63%

 ドイツ   Yes 56%

 アメリカ  Yes 33%

 日 本   Yes 

 

 関係学会の回答も参考にしながら,中医協において議論を行う.関係省庁において連携し,必要な取り組みを行う.という珍回答である

   ↳ 関係学会:矯正歯科学会    ↳ 中央社会保険医療協議会  ↳ こども家庭庁,厚生労働省,文部科学省,財務省,総務省など?

 

☛ 国民の要望等:請願,自治体意見書

 

 

 

@ 政府

A 医療提供者(歯科医師,特に矯正歯科専門医)

   保険者

B 国民

 

 

 

@ 政府(関係省庁:厚生労働省,文部科学省,財務省,総務省など)

 我が国の医療保険制度においては、基本的に、疾病、負傷の発生を保険事故として保険給付が行われていることから、歯科矯正については、唇顎口蓋裂等の先天疾患に起因する咬(こう)合異常や顎変形症による歯列不正など、疾患と咬合異常や歯列不正との関係が明らかな場合に保険給付の対象としているところであり、歯科医師がこうした疾患を疑って診察、検査等の必要な診療を行った場合も保険給付の対象としている。 保険給付の対象となる歯科矯正の範囲については、これまでも、安全性、有効性等の観点から、中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)において議論の上、拡充してきているところであり、引き続き、関係学会の見解等も参考にしながら、中医協において議論を行ってまいりたい。 また、学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)第十三条第一項の規定により行われる児童生徒等の健康診断(以下単に「健康診断」という。)における咬合異常や歯列不正の検出は、児童生徒等に対し歯科矯正の勧奨を行うことを第一義的な目的とするものではなく、学習面を含む学校生活への配慮やう蝕(しよく)予防など、児童生徒等の将来を見据えた生活指導を行うことを重視すべきものであると考えている。 その上で、健康診断において咬合異常や歯列不正を指摘された児童生徒等に対して、学校と地域の歯科医療機関との間で連携しながら、養護教諭や学校歯科医による健康相談等の充実が図られるよう周知する。 引き続き、関係省庁において連携し、必要な取組を行ってまいりたい。

(注:国際的には咬合異常や歯列不正は疾病であるためこの回答は謎であること.日本語版 国際疾病分類 歯科学及び口腔科学への適用 第3版 平成13年12月(厚生労働省)

 

 ☛ 関係学会の見解を参考にし, + 中医協において議論をする

↳ 関係学会の見解が求められている(45年前の英国に類似する状況.複数学会の乱立.不必要な歯列矯正,治療の質 ⇒ シャンシェフ報告からIOTONの提案の事例)

日本矯正歯科学会:矯正歯科治療における標準治療の指針(by 日本矯正歯科学会 2022.9.12版)の見解.

3. 疾患としての不正咬合
(ア) 不正咬合は ICD11(世界保健機関(WHO)の国際疾病分類第11版の症例分類)において“不正咬合は、効率的な咀嚼に重要な下顎運動を阻害するような正常ではない上下顎の歯の関係”と定義づけられている。また、口腔・顎顔面の異常は先天的、後天的な原因によって生じる形態的、機能的、位置的な歯と口腔の異常な状態と記されている。
(イ) 不正咬合の病態はさまざまであり、顎と歯の形態不全、歯の萌出や顎骨の成長など成育過程の障害、口腔の生理的機能不全などの原因、さらには、う蝕、歯周病、口腔習癖などによっても生じる。そして不正咬合は咀嚼や発語機能、外傷のリスク、顎関節の状態に影響を及ぼすことがある。さらに患者の心理社会的な問題に影響を及ぼす。そのため、不正咬合は患者の QOL を低下させることが知られている2−6)。

↳ 上記の関係学会見解は,「疾患と咬合異常や歯列不正との関係が明らかな場合に保険給付の対象としている」  とする「我が国の医療保険制度における保険給付の原則」に合致している.

 

↳ 不正咬合は疾病である.厚生労働省監修「国際疾病分類」

 

↳ 「審美的要素が大きい」 と理由から,保険給付の対象外としているということの解決策はすでに諸外国にて実施されている.

  ☛ 「審美性のおおきさ」 についての判断し,その判断基準(OTONなど)を関係学会と決定し,多くの国民の要望に沿うように制度正する政策立案が望ましいのではないか?

↳ 子どもの歯科矯正の保険導入について

↳ 現在の我が国の歯科においては,歯科疾患実態調査,国民生活健康調査といった調査は行われているが,健康における社会的決定要因の因子として,被験者の所得格差に関する因子がないため,統計の信頼性についての見直しが必要であろう.8020達成者は,高所得,高学歴であることがいくつかの報告から読み取れる.調査結果による政策は国民の実態とかけはなれたものになっていないか?

 

相田ら: 国民皆保険制度において歯科保険を充実させることが国民の歯の喪失を防ぐことにつながる可能性が示された。日本では英国よりも無歯顎の格差は小さいものの、格差自体は存在するため、今後、より格差を是正できるような社会保障制度を構築していく必要があると考え。

 

↳ そのうえで,中医協にて議論する

 

  ☛ 中医協における歯科のビジョン_令和3年12月10日 歯科医療(その2)

1.歯科医療を取り巻く状況について
2.地域包括ケアシステムの推進について
  Ø 地域における歯科医療機関と施設・行政等係機関との連携
  Ø 医療機関間の連携
  Ø 安心・安全で質の高い歯科医療の推進のためのICTの活用、研修等
3.生活の質に配慮した歯科医療の推進等
  Ø 口腔疾患の重症化予防
  Ø 各ライフステージに応じた口腔機能の管理
  Ø 歯科固有の技術の評価

    資料

    議事録 

 

    ☛ 中医協における議論 令和3年8月4日 歯科医療(その1)について

資料

議事録(以下の歯列矯正に関する発言が確認できるが,その後の歯科医師委員の追加なし)

○間宮委員
ありがとうございます。
小児の口腔機能管理の件、小さい頃から歯医者さんに診てもらって、口の中の健康を維持するのは非常に大事だと私も思っていますので、これは進めていっていただきたいのですけれども、歯科の矯正の治療がまだまだ自由診療であるということが多く見られていて、実際、矯正治療をしたほうがいいという状態の子も、親御さんによってはお金がないので治療できないということもあります。
子供の頃にきちんと歯列とかかみ合わせを矯正することによって、大人になってからも歯の健康を維持するということは非常に重要というか、できると思いますので、なるべく矯正治療を保険でできるようにしていっていただきたいと思います。これは矯正をした経験のある人たちからデータを取って、矯正は有効なのだということが分かれば、保険適用を拡大していく必要があるのかなと。
15歳未満の子供に対する管理料ということではありますけれども、矯正というか、歯の成長、口の成長は、15歳以上も成長するわけであって、成人ぐらいまでは管理が必要と思いますので、その辺りも検討していっていただきたいと思います。

 

参考:中医協を巡る贈収賄事件について

平成14年診療報酬改定における「かかりつけ歯科医初診料」の算定要件の緩和,及び平成16年診療報酬改定における「かかりつけ歯科医再診料」の単価の引上げに係る贈収賄.日歯連事件(にっしれんじけん),中医協汚職事件(ちゅうきょうおしょくじけん)とは,歯科診療報酬を巡って2004年春に日本歯科医師連盟による汚職や,日歯会長選に絡む横領と政界に絡む選挙買収や闇献金が発覚した事件.日歯連幹部6人,中医協委員2人,自民党国会議員2人,自民党派閥会計責任者,地方議員5人ら計16人が起訴され全員の有罪が確定した.この影響により中央社会保険医療協議会は根拠法が改正され,診療側委員を削減し公益側委員の増員するといった改正が行われた.

 

 

A 医療提供者(歯科医師,特に矯正歯科専門医,関係学会など)

 ☛ 社会保障の政策選択は,国民がどう生きてどう死ぬか,歯科矯正のあり方の選択であるが,

 ☛ 矯正歯科は自由診療のため保険適用外になります.という政府見解の説明に限定されている.

  保険療自体を行っていない矯正歯科医もおり,経済的理由から医療を享受できない患者への関心が少ない. 

 ☛ 我国の国民(患者)も,医療について理解し,諸外国の現状を知り,自国の制度は国民の要望で変わりうることを理解する.

 

【医療倫理の視点】についてのより深い理解は,われわれ歯科矯正医にこそ必要ではないだろうか?

 目前の診察治療での規範:

 組織(病院・診療所)での規範:

 社会全体でなすべき規範:

・健康は人権であるという視点.生存権 健康権 生命権 幸福追求権

・すべて国民に負担可能な費用で医療サービスを提供すること.

・過大な医療費負担によって経済的破綻に陥ることがないように国民を保護することは国家の義務であること.

・常に視点は低・中所得の人々におくことで,国家としての健康指標の改善が初めてなされること.

→ 歯列不正・不正咬合と健康: well-being 上の健康格差のある医療領域

健康:肉体的,精神的,社会的,すべてが満たされた状態 well-being

→ 諸外国の現状;ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)

 

 

B 国民

【国民の声と現状について】

 

平成10年(1998)3月31日 公明党広島県本部と歯科矯正の保険適用を求める会より1万人を超える署名簿を厚生省(小泉厚生大臣)へ提出.
平成10年4月7日 第147回国会 参議院 国民福祉委員会 第5号
そ後の全国の自治体からの意見書
 平成12年03月9日 三鷹市議会
 平成12年03月30日 東京都議会
 平成29年09月15日 甲府市議会
 令和元年06月26日 第198回国会 衆議院 厚生労働委員会 第23号
子供の歯科矯正への保険適用の拡充に関する請願(宮川典子君紹介)(第二一二三号)
 令和元年06月11日 第198回国会 参議院 内閣委員会 第23号
地方自治法の規定による自治体からの衆・参議院議長,内閣総理大臣,財務,文部科学,厚生労働大臣への意見書.
 令和2年03月25日 兵庫県議会
 令和2年06月25日 東村山市
 令和3年09月03日 山梨県中央市議会
 令和3年09月24日 山梨県上野原市議会
 令和3年09月30日 大月市議会
 令和3年10月21日 奈良県議会
 令和3年12月02日 広島市議会
 令和3年12月09日 大和高田市
 令和4年03月25日 橿原市議会

 

 

【 子どもの歯列矯正のについての最近の議論】

 

☛ 厚生労働省,文部科学省,財務省(歯列を矯正するための費用),東京都

 

第211回国会 参議院 予算委員会 令和5年3月1日 会議録 ☛ 動画

 子どもの医療費負担,各自治体における公費負担との兼ね合い

 子どもの歯科矯正の必要性について

 

第208回国会 参議院 厚生労働委員会 第7号 令和4年4月7日 会議録 動画

 子どもの歯列矯正は将来の疾予防のめに資する

 

令和3年度 第1回東京都歯科保健対策推進協議会 令和4年03月28日 会議資料

会議録,意見交換西井先生説明資料(講演内容は会議録参照)

子供の矯正歯科治療医療保険適応の経緯と矯正歯科分野における今後の取り組み(スライド)

 

第208回国会 参議院 消費者題に関する特別委員会 第4号 令和4年3月15日 会議録 動画

 子どもの歯科矯正治療の保険適用について

 

第204回国会 子どもの歯科矯正への保険適応の拡充に関する請願(厚生労働委員会 令和3年6月16採択)

   【請願要旨と処理経過(所管省庁における処理要領)

請願情報

経過

 

第204回国会 衆議院 文部科学委員会 第16号 令和3年5月26日 会録 動画(3h:10m:30s から)

   児童生徒の歯科矯正に対する保険適用を求める声についての政府の対応について

 

第204回国会 参議院 文教科学委員会 第13号 令3年5月20日 会議録 動画

   学校歯科健診における歯科矯正の問題点について

 

第200回国会 子どもの歯科矯正に保険適応の拡充を求めることに関する請願(厚生労働委員会 令和元年12月)

    【請願要旨

 

― 誰の歯科矯正治療を優先するべきか?(医療資源の倫理,コモンズの悲劇)

歯科矯正医療の必要性に関する議論:

  専門的ー技術的次元   ⇒   道徳的ー実践的次元(ペルトナー)

 

  歯科矯正についての議論から,歯科矯正の適用への議論へ

↪ 歯科矯正は美容的要素もある.(政府,一般歯科医)

 ↪ 米国,欧州における道徳的ー実践的議論として,歯科矯正医療の適用を「医学的に必要な歯科矯正(IOTNのGrade5,4,3)」と,「美容目的」であるものを区別した議論.

↪ 不必要,過剰,無益な医学的な歯科矯正医療をなくす.

 

 

適用基準と治療評価:

 

 

各国における公的医療保険の適用基準:

IOTN, KIG, HLD(CalMod), Salzman index, PAR Index, ICON

 

治療必要度数(IOTN: Index of Treatmet Need )の背景(イギリスの事例から)

@ シャンシエフ報告書(Schanschieff Report)について:

The Schanschieff report. Br Dent J. 1986;160:315.

1980年代中頃までの英国は,複数の矯正歯科団体が乱立し,我国の現状と類似する状況にあった.この当時,不必要な治療が横行したり,不十分な治療結果の患者の存在について,社会問題として提起され,当時の厚生大臣の依頼で1986年に報告書(Schanschieffレポート)がまとめられた.その内容はこの懸念を十分示すものであったのであるが,これに対してそれぞれの各学会は危機感をもち強くその内容を非難した.

(下記文献より引用)1969年から1974年まで、スティーブンはBSSOの名誉書記を務め、当時分裂していたイギリスの矯正歯科専門医の長所と短所を見抜く力を身につけました。彼はBSSOの会長(1976-1977)、コンサルタント矯正医グループの会長(1979-1981)、そして再編成されたBSSOの第2代理事長(1984-1987)に就任しました。この最後の任期中に、Schanschieff Committee of Enquiry into Unnecessary Dental Treatmentの報告書が発表され(1986年12月)、スティーブンは、英国の4つの矯正歯科学会を代表して、その報告書の根拠のない結論の多くに反論する合同委員会の立ち上げに重要な役割を果たしました.

1975年、スティーブンはBSSOの将来について、遠大な視野に立ったディスカッションペーパーを提出し、BSSO評議会に統一を提唱しました。この論文はその後、英国の他のすべての矯正歯科学会にコピーされました。しかし、1986年にSchanschieff Reportが出版されるまで、ほとんど進展はなく、最終的に彼のアドバイスに従って統一する必要性をすべての関係者が確信し、1994年10月2日に統一英国矯正歯科学会の最初の会合で頂点に達しました。1996年、スティーブンは2代目BOS会長に就任しました。

 

イギリスにおける専門職として歯科矯正学の成立.英国矯正歯科学会の役割
The emergence of orthodontics as a speciality in Britain: The role of the British Society for the Study of rthodontics.
Taylor, G.S., Nicolson, M.
Medical History. 51(3): 379-398, 2007

 

British Orthodontic Society, (2002). A History of the British Orthodontic Societies. London: British Orthodontic Society.

 

A シャンシエフ報告書の余波

The development of an index of orthodontic treatment priority
Brook PH, and Shaw WC

European J Orthodontics 11: 309-320, 1989.

Schanschieffレポートを受けて,マンチェスター大学のBrookとShawは,スウェーデン歯科医師会が使用していた治療優先度の指標に基づいて,治療必要度数(IOTN;Index of Orthodontic Treatment Need)を開発した.

IOTNは、不正咬合による歯や周囲組織の完全性に対する潜在的リスクのうち最も高いものに従って、矯正治療の必要性を評価する.1990年までに病院での治療に採用され、2006年からはプライマリーケアでNHS治療を受ける患者を定義するようになった.当初は不正咬合の軽い患者の不必要な治療を避けるために使用されていたが,2006年以降は,医療資源の配分の視点から,治療サービスを公平かつ透明な方法で割り当てる際のふるいとして使用されるようになった.

IOTNの導入により,矯正歯科医は矯正治療の必要性の評価を標準化でき,さらに歯科公衆衛生の見地からも,歯列矯正の供給計画を立てるためのツールと認識されている.

IOTNには、歯科保健要素(DHC)審美要素(AC)の2つのカテゴリーがある.

 

Shaw W. Dentofacial irregularities. In: Pine C (ed). Community Oral Health. London: Elsevier Science Limited, 2002. p. 104-11.

 

Dental and social effects of malocclusion and effectivenessof orthodontic treatment: a review
W C Shaw, M Addy, C Ray
Community Dent Oral Epidemiol. 1980 Feb;8(1):36-45.

 

Dental and social effects of malocclusion and effectiveness of orthodontic treatment: a strategy for investigation
William C. Shaw,Martin Addy,Paul M. H. Dummer,Collete Ray,Neil Frude
Community Dentistry and Oral Epidemiology 14 (1), 60-64, 1986-02

Difference in Quality of Life According to the Severity of Malocclusion in Japanese Orthodontic Patients
Tajima Mayumi,Kohzuki Masahiro,Azuma Shiori,Saeki Shuichi,Meguro Makiko,Sugawara Junji
The Tohoku Journal of Experimental Medicine 212 (1), 71-80, 2007

IOTN

 
GradeLevel of orthodontic treatment need
5Very great
4Great
3Moderate
2Little
1No need

LetterOcclusal trait
aOverjet – recorded to the most prominent part of the most prominent incisor
bReverse overjet with no masticatory or speech problems
cCrossbite
dDisplacement of contact points where teeth deviate from the line of the arch, worst displacement recorded, spacing inline of the arch not included
eOpen bite
fDeep bite
gGood occlusion
hHypodontia
iImpacted due to lack of space ≤4 mm
lPosterior lingual crossbite
mReverse overjet with masticatory or speech problems
pDefects of the cleft lip and palate
sSubmerged deciduous teeth
tPartially erupted teeth, tipped and impacted against adjacent teeth
xPresence of supernumerary teeth

 

IOTN Dental health component54321
Missing teeth5h = extensive hypodontia
+ restorative implications
>1 tooth missing per quadrant requiring pre-restorative orthodontic treatment
5s = submerging primary teeth
5i = impeded eruption/impaction
4h = less extensive hypodontia requiring orthodontic treatment for pre-restorative or space closure   
Overjet5a = OJ >9 mm
5m = ROJ >3.5 mm+ masticatory and speech difficulties
4a = OJ 6.1-9 mm
4b = ROJ >3.5 mm with no masticatory and speech difficulties
3a = OJ 3.6-6 mm + incompetent lips
3b = ROJ 1.1-3.5 mm
2a = OJ 3.6-6 mm + competent lips
2b = ROJ 0.1-1 mm
 
Crossbite 4c = x-bites + >2 mm discrepancy between RCP and ICP
4l = posterior lingual x-bite
3c = x-bite + 1.1-2 mm discrepancy between RCP and ICP2c = x-bite with up to 1 mm discrepancy between ICP and RCP 
Displacement of contact point 4d = contact point displacement >4 mm
4t = partially erupted teeth, tipped and impacted against adjacent teeth
4x = supplemental teeth
3d = contact point displacement 2.1-4 mm2d = contact point displacement 1.1-2 mmMinor irregularity
Overbite (including open bite) 4e = lateral or anterior open bite >4 mm
4f = increased + complete OB + gingival or palatal trauma
3e = lateral or anterior open bite 2.1-4 mm
3f = increased + complete OB with no gingival trauma
2e = lateral or anterior open bite 1.1-2 mm
2f = increased OB >3.5 mm and no gingival contact
 
 

ScoreNeed for treatment
1/2No need
3/4Slight need
5/6/7Moderate need
8/9/10Definite need

 

The aesthetic component of the IOTN developed by Evans and Shaw 1987.

 

 

Who needs orthodontic treatment? Who gets it? And who wants it?
Jawad Z, Bates C & Hodge T
British Dental Journal 218: p.99–103, 2015.

 

 

The development of a guide to borderline orthodontic need
Sampson A, Jeremiah HG, Lai NN & Kirschen R
Progress in Orthodontics 23:13 (2022)

 

 

 

ドイツ口腔保健省の報告書 

IGES Institute (2018) Orthodontic treatment measures
Kieferorthopädische Behandlungsmaßnahmen

 

 

治療品質基準についての各国のガイドライン

ドイツ矯歯科学会

Qualitätssicherung in der Kieferorthopädie
J Orofac Orthop 2019 80:279–288

A+ 優れた結果,いかなる制限もない達成可能な最高の結果.
A  良結果、通は目指すべき
B  望ましい結果が十分に達成されておらず、改善の余地がある。
C  目標とする結果が得られていないため、改善が必要

検査結果の評価
治療計画の評価
治療経過の評価
治療結果の評価
保定中の評価
総合的な評価

 

Ideal treatment timing of orthodontic anomalies—a German clinical S3 practice guideline
J Orofac Orthop (2022) 83:225–232

 

ドイツの KIG 基準 (= Kieferorhopädische Indikationsgruppen、治療の必要性に関するドイツの指標)

 

PAR Index

Evaluation of treatment and post-treatment changes by the PAR Inex
European Journal of Orthodontics, 19(3) 1997: 279–288

 

PAR_Index

   115回 歯科医師国家試験

 

― 歯科矯正(歯の位置,歯列異常への医学的介入)に適切な時期

 

ドイツにおける診療ガイドライン

 

 

 

― わが国における歯科矯正の治療品質評価と諸外国との比較

 

諸外国の治療ガイドライン

 ‣ドイツ

 ‣イギリス

 ‣アメリカ

 

日本における不正咬合の発現頻度(IOTN)

日におけるIndex of Orthodontic ThreatmentNeedを用いた不正咬合の疫学調査
Ortod ave-Jpn Ed 2009; 68(3): 142-154

小学6年〜中学1年生(新潟県農村部3校と市内中心部1校,首都圏近郊埼玉県1,東京都心部1校,福岡県農村部1校の計7校)の口腔内診査を矯正歯科医3名が実施した.653名のうち同意が得られた497名について実施され,歯列矯正経験者72名を除外し,425名について調査したところ,Grade4以上の歯列矯正の必要となる者は35.5%であった.

 

咬合異常による社会心理学的影響と矯正治療必要度の調査

 

 

― 医療保険の基礎理論

 

医療保険制度の体系

経済的特徴

医師誘発需要理論

情報の非対称

モラル ハザードの問題と対応策

逆選択

 

Ethical considerations regarding the timing oforthodontic treatment
Laurance Jrrod
AJO-DO, 113(1) .85-90,1998.

A. Moral hazard in health insurance: What we kow and how we know it.
Einav, L. and Finkelstein A.
J European Economic Association, 16(4): 957-982, 2018.

Ethics for orthodontists
Wendy E. Mouradian, M. Lena Omnell, and Bryan Williams
Angle Orthod (1999) 69 (4): 295–299.
Abstract: 子どもの最善の利益や未成年者の意思決定における倫理的問題について,口唇口蓋裂の児童で,医学的適応ある矯正歯科治療を受けるため両親が来院しなかったケースを紹介.患者の利益,危害の回避,両親の意思尊重の必要性など,このケースでの倫理的特徴が議論され,米国歯科医師会および米国医師会の倫理規定が参照される.倫理的ジレンマとして,矯正歯科医の子供に対する義務,親の自律性尊重との葛藤.親の自主性は、子供に重大な危害を及ぼす可能性がある時点まで尊重される.歯科矯正医の第一の倫理的責任は,両親ではなく子供に対するものであり,医学的適応ある治療を提供する歯科矯正医は,親の意思決定が問題となる場合,頭蓋顔面チームまたは病院のソーシャルワーカーを関与させるべきである.

Ethical dilemmas in orthodontics
BJMMR, 16(3): 1-8, 2016.
Abstract: 歯科矯正医が子どもの最善の利益を擁護する際に直面しうる倫理的ジレンマの一例としての臨床事例.5歳の女児.乳歯列期の反対咬合を主訴に私のクリニックに来院した.矯正歯科医が考える子どもの利益と、親の自主性を尊重する必要性との間に葛藤がありました。母親は矯正治療の効果に疑問と不安を抱いており、この年齢で娘の治療を開始することに消極的であった。矯正歯科治療において重要な人間的価値があるにもかかわらず,矯正歯科医が治療中に遭遇する倫理的問題は絶え間なく存在する.これらの価値観には、痛みの防止、通常の会話や食事のための口腔機能の維持と回復,患者の身体的外観の維持と回復,および自分自身の健康に対するコントロールと責任の感覚の促進が含まれる場合がある.歯科矯正医が扱うのは主に子供であり,倫理的な問題が発生するのは、特に道徳的な不確かさがある場合です.医学と歯学の倫理的伝統と行動規範は、歯科矯正医が金銭的な取り決めに関係なく患者の利益のために行動すること、そして時には自分自身を危険にさらすことさえも要求している。小児の場合、この患者への関心はさらに顕著となり、患者の意思を尊重するという歯科矯正医の関心と相反する場合がある。

 

 

 

― 我国の法令上における不正咬合,歯列・咬合,歯科矯正,矯正治療の取り扱い

 

所管
官庁
執行法令法令の解釈・補足(説明文・回答・答弁・事務連絡・マニュアルなど)
財務省国税庁所得税法施行令 第207条
(医療費の範囲)
第二百七条 法第七十三条第二項(医療費範囲)規定す政令で定める対価は、次に掲げるものの対価のうち、その病状その他財務省令で定める状況にじて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする。
一 医師又は歯科医師による診療又は治療


歯列を矯正するための費用
発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける者の年齢や矯正の目的などからみて社会通念上歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象となりますが、容姿を美化し又は容貌を変えるための歯列矯正の費用は、医療費控除の対象とはなりません(所得税法施行令第207条、所得税基本通達73-4)。
 将来の就職や結婚を考慮しての歯列矯正は、一般的に容姿を美化し又は容貌を変えるためのものであると認められ、この場合の費用は、医療費控除の対象とはなりません。

答弁:第84回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 昭和53年2月9日
 ☛ 子どもの矯正の大部分は医療の対象であり医療費に含める.特殊な例というのは美容のためだけにやる,健康上の理由はないんだということに該当する場合は問題がある.(国税庁直税部長) 


法令解釈通達 法第73条《医療費控除》関係
所得税基本通達73-4
(健康診断及び美容整形手術のための費用)
73−4 いわゆる人間ドックその他の健康診断のための費用及び容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、医療費に該当しないことに留意する。ただし、健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、当該診断に引き続きその疾病の治療をした場合には、当該健康診断のための費用も医療費に該当するものとする。



 財務省と厚生労働省の医療概念の議論と考え方:

 @ 容貌の美化とは何か?
     
美容のためだけにやる.健康上の理由はないという歯列矯正はあるか?
 A 容貌を変えるとは
     
歯並びを治す(歯や歯列の位置異常を矯正する)ことで,結果として容貌(口唇や側貌)は変わる.容貌を変えるだけの歯列矯正はないのではないか? お役人の知識不足や誤解.

 ☛ 答弁などから解釈すると,「美容のためだけや健康上の理由はない」という歯列矯正はどういう場合かと考えると.犬歯を吸血鬼のように出してほしいという奇人や映画俳優がいるかもしれないが,このような場合以外の歯列矯正は,国際疾病分類における歯の位置異常,歯列弓の異常という「疾病」を,正常な位置や大きさへ改善するものである.我国における八重歯はかわいいといった日本の社会的文化的背景のあるものを「疾病」と定義することには,まだ少し社会的な合意が必要かもしれない.

 ☛ 「容姿を美化し,容ぼうを変える」とは,疾病の有無によって解釈が異なる.

 ☛ 疾病による醜の改善(歯・歯列の位置・大きさの異常,腫瘍や外傷による身体の変形や欠損)
     ⇒ 歯科矯正,形成外科

 ☛ 疾病のない状態からの容姿,容ぼうを変える.健康上の理由がない.
     ⇒ 美