医師国家試験問題

 

第117回医師国家試験問題および正答について

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D問題 PDF [1,045KB] D問題 別冊 PDF [175,082KB]
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F問題 PDF [1,051KB] F問題 別冊 PDF [6,527KB]
       
正答 PDF [21KB]

 

 

1 インシデントレポートで正しいのはどれか。

a 保健所に報告する義務がある。
b 医療安全管理委員会が作成する。
c 薬剤に関する報告件数が最も多い。
d 報告件数が少ないほど医療安全の質が高い。
e 患者に実害がない場合は作成する必要はない。

 

 

2 吐血よりも喀血を示唆する所見はどれか。

a 悪心を伴う。
b 咳嗽を伴う。
c 食物残渣を伴う。
d タール便を伴う。
e 暗赤色の色調である。

 

 

3 医師の職業倫理に反するのはどれか。

a 患者から医療施設への寄付の申し出があり受け入れた。
b 自らの専門性を超えると判断した患者を他の医療機関に紹介した。
c サプリメントを使用する患者に健康被害に留意するよう指導した。
d 症例対照研究のために患者に許可なく本籍地を含む個人情報を収集した。
e 血液製剤の使用を拒む成人患者に意思の尊重と救命の両立とを図る努力をした。

 

 

17 医療面接における傾聴で正しいのはどれか。

a 事実確認を行う。
b アドバイスをする。
c 時間を限って聞く。
d 相手の話を熱心に聞く。
e 決められた項目を聞く。

 

 

21 我が国の医療保険制度について正しいのはどれか。

a 国民皆保険制度である。
b 予防接種は対象である。
c 保険医は保険者が指定する。
d 65 歳以上は後期高齢者医療制度に加入する。
e 雇用主は被用者保険の保険料を全額負担する。

 

 

22 治療薬の効果に関するランダム化比較試験の試験参加について被験者の同意を取得したとみなされるのはどれか。

a 研究に用いる薬物の服用
b 研究を行う主治医の同意
c 研究施設の倫理委員会の承認
d 施設のホームページでの公示
e 被験者への説明と同意文書の取得

 

 

25 リスボン宣言の内容で誤っているのはどれか。

a 患者には医療情報の提供を拒否する権利がある。
b 患者には医学教育への参加を拒否する権利がある。
c 自殺企図の患者の場合、患者の生命を救う努力をする。
d 患者の情報は患者の死後も秘密が守られる必要がある。
e 患者が未成年の場合、患者の意思よりも代理人の希望が優先される。

 

 

28 82 歳の女性。発熱を主訴に家族に連れられて来院した。誤嚥性肺炎の診断で入院となった。Alzheimer 型認知症があり、食事のむせこみで頻回の誤嚥性肺炎の既往がある。肺炎のため 2 週間前に入院し、肺炎は改善したが ADL が低下したため現在は全介助の状態である。認知機能障害のため嚥下訓練も進まず胃瘻の造設を検討することになった。認知症症状が悪化する前には、「ボケるくらいなら死んだほうがまし」、「胃に管を入れてまで生きたいと思わない」と発言していたという。息子は胃瘻を希望しているが娘は反対している。現在、意識は傾眠状態で、呼びかけに反応しない。
  この患者の胃瘻造設に関する意思決定について適切なのはどれか。

a 患者を介護する家族が決定する。
b 病状説明を行って患者が決定する。
c 患者にとっての最善な治療方法を医療チームが決定する。
d 患者の推定意思を尊重し家族と医療チームが話し合って決定する。
e 院内に設置された委員会が家族と医療チームの意見に基づいて決定する。

 

 

30 40 歳の女性。心窩部痛を主訴に来院した。医療面接で解釈モデルを把握するための質問はどれか。

a 「どうされましたか」
b 「どのような痛みですか」
c 「最近ストレスはありましたか」
d 「このような痛みは初めてですか」
e 「痛みの原因をどのように考えていますか」

 

 

34 ある病棟で研修医 A が担当患者数名の採血のために、 1 つのトレイで全員分の採血管を運び採血を行った。しかし、指導医がそのうち 2 名の患者の検査結果がそれぞれの病状経過に沿わないことに気付き、研修医 A に再検査( 2 回目の採血)を指示した。結果として、研修医 A が 1 回目の採血の際に 2 名の患者の採血管を取り違えたことが明らかとなった。

  研修医 A が次に行う対応として適切なのはどれか。

a 所轄の警察署に届け出る。
b 検査結果の削除依頼をする。
c  2 名の患者に 3 回目の採血を行う。
d 院外の事故調査委員会に調査を依頼する。
e 医療安全部門にインシデントレポートを提出する。

 

 

第116回医師国家試験問題および正答について

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B問題 PDF [827KB] B問題 別冊 PDF [5,105KB]
C問題 PDF [914KB] C問題 別冊 PDF [14,282KB]
D問題 PDF [1,038KB] D問題 別冊 PDF [52,284KB]
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F問題 PDF [924KB] F問題 別冊 PDF [311,422KB]
       
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16 患者満足度を調査対象項目とするのはどれか。

a 患者調査
b 受療行動調査
c 病院機能評価
d 医療事故調査制度
e 産科医療補償制度

 

 

23 医療面接について誤っているのはどれか。

a 非言語的コミュニケーションは医療情報の収集に必要である。
b 感情面に対応した応答は信頼関係の構築のために必要である。
c システムレビューを行うと家族歴についての情報が充実する。
d 解釈モデルを把握して対応することによって患者満足度は高まる。
e 患者教育が十分に行われると治療へのコンプライアンスが高まる。

 

 

31 75 歳の男性。一人暮らし。3か月前に肺癌と診断され、肺内転移、骨転移を認めた。家で穏やかに過ごしたいという本人の希望で在宅療養している。自宅で最期を迎えることを希望している。 週間前からはほぼ寝たきりでトイレに行くこともできず、訪問看護サービスとホームヘルパーの訪問を受けている。 日前から腰痛が出現し、訪問診療の医師が薬物療法を行ったが腰痛が悪化している。本日、医師が診療に訪れた際に患者が「もう今日で死なせてください」と強く訴えた。
本日の訴えに対する医師の対応として正しいのはどれか。

a 「そんなことを言わずに頑張りましょう」
b 「今すぐ安らかに旅立つお手伝いをします」
c 「すぐにホスピスへの入院を検討しましょう」
d 「末期肺癌の根治的治療法がありますので安心してください」
e 「なぜそのようなお気持ちになったのか、お話し下さいますか」

 

 

34 82 歳の男性。心不全の急性増悪で入院していたが、病状が安定してきたので退院を見据えて療養環境を調整することになった。高血圧症、陳旧性心筋梗塞の既往があり、多発ラクナ脳梗塞後遺症で巧緻機能障害を認める。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは 16 点:30 点満点<である。独居で血縁者はいない。
この患者への対応で適切でないのはどれか。

a 訪問看護を計画する。
b 介護保険の申請を勧める。
c 服薬管理を本人に任せる。
d 成年後見制度の適応を検討する。
e 多職種間で患者情報を共有する。

 

 

35 55 歳の男性。上腹部痛を主訴に来院した。半年前から腫瘤に気付き、徐々に大きくなっていることを自覚している。眼瞼結膜に貧血があり、左鎖骨上リンパ節の腫大を認める。上腹部に径 10 cm の腫瘤を触知し、圧痛を認める。患者は「おなかになにかがあるのは分かっていたが、癌と診断されるのが怖く今まで受診しなかった。飲食店を自営しているが、私がいないと休業となり、収入が無くなり困る。もっと早く受診すれば、私は死なずにすんだのでしょうか」という。この患者が感じている苦痛のうち社会的苦痛はどれか。

a 死への恐怖
b 上腹部の痛み
c 収入が無くなる事への不安
d 癌と診断される事への恐怖
e もっと早く受診すればという後悔

 

 

36 80 歳の男性。睡眠障害を主訴に来院した。数年前から不眠、中途覚醒がみられている。既往歴、家族歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。飲酒は晩酌をたしなむ程度である。コーヒーを 杯/日飲む。睡眠薬はこれまでも時折服用していたが効果が不十分と感じ、睡眠薬の追加処方を希望して受診した。行うべき指導はどれか。

a 就寝前の飲酒
b 睡眠薬の増量
c 起床時の日光浴
d 時間以上の昼寝
e 夕食時のコーヒー摂取

 

 

1 介護保険を利用した通所リハビリテーションをすすめられた際に、患者が支援を依頼すべき職種で最も適切なのはどれか。

a ケアマネジャー
b 歯科衛生士
c 訪問看護師
d ホームヘルパー
e 理学療法士

 

 

2 入院していた患者が退院後の復職を希望している。患者の治療と仕事の両立支援において、主治医として適切な対応はどれか。

a 復職の可否を判定する。
b 上司と一緒に受診させる。
c 就労上の留意点を指導する。
d 治療計画を雇用主に伝える。
e 治療を優先し仕事を控えるよう指導する。

 

 

10 離島における唯一の診療所で医療を実践するうえで優先度が低いのはどれか。

a 高度医療の提供
b 自治体との連携
c 他の医療機関との連携
d 遠隔読影システムの整備
e 救急搬送システムの整備

 

 

12 ユニバーサルデザインの原則に含まれないのはどれか。

a 公平に利用できる。
b 身体的な負担が少ない。
c 使い方が限定的である。
d 単純で直感的に利用できる。
e 使い方を誤っても重大な結果になりにくい。

 

 

17 生活保護について正しいのはどれか。

a 生活保護基準は都道府県が定める。
b 被保護世帯数は近年減少傾向にある。
c 被保護世帯数は高齢者世帯が最も多い。
d 生活保護の開始は要介護状態が最も多い。
e 生活保護受給者は国民健康保険に加入している。

 

 

19 高齢者の多剤処方 ポリファーマシー への対応として適切でないのはどれか。

a かかりつけ薬局を決めてもらう。
b 類似薬の重複の有無を確認する。
c お薬手帳を持ち歩くように指示する。
d 薬剤相互作用は考慮せずに処方する。
e 病状が安定していれば減薬を考慮する。

 

 

20 次世代育成支援対策推進法について誤っているのはどれか。

a 児童福祉施設が規定されている。
b 国民は子育て支援に協力する責務を負っている。
c 子どもが健やかに生まれ、育成されることを目的とする。
d 国及び地方公共団体は子育て支援を推進する責務を負っている。
e 従業員数が 100 人を超える事業主は次世代育成行動計画を策定する。

 

 

21 歳 か月の健康診査における言語発達の問診として適切なのはどれか。

a 自分の名前が言えますか。
b 語文 ワンワンキタ、マンマチョウダイ などを言いますか。
c ママ、ブーブーなど意味のあることばをいくつか話しますか。
d 家族といっしょにいるとき、話しかけるような声を出しますか。
e 大人の言う簡単なことば おいで、ちょうだいなど がわかりますか。